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新年会②

 パシオンゴルフガーデンのイベント会場となるパーティールーム。


 ここにはすでに多くのプロゴルファーが集まり、主役の登場を待っていた。


 その主だった顔ぶれは、若き日の雄介や佳斗の戦友である井澤翔馬(42歳)や、

 最近ではラウンド解説をメインに活動しているシニアプロの陣馬秀雄(52歳)。

 昨年度は賞金ランクも3位と大活躍だった、若手筆頭株の長瀬祐樹(28歳)。

 

 更には、ツアーで何度も上位に顔を出す、阪元さかもと秋生あきお(35歳)や落居和弥おちいかずや(26歳)など、豪華すぎる顔ぶれの男子プロが17名。


 それに加え、女子プロ界からも来季のシード権を獲得している桃川ももかわ涼花すずか(21歳)と有岡ありおか里桜りお(20歳)。

 そして、今回の目玉となる大内雄介の愛弟子でありツアー通算3勝の実績を持つ城野きの真理香まりか(23歳)も参加。


 決して広いとはいえない会場に、総勢20名のプロゴルファーが、集まり歓談中なのである。


 その彼らの会話を覗いてみれば、みな口にするのは神川佳斗の名。

 昨年末に雄介のキャディーを務め、久々の優勝に導いた彼の手腕に、みな興味があるのだ。

 あわよくば、自分のバッグも担いでもらいたい。

 そんな思惑が見え隠れするも、とりあえずは知己を結ぶことが大切だ。

 顔合わせさえ済んでいれば、担いでもらえる可能性もゼロではないのである。



 そして、その会場で給仕係を務めるのは、大内雄介プロの門下生たちだった。

 

 まだ実力的には未熟な生徒ばかりであるが、こうして間近でプロと接することで、その意識を高めようとの狙いである。

 いずれはプロになって同じ立場となるのであれば、見習うべきところも多いであろう。

 それを感じ取れるかどうかは本人次第であるが、こういった心構えの有無で、この先の結果へと繋がっていくのだ。

 

 そのため、常日頃からそう教育されている彼女たちは、真剣な面持ちで業務を行っていた。

  



☆ ☆ ☆




 ところ変わって、こちらは神川ゴルフ練習場。


 今日は佳斗と瑠利が新年会に出かけて行ったので、受付にいるのは陸斗と森沢彩夏である。


 というのも、彼女。すでに女子寮へ住居を移しており、瑠利に続く二番目の入居者となっていた。

 元々は期間限定のはずだったが、ここの居心地が良すぎたことで、完全移住を決めたのだ。


 そのため、パシオンゴルフガーデンで行われている新年会イベントには参加せず、主不在のここを任されていた。


 今は佳斗と瑠利が出かけていったのを見送り、受付で陸斗とおしゃべり中だ。

 陸斗もすっかり彩夏に懐いており、夢中になって話をしている。


「ルリ姉ちゃん、だいじょうぶかな」


「そうね、あの子なら、平気じゃない?」


「そうなの?」


「たぶん受付には光莉さんがいるから、上手くやってくれていると思うわよ。彼女、普段は惚けたフリをしてるけど、よく周りを観察しているからね。それにルリって、けっこう気が強いでしょう」


「うん! だって、小学生の僕相手に本気で勝ちにくるんだよ。手加減されるのは嫌だけど、それでも全然勝たせてもらえなくて、すっごく悔しかったんだ」


 そう話す陸斗は、その時のことを思い出したらしく、ちょっと拗ねた様子。

 けれど、そこは年の離れたお姉さん。子供の扱いなど、慣れたものだ。

 

「ふふふ……、それは流石に大人げないわね」


「でしょう」


 と、彩夏が同意したことで、陸斗の機嫌もあっさり直っていた。


 そして、その後も二人で楽しくおしゃべりし、いつの間にか瑠利のことをすっかり忘れていたようだが、もちろん彼女には内緒である。

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