第160話 笑門来福
「ミンミン」
聖地に魔蟲はいないので女神がセミ気分で鳴きました。
夏です!
お祭り島オープンで夏イベント開催です!
ヒュ〜……ドオォォンッ!
ヒュ〜……ドオォォンッ!
夜になってお祭り島上空で花火です!
「「「うわあー!」」」
事前告知済みなので大丈夫ですね?
花火の大きな音を敵襲だと勘違いしてるジェフクタール人はいませんね?
ハッピーサマー!
みんな楽しんでね!
「冷たいラムネはいかがですかー?」
「冷たい果実水も各種ありますよー!」
神界の実家で鍛えたスキルを発揮しているジュース売りもいます。
「おお。浴衣甚平おそろいの国もいますな」
ふんふん。
とてもいい感じにお祭りですわ。
これは大成功の予感。
こんな風に過ごしながら、神界も地上もわいわいガヤガヤと時は流れる。
「にぎやかですなあ」
だんだんと、他種族と一緒に過ごすことに慣れていくジェフクタール人。
時が流れれば、地上も変わる。
多くの種族がフクフォンを使いこなし、トレーニングダンジョンで戦闘訓練をして冒険者ダンジョンに行くようにもなった。
いつか、国外に出ても笑って帰ってくるようになるだろう。
「娯楽島の遊園地も来年くらいにド派手にオープンするよ。それから一緒に行こうねルジェタさん」
「待ってました。来年楽しみです」
みんなが遊園地に夢中になってるあいだに、わたしたちはファンタジーダンジョンへ。
笑門来福。
神界も地上もみんな笑顔が一番だ。
「それでですね女神社長」
「ん? 何?」
「神さまくんのお友だちの世界、の話なんですが――」
神さまくんのお友だちの世界?
まだ子どもだった人魚族のシェジュ王くん虐待して脅して虐待して虐待してトラウマ与えたやつらの世界?
飲み会の余興で。
シェジュ王くんを囲んで笑って。
死なずに苦しめ。
あ、駄目だ駄目だ。
考えるな。
えーと、はい。
「ようするに、そのリンフィールドでは面倒なことを全部世界大樹にさせていたと?」
「ええ。世界の魔力循環からすべて。さすが神さまくんのお友だちって感じですよね。他人に厳しく求める理想が高い。他の世界は放置でも今は問題ないんですが、この世界、リンフィールドは今考えないとヤバいんですよ。見捨てても、いいですか?」
はは、とお互い笑い合う。
神さまくんのお友だちも全員ル○ェタ冥界にいます。
ル○ェタの長男紺色のカノンが頑張りましたのでね。
「いや駄目だよ! 見捨てない! 見捨てないよ! 笑ってる場合じゃないじゃん! 世界大樹もう弱ってるじゃん!」
「世界大樹がこのまま枯れても、この世界、リンフィールドは崩壊出来ません」
「……ど、どうなるの?」
「ひとことで言えば、すべてが枯れた世界になりますね」
あっさり言うルジェタさん。
「先生、そこに命はあるんでしょうか?」
「ありません。水も風も、命も何もかも――」
「駄目じゃん! 滅んだ世界じゃん! えっ? それでも人類は再び、何度でも?」
「無理ですね」
「希望ゼロ!?」
「目標は枯れるな頑張れブラック社畜の世界大樹でいいですか?」
「いいです!」
「では、正式にブラック世界運営からホワイト世界運営に転職させます」
「よろしくお願いします!」
「頑張ってどうするか考えたら企画書をお願いしますね女神社長。こちらがリンフィールドの詳しい資料になります。来年までにどうかお願いします」
「ん?」
「世界大樹を女神社長がどうリンフィールド人に救わせるのか、来年楽しみです」
「…………わたしが直接やっちゃ?」
「駄目です。ジェフクタールではありませんから。滅んだら滅んだで、そういう世界があるというだけです。このまま見捨てても、特に問題はありません。私はフクとの新婚旅行の方が大事です。けれど私が黙っていたら、怒りましたよねフク?」
「そりゃそうだよ。新婚旅行中止か単身赴任決定の神界裁判だよ。フクぬいも絶対怒るよ」
「ですよね……」
というわけで!
「えいえいおー! 頑張れリンフィールド人! 滅ぶな世界! 休め世界大樹! ところでさ、そんな弱っていく世界大樹を神さまくんのお友だちは、今後どうする予定だったの?」
「ブラック神が部下の心配をするわけがないじゃないですか」
「休日有給なし二十四時間重傷重労働の刑」
「かしこまりました。八つ当たりの私刑もしてきます。私が冥界の主です」
「よし。リンフィールドが絶対ヤバいところから脱出したら、新婚旅行に行こうねルジェタさん。わたしも来年行きたいし」
「フク――!!」
✕世界大樹盟友同盟✕ユグドラシルアライの企画書が女神フクより提出されました。積み重なるいつか書こうの夢物語。
ひとまずこれにてフクとルジェタは完結。
お疲れさまでした。
ありがとうございました。
また御縁があれば。何処かで見かけたら読んでやってください。




