11『イベント開始日』
今日はイベントの開始日。既に持ち込むアイテムは昨日メールで届いた【イベント専用インベントリ】に収納済み、見た目はポーチだけど取りだしの方は指輪と同じで制限はないみたいだ。
「それじゃあセツナ、残った皆をよろしくね」
「おまかせください」
俺はセツナに後を任せマイルームを出る。そして、転移門に降り立ったのだが、
「うおっ!? 人、多!?」
目の前に広がる景色は広場に集まった沢山の人達、見た目は軽装備の人からから重装備の人まで様々だが、聞こえる会話からプレイヤーだと分かる。えっ? これ全部プレイヤー? こんなに居たのか。
プレイヤーが自力で来るには1週間位かかるのに、皆凄いな。
「あ!? ジーン!」
「ん? レキ? 何処に、あっ居た」
呼ばれて周りを見渡すと人混みの中に見付けた。広場の端にいつものメンバーで集まっていた、俺はみんなに合流するために歩き出す。
それにしても、いろんな人がいるな。あの人は全身鎧、このゲームの装備ってピンからキリまであるけどあれはどっちだろう? おっ、あっちはレキと同じ魔女プレイの人かな? あっちの人は身長より大きな盾、タンク役だろうな。あっちはデッカイ剣、アタッカーだな、しかしあんな剣どうやって振るんだろう? 見た目通りの重さなら俺には振れない可能性も、凄い人が居るんだなぁ。
そんな風に周りの人達を観察しながらイアン達の居る場所に到着した。
「おはよう、皆早いな」
「昨日の内に準備はしておいたからな、いつでも行けるぞ」
「イアン、まだイベントまで1時間以上残ってるんですよ、もう少し落ち着いてください」
「いやぁ、何が来るのが分からん分、年甲斐もなくわくわくが押さえきれなくてな」
「まぁ、楽しみなのは分かるが、もう少し落ち着いてくれリーダー」
「そうそう、大の大人がそんなだから私達は冷静にならざる得ないのよ、もっとドッシリ構えてよ」
「子供も大人も関係ない! ここはゲームで今から始まるのはイベント! これが楽しみじゃなくて一体何を楽しめと言うんだ!?」
「分かりました! 分かりましたから落ち着いて下さい!」
おー、なんかイアンがえらくはしゃいでいる、言ってる事は分からんでもないが、少し過剰だな。今からこれだと始まった後が心配だ、大丈夫なのかね~。
「すいません、さっきからこのテンションなんです」
「いや、気にしてないから大丈夫だよ、ところでアンク君は何を持って行くんだ?」
「僕は回復アイテムとテントです」
「テント? イベントエリアに泊まり込むつもりなのか?」
「ジロウさんが一応の保険にって」
「保険、ねぇ?」
ジロウの中でこのゲームは一体どういう物だと思われているんだろうか? テントが必要な保険ってなんだ?
「そういえばジンさんは従魔を連れて行かないのですか?」
「ん? あー、イベントのエリアを見てからでも遅くないかな? って思ってな」
「そうなんですか、あの中から1匹選ぶのはやっぱり大変なんですか?」
「まぁ、そんなところだ」
アンク君にはそう答えたが、実は側に連れてきている。さすがに一目見て指輪の数が増えた事は気付かれていない。いやぁ、【擬態】って便利だなぁ。
そんなことを考えていた俺の背後からどよめきが広がった。
「なんだ?」
「あそこ! 門の上!」
レキが指を指しながら叫ぶ。俺はその声と指に釣られるように転移門の上を見る、そこにはスーツ姿の男が立っていた。なんだ、目立ちたがりやか? それにスーツなんて何処から持ってきたんだ?
「やあやあ異人の皆様、僕はデュー、今回のイベントの水先案内人を任命されたノルンだよ、先ずはこれを受け取ってくれたまえ」
目立ちだがりやではなく、運営側のノルンのようだ。
デューと名乗る男が大袈裟に両手を広げると、空から光る玉が降りてきた。玉は目の前まで降りてくるとゆらゆらと揺れ続けている。
これを受け取れば良いのか? 俺は慎重に玉に右手を伸ばす。玉は俺が触れる直前に割れ、中から小さな光が溢れ俺の右手首に巻き付き姿を変えた。
「これは腕輪か?」
その腕輪には装飾はなかった、ただの真っ白な腕輪だ。周りには俺同様白い腕輪を装備したプレイヤー達がデューの次の言葉を待つかの様に転移門を見上げている。皆あんまり気にしないのな。
「さあ! 腕輪は行き渡ったね、それはイベント参加者の証だよ、イベントに参加しないなら外してもいいけど、ここまで来てそんな事する人は居ないよねー、それじゃあ早速君達をイベントエリアに招待するよ、イベントの詳細は転移先でするからもう少し我慢してねー、それじゃあ行くよー」
デューはそう言って手を叩く、すると、地面に光り輝く円陣が現れた。円陣から溢れた光は瞬く間に俺達の体を包み込み、目の前が真っ白に変わる。そして、目の前に開けると、青い部屋に俺は立っていた。周りには誰もいない、いや、一人だけいた、デューだ。
「はーい、ようこそ! 僕の間へ!」
デューの声が部屋に響く、俺一人なんだからそんな大きな声を出さなくても良いのに。いや、それよりも僕の間ってどういう事だ?
「イベントエリアじゃないのか?」
「ノンノン、ここもイベントエリアだよ、正確には、イベントエリアの管理区域だけどね、下を見てごらんよ」
「下?」
言われるがままに下を見ると、そこには島があった。
中央には山、それも煙が出ている事を考えると火山かな。その山から上下に伸びる縦長の島だ。
上側には広い森と海沿いに岩場が広がっていて、下側は白い建物とそれを囲む森、海沿いは白い砂浜に見える。あれが、イベントの舞台?
「予め言っておくけどあの島に名前は無いよ、イベントの為に用意した舞台だからね、呼ぶなら好きに呼ぶといいよ、それじゃあ説明を始めるよ~、今度は上にご注目!」
空を見上げるとそこには星空が広がっていた、その星空には見覚えがあった。星なんてテレビでやってる星座占い位しか普段目にしないが、あれは知っている。所謂天の川とか言う奴だ。それが頭上に輝いている。
しかし、突然星の光が消えていく。まるで、何かに飲み込まれるかのように。全ての光が消えた後、空から沢山の流れ星が島に降り注ぐ。そして、真っ黒になった頭上には、文字が浮かび上がっていた。内容は、
天に輝く星の川
光は消え去り大地に落ちる
ちからある者よ 星の欠片を集めよ
集いし欠片 大地の怒りと共に天へと返せ
天が悲しみに暮れぬように
文章が終わると黒かった空は青空へと変わった。え~と、つまりこれは、
「収集型イベント、か?」
「That's right! イベント名は【星が降る島】
貴方達異人はこの島で星の光の欠片を集め天上へと返していただきます。欠片は島のあちこちに姿を変えて存在していますので、草の根を分けてでも探してください。
集めた欠片の数はそのままイベントのポイントになりランキングされます、上位には豪華な賞品も用意されております。更に個人で集めたポイントもそれなりの賞品と交換出来ますのでジャンジャン集めてください。
ただし! この島に居られる時間は異人の世界で1日6時間、それを7回、つ・ま・り、1週間となっておりますので探索の際は時間にお気をつけ下さい」
制限時間付きの収集型イベント、それもランキング制、俺が一番苦手にしているタイプのイベントだ。厄介な、……いや、ならランキングを気にしないでステータスを上げることに集中すればいい。そのついでに星の光の欠片を集めれば問題ないな。
さて、そうなると気になるのはポイント交換のそれなりの報酬の内容だな。一応ランキングの方も確認しておくか。
「報酬って何が貰えるんだ?」
「一覧はこちらになっておりまーす! どうぞご自由にご覧くださ~い」
そう言ってデューは両手を広げる、すると巨大なウインドウが2つ頭上に現れた。そこにはランキング報酬一覧と交換ポイント賞品一覧の文字が、何々?
【ランキング報酬】
1位-ミスリルウエポン *1
2位-ミスリルアーマー *1
3位-転送リング&アイテムボックス(中)
4位~6位-ステータス増強アクセサリー(中)*1
7位~10位-ステータス増強アクセサリー(小)*1
11位~100位-インゴットセット *2
101位~1000位-回復アイテムセット(中)*3
*1 報酬は選択制
*2 セット内容はアイアン、カッパー、シルバー、ゴールドになります
*3 セット内容はHP、MP、ST、状態回復ポーションのセットになります
ふむ、1位はミスリルウエポンか。インゴットの値段から考えると相当な高額賞品、あれ? それなら2位の鎧の方が高額な気が、まさか鎧の部位1つだけって落ちじゃないだろうな?
3位は転送リングとアイテムボックス、(中)って事は収納量が今使っている物より多いってことだな。
ステータス増強アクセサリ(中)と(小)、効果の大きさの事かな? まさか大きさの事じゃ無いよな?
インゴットは、武器防具を作成しろってことかな? 数日前の俺なら売っちゃうけど。ネリネさん達が参加するならこれ狙いかな?
最後は回復アイテムのセット、必需品ではあるのだが、こういうアイテムは普通は参加賞枠じゃないのか? まぁ、必要なら買えば良いから気にしなくてもいいか。貰えたらラッキー位で良いだろう。
さて、どうしても欲しい報酬があるか? と言えば、特にはないな。一応ミスリルを使った武器は手に入るし、ステータス増強と言ってもどれくらいの効果か分からないしな。
よし、次はポイント賞品だな。良いものはあるかな?
イベント開始、とか書いてるのにまだ説明段階
次回にはイベントエリアにいきますので
来週までお待ちください




