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神宮での戦闘




 カル、セシル、ウーリの3人は、10分程でオーリーのいる場所に辿り着く。

 空の移動速度は陸とは比べるべくもなく、速い。


 「オーリーさん!お待たせしました!」

 「いや、良くこの場所を発見できた。さすがお嬢の弟子だね」

 「いえ、それよりも下の状況はどうでしょう?」

 「うん、今のところ動きは無いようだね」


 カルは闘気でできた翼のを上手く使い、その場で停止している。セシルは何事も無いように、空中に留まっている。ウーリは周りを旋回しながら位置を確保していた。

 オーリーは地上と同じようにその場に浮いている。どうやら特殊な力を使っているようだ。


 暫くその場で様子を見ていると、斎宮の方に向かい、1人がもの凄いスピードで駆けていく。

 途中途中、斎宮周辺の敵兵を倒しながら進んで行く。クリスだった。

 クリスが敵に軽く触った程度で、敵は数メートルも飛ばされる。飛ばされた人にまた人が吹き飛ばされる。

 敵は何が起こっているのかわからずにパニック状態に陥る。

 その後にヨウとブリトニーが続き、ヨシタカ達もその後に続き敵を駆逐して行く。

 しかしある程度の場所まで踏み込むと、クリスを筆頭に、引き返して行く。それを見た敵兵は、クリス達を追って、その場から離れて行った。


 高いところから見ていた敵の大将と思しき人物が、兵に向かい叫ぶ。


 「馬鹿者!自分の持ち場を確保しろ!…ちっ、まんまと乗せられおって」


 大将のサンダユウは、思いの外冷静だった。経験からくるものなのか、混乱している時こそ冷静に対応しているように見える。

 しかし、数百人いた兵の3分の1程が失われた。


 カルは上空から様子を伺い、追い討ちをかけるように突撃する。

 カルにセシル、ウーリも続く。

 セシルは上空から、得意の水系の魔法を展開し、ウーリは降りると同時に巨大な猪に変わる。その牙は黄金に輝いていた。

 セシルの魔法と猪のウーリの突撃で、兵の数はさらに少なくなる。サンダユウも上空からの攻撃は予期して無かった。


 「馬鹿な…空から侵入だと!?…」


 カルはそのサンダユウに向かう。

 カルを見て、サンダユウの兵達が立ちはだかるが、カルはガーランドを手に蹴散らして行く。

 正面に2人、ジャンプしてガーランドを払う、2人は倒れる。

 さらに着地して前方に転がり、低い姿勢からガーランドを敵の足に向かって払う。さらに2人が倒れる。

 サンダユウの前にもう1人、

 敵は刀を振り下ろす、

カルはガーランドで受け、弾きかえす。

 ガーランドをくるりと回し、敵が踏み込む瞬間をカウンターで狙う。

 ガーランドの刃先が敵の胸に吸い込まれた。


 あっという間に5人を蹴散らし、カルはサンダユウと向き合う。


 「お前が大将か!」

 「えーい、小賢しい!」


 サンダユウはカルと距離をとり、カルに向かって何かを投げる。

 鎖状のものがカルに向かって飛んでくる。

 カルはガーランドで払う、しかし鎖の攻撃は2度、3度とカルを襲う。

 カルが今までに見たことの無い武器だった。

 鎖鎌と呼ばれる東国特有の武器だ。


 放たれた鎖はまるで生き物のようにカルを襲う。

 カルは相手の隙をつき、相手の懐に近づく、

 しかしそれは相手の罠だった。

 近づくカルに向け、鎌を一閃、


 カルはギリギリで躱すが、左手にダメージを受ける。


 「くっ….」


 サンダユウはまだ余裕があるのか、不敵に笑う。


 「ほーぅ、今のを躱すか…さすがはドラゴンの弟子」

 「何!?」

 「お前があの血族で、どんな生活をしているかは既にお見通しなんだよ…」

 「…そうか、ならば本気を見せてやる!」

 「面白い!」

 「龍闘気(ドラゴンフォース)!」


 カルは全身に闘気を集める。

 その場の空間がカルの闘気でユラユラと揺らぐ。

 さらに爆発的に闘気が溢れ出すと、その影はまるで龍が暴れているようだった。

 

 カルと手を合わせたサンダユウには、これならば負ける事はない、このままならば勝つ可能性すらある、という自負があった。

 しかし、その目論みはカルの本気の闘気とともにくずれる。

 サンダユウの首筋に、ゾクリと、さらに足先から徐々に全身に這い上る感覚は…


 「恐怖」だった。


 サンダユウも今まで修羅場をくぐり、経験から得た感覚が彼に伝えていた、「恐怖」の先にある「死」という存在を…。


 カルは一気に距離を詰める、

 サンダユウも後方に下がる。

 しかし、カルのダッシュは想像を絶する速さだった。

 サンダユウは鎌で切りつける、

 カルが鎌よりも速く突きを放つ、

 その突きは、単発ではなく、目にも止まらない速さで数回の連打だった。


 突きを受けサンダユウは後方に弾き飛ばされる。


 カルはさらに追い討ちをかけ、ガーランドで斬り払う。


 刃先は確実にサンダユウを捉えた…かに見えた。


 しかし、その場に倒れたのは藁の束だった。


 「何!?、これはいったい….」


 カルも驚く。


 変わり身の術だった。さすがのカルも相手が全てを捨てて自分だけ逃げ出すとは思えなかった。


 《ウバクの主よ、恐ろしき力見せてもらったわ!いずれまた会う事もあろう、ハハハッ、さらば!》


 「何、待て!」


 近くに感じていた気配はあっという間に離れていく…。


 「くっ、何て奴だ…」


 サンダユウの配下の兵もその場から撤退を開始する、いつの間にかクリスやヨウ達も近くで戦っていた。


 皆去って行く兵を深追いせずに様子を伺っている。

 敵兵の気配が薄れた所で、ヨウがカルに近づき声をかける。


 「カル、大将は?」

 「ああ、倒したと思ったらあれさ…」


 カルは黒い衣を被せた藁の束を指差す。ヨウが声をかける。


 「これは…変わり身の術…」

 「変わり身の術…?」

 「はい、東国の忍が逃走する時に使う術です。カル程の強者に使えるとは、相当の熟練者でしょうね…」

 「後、不思議な武器を持っていたよ。鎌に鎖がついてる…」

 「それはおそらく鎖鎌と呼ばれる武器です。離れた相手には鎖で、近距離は鎌で攻撃できる、遠近両用の武器ですね」

 「そうか、取り逃したのは悔やまれるね」

 「でも、こちらも誰1人重症者はいないみたいです」


 徐々に皆がカルの周りに集まってくる。


 後は斎王のいる斎宮の内部だ。

 カルは今までに感じた事の無い悔しさを感じていた。しかし今は斎王を何とかする事が先決だ。カルは皆の無事を確認する。しかし、カルの握りしめた拳は、緩む事が無かった…。









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