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ドラゴンの姫




「お嬢!この子がお嬢に用があるみたい!」


  ステラが、大きな声で金色のドラゴンに伝える。


  ドラゴンは、人間を見下ろした。少年である。何故か涙を流している。


 人間の少年の名は、キンクウ村のカル・エイバースと言うらしい。聞き覚えはもちろん無い。


  しかし、この人間は、我に関わる品を持ってきた…


  いったい、いつだったろうか…


  確かに、人間の世話になり、その礼に渡したものだと思う。百年以上前の話…




―――――――


  少女は異常に強いエネルギーを感じていた。季節は、年ももうすぐ終わりそうな12月22日。「冬至」である。


「まったく、この時期に厄介な事だ!こんな場所で、結界を張らなくてはならんとは…」


  そんな事を口にした。この時期は異常な地脈の流れも、影響を受ける事は無い。しかし、「地脈の管理者」として、放って置く事は出来なかった。


  少女は、金髪を肩までのばし、ピッタリとした、全身タイツのような服を着て、その上に灰色のローブを纏っていた。ピッタリとした服は、少女のスタイルを強調しているのだが、ローブがそれを隠していた。 大きくはっきりとした目には、少女の意思の強さが感じられる。


  少女はどこからか、小さな石を取り出す。その石は金色に輝いていた。特殊な石、「魔石」である。


 その時、少女の目が金色に輝いた。不思議な力を帯びる


「場所は、この辺りでいいな。うむ、良い…」



  その時だった、異様な気配が辺りに漂ってくる…

少女は瞬時に察知する。魔物の気配だ。


「くっ、こんな時に…地脈の影響か…だが…」


  巨大な影が、現れる。オーガだった。それだけではない、オークの群れまで襲いかかってきた。オーガは3体、オークは少なくとも20体以上いるだろう…


  オーガはその手に巨大な棍棒を持ち、オーク達は小剣や槍で武装していた。


 いきなりオークが襲いかかって来た。


 左右から剣と槍、


 少女はほとんど身を動かさずに躱す、


 右のオークには蹴りを、左のオークには突きを放つ。オーク達はただの一撃で絶命した。


 上からオーガの棍棒、


 少女はサイドステップで、棍棒を躱す、

 隙を見てオークの一段に突っ込む!

 並の速さではない、疾風のような動きだ、


 右手のオークに蹴り、左手のオークに肘、後ろのオークには回し蹴り、全て一撃で敵を倒して行く。


 まるで無駄のない動きだった。


 突きや蹴りだけであらかたオークは倒した、


 オーガは少女の動きについて行けない

 力任せに棍棒を振り降ろす、


「遅い!」


 少女は叫んで、飛ぶ!

 軽く跳躍したように見えたが、巨大なオーガの顔の辺りまで達する、瞬時に蹴りを放つ!


 オーガの頭が潰れる、少し時間をおいて頭を潰されたオーガが倒れる。


 少女は着地と同時に、隣のオーガの懐に潜る、

 小さな体で、腕を掴み、オーガを投げ飛ばす、信じられないほどの力だ。

 オーガは、もう一体のオーガに向かって飛んでいく、


 2体のオーガが重なって倒れる、


 その瞬間にはもう、オーガ達の目の前に少女はいた。



 少女はボールを蹴るように、オーガの頭を蹴る、

頭は潰れ、オーガは絶命した。

 もう一体のオーガには、目もくれず、裏拳を放つ

顔が無残な形に歪み、最後の魔物が絶命した。


「ふぅーっ、愚か者どもが!」


  辺りには死骸の山が築かれた。


 少女は振り返って叫ぶ、


「おい、貴様は見ているだけか?」



 木の枝に、一体の魔物が現れる、よく見ると、魔族だった。赤い顔をし、黒い体毛に、長い猿のような尻尾、足は鳥類のように3本の爪が生えており、器用に枝を掴んでいる。


「いやー、やはり気付かれましたか?流石、竜の姫君」


 魔族の男が答えた。


「我の正体を知って、この愚行か!貴様、何が目的か!」


 少女の目が金色に光る、しかし、徐々に光が消えてゆく…


「クククっ、魔力が切れてしまいそうですね?まぁ、狙ってやってるんですけどねぇ」


  魔族の男は、腕を組み、顎を撫でる。


「貴様!魔物も貴様の仕業じゃな!」


 少女は魔族の男を睨みつける。


「あれあれ、姫様、動かない方がいいですよ。罠が仕掛けてありますので。やっぱり、結界に魔力使い過ぎですよ、冬至なのに、無理されますねぇー」


「何が目的だ?」


「いえいえ、私は研究者、名前はコーネリアスと申します。竜族に私の考えた魔法が効くのか試したいだけです」


「ほぅ、我に魔法を使うか、面白い、やってみせるが良い」


「あれれ、痛いですけど、大丈夫ですか?恐らく死んでしまうような事は無いと思いますが…私は、これを機に魔王に仕官しようと思ってまして。結果を手土産にすれば、間違いないと思いまして、はい」


「魔王か、貴様、趣味が悪いようじゃな。なるほど、やってみせるが良い!」


 少女の目は怒りに満ちていた。


「それでは、遠慮なく…暗黒魔法、デビルズ・ロンド!」


  辺りに、幾重にも赤い環が発生し、少女を包む。やがて、刃のようなものが数百と出現した。少女を中心に円の軌道をくるくる回っている。刃が、一斉に少女を襲う!


  少女の体をめがけ、刃が飛んでくる、360度、数えきれない!


  肩、腕、脇腹、腿、脹脛…


「グッ!…おのれー…」


  少女は頭部を腕で防御しているが、他の部分は庇いきれない


 さらに、無数の刃が襲ってくる、頭部を庇っている腕には、数え切れない程の傷を受けている、更に、腹部、脚部も同様だ。少女は、しばらくそのまま耐えていたが、力が抜けていくように、膝をつく…


 もう、少女の限界かと思えた刹那、突然コーネリアスの魔法が効力を失い、飛散する。


 コーネリアスは、少し残念そうな表情で見つめていた。


  少女は最後の力を振り絞り、立ち上がり、苦しそうに叫ぶ。


「ぐぁーっ!…う、うう…どうした、我はまだやられんぞ…」


 少女の体は、おびただしい傷を負った。体中から血を流している…


「ああ、うーん、まだ、調整が必要みたいですねぇ…」


 コーネリアスはそう言って、頬を掻く。


「貴様、その顔は忘れんぞ、覚悟しておくが良い…」


 少女は、ありったけの殺意を込めて、コーネリアスに伝える。


「少し残念ではありますが、そうですね…私も良い結果が得られました。今日はこれで帰らせて頂きます。姫様、ごゆるりとお休みください。罠も解除しておきます。それでは、失礼します…」


 コーネリアスはその場から消えていった。



「コーネリアス、貴様…必ず…」


 緊張の糸が切れたように、少女は崩れ落ちる。少女の意識は、だんだんと薄れていった…












物凄く、長くなってしまいました…

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