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斎王、そしてムラサメその2




 ムラサメ、ネネとカル達は一度斎宮を離れることになった。

 戦闘の後始末をヨシタカ達に任せ、その場を後にする。

オーリーとヨウが斎宮に残り、斎王の看病をすることになった。


 移動しながら、カルはムラサメに話を聞く。ムラサメは眠っているネネを抱き抱えていた。


 「ムラサメさん、僕はカル・エイバース。ガーランドに選ばれた者です」

 「…ふむ、儂がムラサメじゃ。こ奴は…もう、会っていたか、ネネじゃ」

 「ネネさんは大丈夫なんてすか?」

 「少し力を使い過ぎただけじゃ、問題なかろう」

 「…ムニャ…」

 「斎王の呪縛を解いてもらい、ありがとうございました。ああいった呪いはかけた相手を倒さないと解けないと聞いていたので…」

 「ふむ、今回は儂とネネの呪の方が勝ったというところじゃな。しかし何故斎王に呪いを…?」

 「はい、詳しくは後でお話ししますが、ある組織に利用されていたというところです」

 「ほう、ある組織のう…まあ良い」

 「あなたは不思議な術を使うのですね?」

 「ふむ、儂は…そうじゃのう…」


 ウーリが声をかけてくる。


 「うーん、君は仙人?」

 「ほう、主が聖獣か?流石に物知りのようじゃ…まあ、少し違うとも言えるが、言うなれば仙術の始祖のようなものかのう?」

 「そう…君は僕達のような存在とは少し違うみたいだね。でも似てる」

 「うむ、お主ほど長寿ではないが、大分生きてはおるぞ」


 カルが声を掛ける


 「仙人…?仙人って何ですか?」


 ムラサメが答える。


 「ふむ、修行によって人智を超えた存在に到達した者、とでも言ったところじゃな。儂は修行はしておらんが理を知り、力を得た…そんな感じじゃ。そういう意味ではカルや、そちらの女子も仙人に近いように見えるが」


 ムラサメはクリスの方を見て話す。クリスは無言だった。

 

 「何かあなたには、僕の師匠とも言える人に似た雰囲気があります」

 「ほう、そうか」

 「その人は、神の力を持っている戦士です」

 「ふむ、なるほどのう…まあ詳しい話は後で聞くとしよう。こ奴も寝込んでおるし、また明日にでも儂に会いに来るがよい。その時に精霊武器の事も話すとしよう」

 「わかりました。それではまた後で」

 「うむ」


 そう言ってムラサメ達と分かれる。セシルがカルに話しかける。


 「ねえ、ムラサメさんに似てる人って、ステラさんでしょ?」

 「うん、全然違うんだけど、雰囲気というか…似てる気がしたんだよ」

 「あのムラサメって人、とても強いわね」

 「ああ、とても強いね」


 ウーリが声をかける


 「あのムラサメは、神の血を受け継いでいるんじゃないかな?」

 「えっ?それって」

 「うーん、神と言っても色々なのさ…例えば神どうしで争って滅んだ者もいるのさ。そんな滅んだ神の子孫がいるかも知れないよね?」

 「…そういうものなのか?そうだね…実際セシルも先祖は南国の神様だし」

 「うん、凄く長生きな神様もいるし、生まれてすぐに亡くなる神もいる。人と同じくらいの寿命の神もいるのさ」

 「そうか…因みにウーリは凄く長生きだけど、それは神様の力?」

 「うん、僕は不老不死なんだよ」

 「えっ?死なないの?」

 「うん、だから怪我しても直ぐに治る」

 「…ウーリって凄い存在だったんだね…」

 「うーん、でも僕は魔法も使えないし、変身出来て、人より少し力と感性が強いくらいなものだよ。それ程凄くないと思う」

 「うーん…」

 「僕は思うけど、クリスも神の血を受け継いでいるんじゃないかな」

 「そうか…それで」


 クリスがジロリとウーリを見る。無言だった。


 しばらくして、カル達は、ヨシタカの宿に戻る。

 もう深夜だった。


 何人か宿の者が残っており、食事は用意してくれた。

一行は早めに床につき、翌日ムラサメの工房に出かけることになった。


…………………………………………………………



 翌朝、カルはオーリーに魔石で連絡する。


 《オーリーさん、おはようございます》

 《やあ、カルくんおはよう。斎王はまだ目を覚まさないよ。ヨウも大分疲れているだろう…しかし帰ろうとはしない》

 《そうですか…わかりました、ではこちらも用を済ませまたそちらに向かいます》

 《ああ、わかった斎王は任せてもらおう》

 《わかりました、お願いします》


 ヨウ達の事を皆に報告し、カルはムラサメの元に行く事にした。

 ヨシタカ達は、早朝に作業を終え戻って来たらしい。クリスはヨシタカ達と行動をとるとのことだった。


 カル達は移動を開始する。半日程歩けばムラサメのいる山間の村に辿り着く予定だ。


 ブリトニーはラッテアをじっと見つめ、何かを考えている様だった。カルは声をかける。


 「ブリトニー、とうしたの?」

 「…あ、ああ。私はラッテアに選ばれたのだろうが、本当に使いこなせているのか考えていたのだ」

 「そう?僕もガーランドを使いこなせているかいつも考えているよ」

 「…?、カルも考えているのか?」

 「うん、僕にとっては今は離すことのできない相棒だけど、本当にこれでいいのかなって毎日考えるよ」

 「そうか…実はラッテアは不思議な弓で、自分が思った通りに矢を放つ。そして矢は減る事が無い…おそらく魔力によるものだと思うが、魔力を矢に変える力があるのかもしれないな」

 「それは凄い能力だね」

 「うむ、何本欲しいと思うと、その本数の矢が現れるのだ。矢の心配をしなくて済むのは、弓使いにとってこれ程心強いものはない」

 「ブリトニーも心配せずに、ラッテアを信じればいいんじゃないかな?」

 「ああ、そうする」


 カルはそんな話をして、ガーランドのことを考えてみる。もしかしてガーランドにも凄い力が眠っているのだろうか?

 とにかくそれはムラサメの持つヴルークと、その話を聞いてからにしようと思った。


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