32『賭けの結果』
12月になりましたね、多分今月中に2章は終われると思います
【虫除けのお香】を外してまもなくクワガタは動いた。
それまで馬車からある程度離れた場所をグルグル飛び回るだけだったクワガタはお香を捨てたのが分かったのだろう、すぐさまこちらに向かって飛び込んできた。
そして、クワガタはクモをツノで挟んだ。俺達は賭けに勝った! そう思った。しかしそう甘くはなかった。何故なら、
「コイツ、全然馬車を離さねえぞ!?」
「このまま道連れにするつもりか?」
「冗談じゃない!? 皆攻撃を続けろ!!」
イアンの叫びを聞き各々攻撃を再開したが、
『この離れなさい! しつこい人は嫌われますよ!』
『人じゃ無いけどね、『火よ 槍となって敵を貫け ファイアランス』!』
『レキちゃん、ただの比喩表現だよ~』
『そんな事分かってますよーだ『風よ 刃となって敵を斬れ ウインドスラッシュ』!』
2階からはそんな声が響き、1階からは、
「チッ、これでは歯が立たんか。ジン! 魔力剣を貸してくれ」
「ちょっと待って。え~と、はい! ウォーターソード」
「助かる」
「ジンさん! こっちにも下さい」
「あいよ!」
「ジンさーん! 僕には槍を」
「短剣ってあるッスか?」
「えぇーい! こんなこともあるかもと一応全員分を作っておいたわ、持っていけ!」
ポーチから取り出した武器は【魔力操作】で皆の目の前まで浮かして持っていく。本当に毎日チマチマ作ってた甲斐があったな、ステータスも上がるしスキルレベルも上がるしレシピも増える。試行錯誤は大事だな、これからも頑張ろう。ってそれどころではないな。
俺はガガ達の手綱を握ってないと行けない、だから従魔達を戦いに参加させる。グレイスは爪とダークボールを使い、シロツキは角と杵、ゴウカとケンランは魔法で、スクエールは爪と嘴、ストレインはそこに硬化させた羽根を飛ばしクモの脚を攻撃をするが、効果は薄い。やはり俺達ではどうしようもないのか? そしてついに、
「ヤバイ! 車輪が浮いた!!」
「何!? 皆もっと攻撃しろ!」
『もう目一杯やってるわよ!!』
『あ~も~、早くどっかに行ってくださ~い!』
「ここまで、か」
「ジロウさん!? 何諦めてるんですか!?」
「諦めも肝心と言うだろう? どうだ? ここらで馬車を捨てるというのは。誰かが馬で王都にひとっ走りして馬車を調達して戻って来るというのもいいと思わないか?」
ジロウがそんな事を言い出した。冷静に考えればそれも良い案だと俺も思うが、俺としては壊れてても馬車を王都まで持っていきたいと思う。
しかし、ジロウの意見に賛同の声を上げる者が1人、ネリネさんだ。
『私はその意見に賛成です、出来れば私を馬に乗せてくださると尚良しです』
ついでに図々しい要求まで追加しやがった。ホント金と虫に関してはぶれないねこの人は。その時だった、浮かび上がった馬車が突然落ちたのは。
俺達はクモの襲撃時同様突然の事に反応出来なかった、そんな中俺達に更なる衝撃が襲った。
『けが、ない?』
突然頭に声が響いた。一体誰だ? そう思いながら森を見渡すも俺達以外に人の姿はない。しかし更に言葉は続く。
『におい、つおい、おえ、おえない、でお、やつら ひきおえる』
少々分かりづらいがこれはクワガタの声、なんだろうな。そして言われた言葉を考える。まずは、匂いが強いと近寄れない、だと思うが、これはクワガタにはお香が効果があることを示していると思われる。
そしてもう1つ、むしろこっちが大事だろう。やつら、これは先程襲ってきたクモとムカデを指していると思われる、それとおそらくは惹き寄せると言いたいのだろうな。だとすれば、
「お香の使いすぎが原因と言うことか、お香を捨てたのは正解だった訳か」
「みたい、だな」
『いうえきおお、いった、えは、さらば、だ』
クワガタはその言葉を最後に羽音と共に去った。まぁ、実際には激しくなった雨に邪魔されて微かに聞き取れる程度の音だったけど。さてと、
「とりあえず少し休める場所を探して良いか? ガガ達の様子も確認したいし馬車の損傷具合も見ておかないと」
「分かった。そっちは任せる。よーし! こっちも武器の損傷や消費したアイテム、その他諸々の確認をしておこう。あっクロウは警戒な」
「分かったッス!」
馬車を走らせ休める所を探し始める。雨もひどくなってきた早く見付けないとな。
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雨宿り出来そうな場所を見つけるのにそう時間はかからなかった、森の木々には結構大きめの穴がチラホラと空いているし、根が盛り上がり地面との間に空間があったりするからだ。
今回見つけたのは後者、穴と違い入り口だけ警戒といかないのが難点だけど、馬車を反転させずに出発出来ると言う点ではありがたい所だ。
根の下に到着してまず確認したのはガガとココのステータスだ、馬車操作中でも見ようと思えば見れる。だけどステータス画面も馬車の振動で揺れるから非常に見にくい、だから俺は馬車の中で見ない事にしている。
幸い、走れなくなるような状態異常は発生していなかった。ただ、LPが半分をきっていた。馬車落下時のダメージだけでこうなったのだろうか? それとも他にも何か原因が? とりあえず水の代わりに【LP回復ポーション】を飲ませて、応急処置って事でシロツキに【治癒魔法】を使ってもらった。今はこれで頑張ってもらうしかない。
続けて馬車の損傷具合だけど、こっちは酷い。
馬車の壁には左右2ヶ所ずつ穴が空きそこから雨が入り込んできている、更に外側の壁の一部が溶けていた。これはムカデの仕業か? 現れてすぐ消えたクセにちゃっかり攻撃をしていたのか、クワガタがいなかったら確実に終わってたな俺達。
次は馬車の下側を確認。車輪の芯が微妙に曲がっているうえに、車輪の留め具も外れかかってるみたいだ。落下のダメージが相当酷いとみえる。
う~ん、修理なんて出来ないから行ける所までこのまま頑張ってもらうしかないが、どこまでもってくれるだろうか? ……とりあえず穴は袋で塞ぐかな? と思ったけど袋を固定できそうな物を持っていないかった。見通しが良くなったと考えよう、うん。
「馬車はまだなんとかなりそうだ。さっきみたいな襲撃があったらダメになりそうだけど」
「走れるなら良いさ。それですぐに出れるのか?」
「出来ればガガ達を少し休ませたい。雨で濡れて寒いのか、それとも襲撃が恐いのか分からないけどちょっと震えてるしね」
「分かった。じゃあ30分程休憩しよう、皆にも伝えてくるわ」
そう言ってイアンが歩き出した。と思ったら振り返って一言、
「さっきの戦闘で結構な経験値が入ってる、確認しておけ。ジンはログを切ってるって言ってたから一応な」
どうやらクモに僅かにでもダメージを与えていたからだろう。グレイウルフリーダーの時と同じ様に経験値が入ったみたいだ、言われなきゃ気がつかなかったかも知れないな。
「ありがとう。確認しておくよ」
「おう、また後でな」
今度こそイアンが去っていく、それを横目に見ながらまずは武器防具の確認だ。
防具は問題ないダメージなんて無かったしね。問題は武器、皆に渡したウォーターソードは壊れてしまった。水に変換した魔力で作られた武器が壊れるのは初めてだな、様子としては武器の形が保てなくなり水みたいに落ちて蒸発するかのように消えた。これは水属性だったからかな? 他の属性にまだ変換出来ないから確かめようがないので今後の楽しみにしておこう、壊れるような事態は困り物だけどね。
次は俺達のステータスの確認をしようか。
まずは俺自身。ステータスはMPを筆頭にしっかりと上昇、ジョブレベルも2上がった。スキルは順調とはいかないけど上がってはいるな、毎日地道にやってる【魔具生成】が一番上がっている。レシピも増やしたいところだけど、今はメンバー分増やしただけ良しとしよう。それとジョブレベルと【魔力操作】のレベルの数字が★表記に変わった。これ以上レベルが上がらないということでいいんだろうか? クラスアップしたら何か分かるのかな?
お次は従魔達。グレイス、シロツキは3、ゴウカとケンランは5。そして、初陣が強敵との戦いに巻き込まれる形となったストレインとスクエールは8もレベル上がっている。
ただスキルレベルは芳しくない、やはりレベルが適正じゃないと上がりにくいんだな。だけどいい知らせもある、グレイスとシロツキに新しいスキルが増えていた、それがこれだ。
【穴堀】
『地面又は壁に穴を空ける』
【跳躍】
『高く跳び上がる』
【跳躍】はシロツキが手に入れたスキルだ。今更な気もしたがよく考えるとシロツキは跳ぶより走る事の方が多かった気がするし、これで順当ということかな? これでスキルの上では縦横無尽に動き回る兎になった訳だ。
そして【穴堀】これはグレイスとシロツキの両方が覚えたスキル、こちらも今更なスキルだけど、いつか役に立つ時が来るのだろうか? 眷族の巣穴でも掘る、とかかな?
さて一通り確認は終了だ。このあとは森を抜けるまで休憩を挟む事はないだろうから、ガガ達のご機嫌でもとっておこう。本当にあと少しの筈だ、頑張ってくれよ。
【ジン】 冒険者rank:E
種族【常人種】 状態【良好】
職業【捕縛師Lv★】↑2【調教師Lv★】↑2
TLv40 ↑4
LP :730
MP :910 ↑40
SP :880 ↑20
攻撃:62 ↑3 魔攻:67 ↑3
防御:54 魔防:27
持久:81 ↑2 精神:62 ↑2
器用:84 ↑3 素早さ:71 ↑1
運:37 ↑2
土:12 水:7 火:6
風:10 光:10 闇:14
JP:27 ↑6
ジョブスキル
【鞭術Lv16】↑1【調教術Lv19】↑2【縄術Lv6】↑2
【調理術Lv8】↑2【片手剣Lv11】↑4
スキル
【俊足Lv12】【気配察知Lv16】↑1【魔力操作Lv★】↑1
【魔力変換Lv18】↑2【気力操作Lv15】
【鑑定Lv14】↑1【識別Lv14】↑1【魔具生成Lv12】↑3
称号
【親愛の女神の燐光】
従魔
【グレイス】
種族【ブラックウルフ】状態【良好】
Lv21↑3
LP:750 ↑100
MP:700 ↑70
SP:780 ↑80
攻撃:68 ↑9 魔攻:66 ↑9
防御:54 ↑7 魔防:51 ↑6
持久:60 ↑8 精神:45 ↑5
器用:51 ↑6 素早さ:80 ↑13
運:32 ↑2
土:23 ↑4 水:18 ↑3 火:19 ↑2
風:22 ↑4 光:16 ↑2 闇:25 ↑3
スキル
【嗅覚Lv16】↑2【俊足Lv17】↑2【咆哮Lv7】↑1【穴堀Lv1】new!
【闇魔法Lv16】↑2【幻影Lv10】↑1【危機察知Lv12】↑2
【眷族召喚Lv3】new!【魔装Lv11】↑2
称号
【双極の女神の燐光】
【シロツキ】
種族【ホーンラビット】状態【良好】
Lv21 ↑3
LP:610 ↑60
MP:730 ↑90
SP:740 ↑120
攻撃:60 ↑7 魔攻:66 ↑6
防御:45 ↑2 魔防:46 ↑3
持久:67 ↑10 精神:53 ↑11
器用:70 ↑12 素早さ:80 ↑10
運:40 ↑2
土:21 ↑4 水:18 ↑1 火:16 ↑1
風:22 ↑4 光:28 ↑4 闇:9 ↑4
スキル
【聴覚Lv16】↑2【俊足Lv16】↑2【跳躍Lv1】new!【穴堀Lv1】new!
【治癒魔法Lv13】↑1【眷族召喚Lv3】new!【危機察知Lv14】↑2
【気配遮断Lv14】↑2【武器装備Lv☆】【魔装Lv11】↑4
称号
【癒しの女神の燐光】
【ゴウカ】
種族【スカイカープ】状態【良好】
Lv16↑5
LP:460 ↑130
MP:810 ↑160
SP:640 ↑140
攻撃:19 ↑7 魔攻:69 ↑15
防御:15 ↑6 魔防:58 ↑13
持久:62 ↑16 精神:58 ↑16
器用:51 ↑13 素早さ:51 ↑14
運:17 ↑7
土:21 ↑7 水:15 ↑6 火:18 ↑8
風:15 ↑5 光:18 ↑7 闇:14 ↑7
スキル
【飛鯉の鱗Lv12】↑3【飛鯉の鰭Lv12】↑3【飛鯉の鰓Lv12】↑3
【水棲Lv13】↑2【浮遊Lv14】↑3
【土魔法Lv13】↑4【火魔法Lv15】↑4【平行詠唱Lv9】↑3【多重詠唱Lv9】↑3
【能力共有Lv☆】【魔法融合Lv☆】【金の鱗Lv☆】
称号
【飛鯉の双子】
【ケンラン】
種族【スカイカープ】状態【良好】
Lv16 ↑5
LP:460 ↑130
MP:800 ↑150
SP:650 ↑150
攻撃:18 ↑6 魔攻:53 ↑13
防御:21 ↑7 魔防:67 ↑15
持久:40 ↑13 精神:56 ↑14
器用:49 ↑16 素早さ:66 ↑16
運:18 ↑7
土:15 ↑6 水:23 ↑8 火:14 ↑5
風:22 ↑8 光:13 ↑5 闇:19 ↑8
スキル
【飛鯉の鱗Lv12】↑3【飛鯉の鰭Lv12】↑3【飛鯉の鰓Lv12】↑3
【水棲Lv13】↑2【浮遊Lv14】↑3
【水魔法Lv15】↑4【風魔法Lv13】↑4【平行詠唱Lv9】↑3【多重詠唱Lv9】↑3
【能力共有Lv☆】【魔法融合Lv☆】【銀の鱗Lv☆】
称号
【飛鯉の双子】
【ストレイン】
種族【ストーンスワロー】状態【良好】
Lv9 ↑8
LP:340 ↑260
MP:300 ↑200
SP:380 ↑280
攻撃:34 ↑24 魔攻:30 ↑20
防御:23 ↑20 魔防:25 ↑20
持久:33 ↑23 精神:25 ↑20
器用:40 ↑30 素早さ:46 ↑34
運:23 ↑5
土:11 ↑9 水:12 ↑11 火:10 ↑9
風:17 ↑14 光:10 ↑9 闇:14 ↑12
スキル
【飛行Lv7】↑6【魔力循環Lv6】↑5【夜目Lv6】↑5【托卵Lv5】↑4
【スクエール】
種族【カイト】状態【良好】
Lv9 ↑8
LP:370 ↑250
MP:260 ↑200
SP:420 ↑300
攻撃:47 ↑35 魔攻:25 ↑20
防御:23 ↑17 魔防:19 ↑17
持久:37 ↑25 精神:22 ↑14
器用:27 ↑20 素早さ:50 ↑35
運:16 ↑12
土:10 ↑9 水:14 ↑12 火:5 ↑6
風:18 ↑15 光:13 ↑11 闇:14 ↑11
スキル
【飛行Lv7】↑6【鷹の目Lv6】↑5【夜目Lv5】↑4【気配察知Lv6】↑5
【眷族召喚】がnewの理由は取得した時ステータスとして表記しなかったからです。
それでは!




