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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第3章 星の降る島
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20『食事』

 50Pで交換出来る食材各種、選択すると新たな選択肢が出る。肉、魚、野菜、穀物、果実の5種類でそれぞれタップすると更に選択肢が出た。例えば肉なら牛、豚、鶏、更に部位を選べて手に入るのはその内1つだけ。そんな感じだ。


 色々試した結果、亀は野菜全般に魚、特に海藻類を好んで食べるようだ。

 蟹も魚と海藻を好み、魚は赤身と白身の2種類しか無かったが、白身の方が好きのようだ。


 ポイントが余ったら従魔達のお土産にしよう。イベント終了までに何を持って帰るか考えておかないとな。


 さて、予定外のポイント消費はあったが子亀と子蟹の食事は無事終える事が出来た。

 これでようやく周辺の探索と子亀の親探しが出来る。とりあえずマップを埋めるように進んだみたのだが、


「目ぼしい物は無いな」

「そんな事無いですよ、ほら、この【濃縮草】は【中級LPポーション】の材料になりますし、こっちの【マジカルマッシュルーム】は【中級MPポーション】の材料で──」

「うん、ユキムラ君にとっては宝の山かもしれないけど、俺にとっては売るか依頼品程度の物だからね、そんな一生懸命探す物じゃないんだよ」

「でも、この辺りだと薬草以外には果物と野菜が自生している位で他には無いですよ、掲示板でも南エリアでエンカウントはしないって書いてありましたし」


 そうなんだよなぁ。情報通りこの辺りには魔物はおろか動物すら見当たらない。見付かるのは大量の薬草類と木になった果物ばかりで、目当ての子亀の手がかりが見つかってくれない。


 そもそも魔物も動物も居ない筈の場所に子亀達が居るのがおかしいんだよな、コイツらどこから迷い込んだんだ?


 そう思いながら後ろに振り返る、そこに見えるは子亀とその背に載る蟹。子亀はのっしのっしと歩いている。

 遅い、とにかく遅い。あの速さなら迷子になる前に親が気付いて止める可能性が高い筈。


 と、なると調べるなら海側だったか。今からでも戻るか?

 でも周辺を調べるのを任されちゃったしな、う~ん、


「ジンさん、あれってなんだと思いますか?」

「ん? あれは……壁、かな? 行ってみる?」

「はい!」


 木々の間から見えた黄色い壁、ユキムラ君が近付きたそうにしていたので提案したら元気よく返事をした。まぁ、俺も気になるから行かない選択肢はないんだけど。


 ただねぇ~、小亀の移動速度がね~。仕方ないのは分かってるんだけど、なんとかならないものかな~? と、どうしても思ってしまう。……後で誰かに相談しよう、あれでも職人、案の1つや2つ出るだろう。


 俺達は小亀のスピードに合わせながらゆっくりと移動を続ける。近づくにつれ壁の様子が分かってきた。壁は黄ばみ、不規則に丸い穴が空いている。


「どう見てもただの廃墟だな」

「ですね、あっ、反対側は崩れてて中に入れそうですよ」


 そう言うとユキムラ君は反対側に向かってしまった。この辺に魔物の気配はないけど、少し無防備過ぎる気がする。ゲンジロウが側に居るといえ、もう少し慎重に動くべきべきだと思うんだけどな。


 まぁ、俺は小亀のペースに合わせなきゃいけないから嫌でも慎重にならないといけないんだよな。目を離して迷子になられては困るし。


 本当は持ち上げるなりして動けたら良かったんだけど、今の俺だと持ち上げるだけで精一杯で運ぶ余力がない。廃墟だって言うなら何処かに台車とか落ちてないものか。……あるわけない、か。


「ジンさーん!」

「どうしたー? 何かあったのかー?」

「よく分からない物が転がってまーす!」


 よく分からない物ってなんだ? 俺は小亀が見えるギリギリの距離を保ちながら壁の反対側に向かった。

 そこでユキムラ君が言っていたよく分からない物を確認した。


 形はネイのようなひし形、サイズは俺が2人は入りそう、色は黒で光を反射していない。それが廃墟の中に転がっている。

【鑑定】【識別】、どちらも試したが反応は???(アンノウン)


 両方とも反応したから結局これがアイテムなのか魔物なのかも分からない。どうしたものか?


「ユキムラ君は【鑑定】を持ってるのか?」

「はい、薬草用に、でも結果は不明でした、だから【識別】を持っているジンさんを呼んだんですけど」

「残念、そっちも結果はアンノウンだ」

「そうですか」


 ユキムラ君は残念そうに俯く。あ~、折角見付けた物が分からないままってのも嫌だし、持っていくか。何か重要な物かもしれないし。でもこんな大きな物俺達で運べるかな? あっ、そうだ!


「少なくとも生き物には見えないしインベントリに入るか試してみよう、それじゃユキムラ君よろしく」

「えっ!? 僕ですか?」

「こういうのは見つけた人が手に入れた方が面倒が少ない、そうだろう?」

「それは、そうですけど、いいんですか?」

「問題なんてないよ、それに入らない可能性もあるんだ、もっと気楽にな」

「……分かりました、それじゃやってみますね」


 大きなひし形はユキムラ君がポーチの口を近付けるとあっという間に姿を消した。

 どうやらアイテム扱いの物だったようだ、一応ひし形が無くなった後も周りを調べてみたが、


「他には何も無さそうだな」

「みたいですね、じゃあ次は何処に向かいましょう?」

「そうだな~」


 この辺は森とは違い地面は土がしっかり見えてるし、木も少ないから視界も良好。そして、道と思える大きく浅い溝が森の反対側に続いているのも確認出来た。あの道に沿って移動してみるのも良いかもしれないな。


「あの道っぽいのに沿って奥に行ってみるってのは?」

「賛成です、次は役立ちそうな物が見つけてみせます」

「あっはっは~、そこまで張り切らなくてもいいんだぞ、目的はMAP埋めなんだから」

「でも折角の島探検ですよ、なにか見つけたくなりませんか?」

「その気持ちは分からなくないけど」


 ここの運営は変にリアルを追究する傾向があるからな~。見つけてもさっき見つけた用途不明の謎アイテムみたいな物ばかりになる気がする。……気にしても仕方ないか。


「あまり期待しすぎないようにな」

「はい!」


 改めて皆で歩き出す。しかし、見えてくるのは、廃墟、廃墟、廃墟だけ。中を覗くも気になる物もなし。

 なんだか腹も減ってきた。そろそろログアウトでも、うん? 腹減った?


「ユキムラ君」

「なんですか?」

「腹、減らない?」

「えっ? 何言ってるんですか? そんな事あるわけないじゃないですか~」

「そ、そうだよな、うん、まさかそんな事あるわけ──」


 グゥ~~~~~~。


 突然響く腹の音、沈黙がその場を支配した。

 俺は静かにLPゲージを確認する、そこには胃袋の形のアイコンがあった。きっとこれは空腹の状態異常。


 そうか、イベントエリアでは食事が必要になるんだな。なんてこった、ポイントがまた減っていく。

 しかし、腹が減ってはなんとやら、仕方ない、か。


「……近くの廃墟で食事にしよう」

「……そうですね、そうしましょう」


 まだ屋根の残っている廃墟に入り、1000Pポイント消費して初級生産セットを選択。

 これも複数からの選択式、選べるのは調合、鍛冶、裁縫、錬金、調理の5種類。今回は調理セットだ。


 最初は100Pの料理を選ぼうと思ったが、インベントリには既に数多の食材があるし、なにより俺には【調理術】があるじゃないか、と思い直した。こっちのレベル上げもしないとな。


 取り出した調理セットには長机とまな板に包丁が1本、そして炭が入った黒い金属の器とそれに乗せる網、更にマッチが入っていた。バーベキューセットだ、これ。


 まぁ俺個人、料理のレパートリーがある方じゃないから選択肢が少ないのはありがたい。

 俺が今持っている材料でバーベキューに合いそうな物は、……あっ、今更ながらながら大変な事に気がついてしまった。


 俺、調味料を持ってない。ポイント、ポイント交換にないか!? クソッ! 調味料はないか。


 無くても焼くしかない。味がどうなるか分からないが、とりあえずやってみよう。

 え~と、選択肢は肉と魚、塩が無いと魚は味気がない気がする。肉の方がマシ、かな? 


 早速炭に火をつける、前にいくつか回収しておこう、全部使ったら勿体無いしな。

 残った少量の炭に火をつけ網を乗せる。そしてこの上に肉を並べる。


 並べるのは牛と豚のヒレ肉とかいうやつ、一体ヒレがどこなのか俺にはさっぱりだが、焼けばあまり気にはならないだろう。とりあえず2枚焼いてみる。が、


「これ、焼けてるのか?」

「火が小さいんじゃないですか? もっと豪快に燃やした方が良いんじゃ?」

「でも、たった2枚にそこまでの火力を求めていいのか?」

「焼けないよりいいじゃないですか」

「黒焦げになりそうで嫌だ、よってこのままでいく」

「そうですか、それじゃ頑張ってください」

「おう」


 結果、両面が焼けるまで頑張って焼いた結果、美味しそうに焼き上がった。味はまさに肉の味だった。

 食べた後に確認すると胃袋のアイコンは消えていた。

 そして、俺のイベント目標に『調味料を探す』が加わる事になった。絶対イベント中に旨い飯を食ってやる! やるぞー!


 ちなみにユキムラ君も俺の調理中に空腹のアイコンが出た。そしてユキムラ君は素直に料理を交換した、交換した料理はステーキだった。ただし、手のひらサイズの。

 ユキムラ君曰く、美味しいけどお腹は膨れない。


 最終的に料理を5つ食べてアイコンは無くなったらしい。

 うん、俺の選択は間違いじゃなかった。一先ずそれで良しとしておこう。

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