再びの修行
カルは竜の口に向かっている。サンドラのもとを離れて早、3ヶ月程が経っていた。その間に色々な事が起こり、カルの状況も急変している。今はその事と父を殺したと思われる、ドラゴンの暗殺者の事について、サンドラに確認するつもりだった。
キンクウの祠に辿り着いた。いつものようにネックレスを使い、巨大な部屋に向かう。グリムが立っているのが見えた。
「グリムさん、こんにちは」
「カル・エイバース確認した…元気そうだな、カル」
「相変わらずです、それではまた」
カルは扉を開け、巨大な部屋に入って行った。サンドラとステラの姿があった。
「お師匠様、ステラさんこんにちは」
「おお、我が弟子よ、今日はどんな用件じゃ?」
「カルちゃん、よく来たわね」
「はい、あの、すごく驚かれることかと思いますが…」
カルは自分が光の巨人の子孫であること、父もそうでウバクの民という結社のリーダーになったこと、ウバクはまだ存在し、科学という力を持っていること、そして、父を殺したのは食す者に雇われたドラゴンの暗殺者だったことを2人に伝えた。
「なんじゃと?お前がウバクの光の巨人の子孫で、結社の主になったと?しかも父親を殺したのがドラゴンとはな…」
「カルちゃんちょっとの間にすごい事になってるのね?」
「自分でもよくわからなくなってしまいました」
「ふむ、それでその科学とやらはどの様なものなのじゃ?」
「はい、何の素質のない者でも強い力を得られる、ウバクの民はそれを軍事利用させない為に守っているようです」
「誰でも強い力を得られるものとな…」
「とんでもない事になるわね」
「そしてその力を守る為に父さんは殺されました…」
「ドラゴンの暗殺者についてはこちらで調べてみる」
「ちょっと私も気になるわね」
「それとお師匠様、キスクにゲートを作って頂けませんか?」
「うむ、そうじゃのう。よし、明日にはゲートが使えるようにしておく」
「よろしくお願いします」
「カルちゃん、何かわかったら直ぐに伝えるわね」
「はい、それでは戻ります」
カルは直ぐにキスク向けて移動する。この後ヨウの家に帰り、みんなと今後の事を話し合う。そしてジョシュさんにまた話を聞く。今は情報が少なすぎる、カルはそう感じていた。
ヨウの家に着いたカルは、今後の行動についてみんなと話すことにした。もう夜になっていた。
「みんな、まだ敵の存在もよくわかってない、今後はどうして行くのかを考えなくちゃならないと思う」
「うん、そうね、とにかく敵がカルの事を知っているのか、ウバクの民の事をどれだけ掴んでいるのかを知らないとだと思う」
「そうですね、私もセシルに賛成です。とにかく情報を集めないといけないと思います」
「ああ、その通りだ、そして我らももっと強くならなければならぬ」
「そうだね、みんなもっと修行をしよう」
「そうだ私ももっと強くなりたい」
「はい、私達もカルを守れるくらい強くならないといけませんね」
「うむ、何かいい方法はないか?」
「…10日あればもしかしたら」
「もしかして時の間に?」
「うん、それしか無いだろうね」
「そこで修行が出来るのですか?」
「うむ、もし強くなれるのなら私は何でもするぞ!」
「明日聞いてみる、多分ステラさんが来ると思うんだ」
「そうなの、わかったわ」
「はい、では10日間は修行をするという事でいいですね」
「私はそれで納得した」
「わかった、ただし本当に死ぬ程苦しいよ、それでも3人なら絶対大丈夫だと思うけど」
「やってやるわ!」
「はい、本気でやります!」
「ああ、誰よりも強くなってやるぞ」
3人は決意を固め、地獄の修行を行う事になった。もちろんカルも一緒に修行するつもりだった。
…そして次の日
予想よりも早くステラがやって来た。
「カルちゃん、他のみんなも元気にしてた?あれ、もう1人増えたのね、初めまして私はステラです」
「初めまして、私はダークエルフの族長ブリトニーと申します」
「実はステラさん、時の間をまた使わせて頂きたいのです」
「ええ、多分大丈夫よ、そっかまた強くなりたくなったのね?私がまたつき合ってあげるわよ」
「はい、よろしくお願いします。今回はこの3人も連れて行きます、そして本気で修行して欲しいのです」
「わかったわ、私に任せておいて」
ステラはいつもの眩しい笑顔を向けている。ステラはゲートの使い方を教えて帰っていった。
カル達はその数時間後に竜の口に向かった。ゲートを使うとそこは巨大な部屋の中だった。
「お師匠様、みんなを連れて来ました。我儘をお許し下さい」
そう言ってカルは深々と頭を下げる。
「カルよ、お前は本気で戦う覚悟は出来たのじゃな?」
「はい」
「うむ、ではお前に最後の力を授けよう」
「最後の力ですか?」
「うむ、ここでは狭過ぎるの、外に行くぞ」
4人はサンドラとゲートをくぐり、竜の口の外に出る。
「しかしこの姿では問題あるのう」
そう言うとサンドラは力を解放する、姿が変貌を遂げる。金色の巨大なドラゴンに変わる。その姿は雄雄しく美しかった。
「これがサンドラさんの…」
「竜王様…」
「ゴールドドラゴン…」
《良いかカルよ、これから授ける力はドラゴンブレスじゃ!》
「ど、ドラゴンブレス…ドラゴン最強の力を僕に…?」
《そうじゃ、この最強の力をお前に授けよう、しかと目にするのじゃ》
「しかし、人間にも使えるのですか?」
《無論じゃ、お前に使えるよう我が自ら享受しよう」
「よろしくお願いします!」
ゴールドドラゴンの背中のヒレが激しく輝き出す。その口から強大な力が溢れて行く。やがてその力が放出される。辺りを振動させ、放出された力は大地を削りながら移動して行く。後には何も残らなかった。
「…凄まじい」
「これがドラゴン最強の力」
「…」
「…」
サンドラは人の姿に戻った。
「カルよ、この力を授ける、心して励むが良いぞ」
「はい!」
カルはサンドラを改めて誇りに思った。誰よりも強く誰よりも美しいこの最強の存在を。カルは自分に誓った、必ず今よりも強くなると…




