第6話『これまでとこれから。』
「あっちの家ってのはクソ親戚の家だな。簡単に言うとくそったれ連中だった!」
絆奈は怒り顔でクソ家のこと教えてくれた。
両親が死んで親戚の家に居候したけど、そこの家族と揉めて絆奈は終始怒りの生活を送っていたそうじゃ。
「なるほど。まあ、親戚ゆーても赤の他人やし。気も合わんやろなそら」
「喋るうんこだった! 人間じゃねぇ!」
絆奈は額から血管めちゃ浮き出てる。怖いな。
「どうした? 急に黙って」
「いやいやなんでもないですよ?」
心を悟られぬよう俺は無表情に対応した。(怖いなぁー)
「それでな、むかつくからコンビニでバイトして無双してたんすよ!」
意味わからんがなんか凄そう。
こいつコンビニでバイトしてたんか。やべーな。
こいつがコンビニの複雑な業務こなせるわけないだろ。
多分身近に有能な同僚でもいたんだな。
こいつはレジ前でにたにた気持ち悪く笑ってただけだ。きっしょ。
「それでな、常連の熟女がいて、その人と仲良くなって、ある日聞かれたんじゃ! うちの息子の嫁にならないかって!」
「あーはいはい、そーいうことですか」
うちのババア登場。余計な行動には積極的だ。
「でなでな! ふたつ返事でオーケーしたぜ! クソ家の連中とは絶好や! もう顔も見たくねぇぜ! 良夫の母ちゃんといっしょに、あのクソ家にミサイルバズーカ打ち込んだわ! やつらの吹っ飛びよう面白かったぜ!」
アメイジングすぎるぜ! こいつは!
『~~~♪』
そこにスマホの着信音が鳴る。
曲はマヨネーズ剣士の『ヒトヅマ』!
「あ、うわさをすればなんとやら。良夫の母ちゃんから電話や!」
「おまえスマホ持ってたんかい!」
絆奈は電話にでて、うちのババア相手に喜々と喋る。
「じゃあ代わるでござる! 良夫、母ちゃんだよ」
俺は絆奈のスマホを受け取り、電話を代わる。
「ババア! てめえなんで電話にでねーんだよ!」
『電話なくしたからに決まってるじゃない』
「じゃあ、今かけてるこの電話は!?」
『新しいスマホ。78台目よ』
「RX78!?」
『あっ!』
「なんじゃいっ!?」
『スマホの電池切れそう! じゃあまた!』
「ファッ!?」
切られた。頭にきますよ!
絆奈にスマホを返す。
「とゆーわけで! これからよろしく頼むぜ! 良夫!」
「なぜ呼び捨てなのか。いまさら」
もうこいつと住むの確定だな。まあいいや。
こいつはこっちの高校に転入したとさ。