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第47話 捜索 1 平野を行く

 街の外、東の山脈の麓にてグリフォンを探す者達が居た。


 ヴィクター、フェリクス、セシル、ダリルと……グリフォンの情報を伝えたマーカスとその筋肉仲間達、アインとグエンの7人だ。

 ヒュムが4人、エルフが1人、筋肉仲間の2人はアニムだ。


 ヒュムとは最も数が多く、あらゆる面で平均的と基準にされる種族――地球で言う人間だ。


 エルフは魔法に優れるが華奢な者が多く、分かりやすい特徴としては耳が尖っている。

 華奢だが生命力が強く、そのお陰かちょっとだけ長生きだ。



 アニムとは様々な特徴を持つ種族を纏めて指す名前で、その特徴毎に更に細かく別れる。

 種全体の特性として『化身』という肉体を動物的なものへ変え、身体能力を大きく高める能力を持つ。

 この場に居る2人、アインは獣人族、グエンは有角族という分類になる。


 獣人族は獣の耳と尻尾を持つ姿で、ヒュムより身体的に優れているが魔法は劣ってしまう。

 有角族は頭に角を生やした姿。身体的な強さでは最強と言っていいが、その分と言っていいのか魔法は不得手である。


 どちらも変態筋肉ギルドのメンバーだけあって、やはり物凄い体をしているし半裸だ。

 戦いすら半裸で臨む彼らはどうかしているが、元より回避か魔力障壁で護るので実は問題は無い。ある意味問題ではあるのだが。


 一応それらしい理由を語るなら、アニムは化身で体格が変わる事を考えて軽装であることが多いというのはある。

 ヒュムであるマーカスには当てはまらないけれど。



 昨日、あの後すぐに討伐隊を編成し捜索もしていたが、高々数時間では上手くは進まなかった。

 なにせグリフォンは空を飛ぶ。地面に分かりやすい痕跡など殆ど無いし、飛んでいる姿も見当たらなければ地道に歩き回るしかない。


 そして今日。

 朝早くから捜索に出ているが、まだ1件しか痕跡が見つかっていない。

 既に昨日の時点で街の近くまで来てしまっている以上、余裕は無いのだ。



「お、見ろ。ゴブリンの住処が襲われたようだな」


 先頭を進む団長が声を上げる。

 見つけたのはゴブリンが生活していたらしき跡だ。乾いた血や肉片、いくつか死体も転がっている。


 酷い光景だが、亜人とは戦う事も多いので見慣れたものだ。

 なにせ自分達でもこういった惨状を作り出すのだから。


 ただしそういう時はちゃんと後始末をする。

 無惨に放置するのは人としてどうなんだ……という意識が根付いているのだ。

 当たり前に命を奪うが、軽く捉えてはいない。それがハンターの一般的な常識だ。



「ふむ……間違いなくグリフォンだろうな」


 争った跡や地面を調べていたダリルが、落ちた羽や特徴的な足跡からグリフォンによるものだと答えを出す。


「ようやく痕跡を見つけられたか。晴れが続いていて良かったな」


 フェリクスもひとまずは多少の安心を見せた。

 天気が悪ければ痕跡など消えてしまうのだから、運が良かった。


「ゴブリンは残ってないか……全員食われたか逃げたのかは分からないけど」


 セシルも呟く。一人前として扱われてはいるものの、まだ実力者とは言えない彼が連れてこられたのは、単純に経験を積ませる為だ。


「住処の広さと血の量が合わないからある程度は逃げたんだろう。何日も前って感じじゃないし、割と近いかもしれないな。とりあえず今の地点と痕跡を報告するか」


 セシルの言葉にフェリクスは補足を入れつつ、他の隊へ報告をしようと団長へ声をかける。


「そうだな。っと……なんだ、他の隊も何か見つけたのか?」


 返事を返す団長の元へ小さな鳥のような物が飛んできた。連絡を取り合う為の魔道具だ。

 魔石という名のバッテリーで動く作り物の鳥の中に、手紙などを入れて送るだけである。


 届ける場所を特定する為に専用の魔道具を持たなければいけない面倒はあるが、便利で低燃費(?)な良い魔道具だ。

 掌サイズ且つ魔法で飛ぶので速度はかなりのものであり、様々な用途に使われている。


 と言っても小さいだけあって大した物は送れないし、サイズを大きくしたらしたでせっかくの少ない魔力消費が増えるし邪魔になってしまうのだ。



 さておき……ちょうど南の方で捜索をしている隊から報告が届いたようだ。

 それは街周辺の簡素な地図に印を付け、報告の言葉が書かれたものだった。

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