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Create・World・Online  作者: 迅風雷
第2章 王都への旅路
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14『出発』

「そ、それでは、この馬車の説明を始めます」

「お願いします」


 ケインさんと合流した俺達は自己紹介も簡単に済ませ、イアン達が馬車に乗り込み、出発するまでの間に戦闘になったときの配置を決めている。そして俺は馬車の仕様を改めてケインさんに説明してもらうところだ。


「ま、まずは客車です。きゃ、客車は1階と2階があり、1階は護衛の人や商人が乗り込み、2階は重要人物とそれを守る精鋭が乗り込むのが普段の使い方です。こ、今回は守る人が居ないので好きに使って問題無い筈です。いっ、1階も2階も窓が開く様になっていますので、そこから外の相手に攻撃することが可能です、更に2階から馬車の上に移動することも出来ますので、状況に合わせて活用してください」


 屋上まであるのか、上からの遠距離攻撃は襲撃者に対して有効にって作用するはず、後で皆に伝えておこう。


「つ、続いては馬の世話についてです。こ、この馬車は前輪に魔力を流すことで、御者台が持ち上がり正面の空間を開き、馬車の下の空間魔法で拡張された厩舎に入れる様になります。既にエサと寝床になる干し草は配置が終わっているので、ガガとココはそこに寝かせて下さい、寝かせる時は御者台を戻すことを忘れずにお願いします。じゅ、従魔達も一緒に寝かせられる様に調整しましたので、良かったら使って下さい。そ、それと【清掃(クリーン)魔法】を設置してあるので掃除は基本的に必要ありませんが、出来れば寝床の干し草は替えて下さい。え、エサと水も多めに準備してあるので安心して下さい。そ、それと毛繕いもやって上げてくださいね」


 馬達の安全を確保し、安心して眠れる様に部屋を調整する事も出来る。これは俺の知ってる馬車とは別物だな、まぁ、余り手が掛からないのは良いことだ、進むことに集中できるしな。頼まれた事はするさ、その方が馬達も喜ぶだろう。


「ま、魔物除けの魔法陣は発動していますが、強い魔物やこれから向かう【巨虫の森】の虫達には効かないので注意をしてください。い、今のところ悪い【盗賊】や【山賊】の情報はありませんが、警戒は怠らないようにお願いします。最後にこれを」


 ケインさんが取り出したのは小さな指輪だ、数は4つ。


「これは?」

「ま、魔物除けは従魔にも作用します、流石に魔法陣を弄るのは無理なので、それを無効にする魔道具をお貸しします。さ、サイズは調整出来るので、着けたい所に合わせて下さい。や、やり方は両手で引っ張るだけです」


 指輪の1つを引っ張ってみる。すると、指輪がドンドン大きくなり両手一杯まで広がった。しかも、まだまだ伸ばす事が出来そうだ、これならトライホーンシールドの頭もくぐらせる事も出来るかもしれないな。


「これは、スゴいですね」

「ば、馬車、魔道具、そしてガガとココは、王都のギルドに預けて頂ければ、あちらの担当者がこちらに返却してくれますから、直接ここに来なくても大丈夫です」

「分かりました」

「ど、道中お気をつけて」

「はい! 」


 ケインさんが牧場に向かって歩いて行くのを見送ってから、グレイス達に魔道具を着ける。グレイスとシロツキは首に、ゴウカとケンランは尾びれの付け根にそれぞれ着けて馬車の御者台に登る。おっと、忘れてた。


「ガガ、ココ、今日からよろしくな」

「「ブルル」」


 ガガとココに挨拶して改めて御者台に登り、馬車の中を覗きこむ。中では既にそれぞれが座る場所を決めてくつろいでいた。ただ、女性陣とユキムラ君とアンク君の姿が見えない、どこ行った?


「出発しようと思うんだけど、皆揃ってる?」

「大丈夫だ、皆居る。姿が見えないやつは2階に居るよ」

「あっ、やっぱり」

「馬車なんて、リアルじゃ乗る機会なんてそうそう無いからな、みんな興味津々なんだよ。俺自身結構ワクワクしてるしな」

「まぁ、気持ちは分かるよ」

「だろ?」


 嬉しそうに話すイアンにクロウが続く。


「役割も決めたッスよ、移動中の周囲の警戒はオイラに任せて下さいッス」

「敵が出た時は男達が前に出る」

「女性陣は馬車の守りと援護射撃を行う事になった、それに合わせてパーティーメンバーも調整してある。あとは実際に起こってからの微調整だが、これは追い追いだな」

「了解。後は……おーい、2階聞こえてるか」

「「はーい」」


 2階に呼び掛けると、ユキムラ君とアンク君が返事が来て、2人は中央付近の天井から顔を出した。どうやって登ったんだ? 後で聞けば良いか。


「そろそろ出発するって伝えておいて、それと、馬車の上に出られるそうだからそっちの確認もお願い」

「「分かりました~」」


 2人が顔を引っ込めるのを確認してからイアン達に話かける。


「それじゃ出発するよ」

「おう、よろしくな」

「……ようやくだな」

「楽しみッス」

「問題が起きませんように」


 ガブ、むしろ起こりそうに聞こえるからな、その発言。口には出さないけど。さて、水クッションに座り、グレイスとシロツキは一緒に御者台に居てもらって、鼻と耳で周囲の警戒をしてもらう。探知系は多くて困ることはないだろうからな。ゴウカとケンランは中で待機、一応作った水槽、いや桶? かな、に水を入れて中で休ませておく。あの子達は生まれたばかり、まずは戦闘に慣れることから始めよう。これで準備完了だ。


「それじゃガガ、ココ、しゅっぱーつ!!」


 俺の掛け声を聞き、歩き出すガガとココ。既に東門は開かれ人が行き来し、その前には門番が立っている。話を聞かれたりするのかな? とか思ったけど普通に素通り出来た、じゃあ何で内側に立ってたんだ?

 ……まあ、良いや。さてドンドン進もう!


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ジンさんは、どうやって従魔を増やしてるんですか?」

「唐突だな、何でそんな事知りたいんだ?」


 出発して一時間、少々早足で馬車を走らせていると、ユキムラ君が聞いてきた。聞かれても具体的な事は答えられないんだけどな。俺もなんとなくしか知らないし、だから、質問で返す事にしたのだが、


「僕が知ってるプレイヤーで従魔が欲しいって人がいるんですが、なかなかテイム出来ないって言ってて、もし、コツなんかがあったら教えてあげたいな、と思って」

「そうか。でも俺も詳しくは知らないんだよな~、一応グレイス達を従魔に出来た時の状況でも話そうか?」

「はい! それで構いません」

「了解、それじゃまずはグレイスだな。この子は『グルルルル』悪いユキムラ君、その前にお客さんみたいだ。クロウ! 何かいるぞ! 分かるか!?」


 会話の途中グレイスが低く唸る、これは攻撃する意思を持つ相手が姿を見せていないときにする仕草だ。俺の【気配察知】にはまだ反応が無いから、風上、今回は正面方向の離れた所に相手が居るのだろう。とりあえず、周辺の警戒を行っているクロウに伝えるべく声を上げる。しかし、


「こっちにはまだ反応が無いッス!」

「分かった! 反応があったら言ってくれ!」

「敵か?」

「あぁ、グレイスが警戒してる、多分正面だ」


 イアンが正面を覗きこみながら聞いてくる。だから簡潔に答えた。すると、


「そこまで分かるのか、ならなんとかなるかもしれん。クロウ! 馬車前方に集中だ!」

「了解ッス!」

「そんな事出来るのか?」

「あぁ、スキルの一部がジョブによって能力が変動するのは知ってるか?」

「一応」

「【盗賊】の場合【気配察知】なんかの探索系のスキルがそれだ。方向を定める事で探索範囲を広げる事が出来る」

「なるほどな」

「見つけたッス!」


 早速見付かったようだ、俺の【気配察知】は相変わらず敵の居場所を見付けられていない、う~む、これがジョブの差か。

 グレイス達も見つける事は出来るけど、会話が出来ないから詳細までは分からないんだよな~、将来的になんとかならないものか。


「数は!?」

「え~と、二十!」

「ガブ! 上がれ! 相手が何か確認してくれ!」

「了解! 梯子下ろしてください!」


 2階から梯子がスルスルと下りてくる、そんな風になってたんだな、まぁ、今それはいい。

 それよりも、ガブを上にやったってことは遠くの相手を確認するスキルを持ってるって事だな。ゴウカとケンランが飛べるけど、あの子達も会話が出来ないからな~、この問題はなんとかならないものか。今はイアン達がいるから良いけど、普段は従魔達だけになるし、今後の課題として覚えておこう。


「確認しました! 相手はプレイヤーです!」

「相手の様子はどうだ?」

「マーカーは動いて無いッス」

「森の中に隠れて何かを待ってると思います」

「私も確認しましたが、あれは待ち伏せではないでしょうか?」


 ガブの報告にイアンが更に聞き返し、クロウ、ガブが答え、ネリネさんが補足する。そういえば、ネリネさんもガブと同じ【狩人】だったな。


「何故そう思う?」

「あちらもこちらの様子を伺っている様に感じました」

「……PKか?」


 PK、プレイヤーキラーの略、殺伐としたオンラインゲームでは当たり前にいるプレイスタイルだが、このゲームにもいるのか?


「【CWO】だとまだ噂も聞かないッスね」

「掲示板で確認取ってみます」

「僕も手伝います」

「頼む。ジン、お前はどう思う?」

「グレイスが唸ってたから俺達に用がある可能性は高い、と俺は思う、だから、戦闘準備はしておいた方がいいんじゃないかな? 」

「従魔の事は俺には分からんが、何が起きても良いように準備はしておくのは賛成だ。よし、全員戦闘準備! いつでも動ける様にしておいてくれ!」


 各々が返事をするのを聞きながら考える。もし、本当にPKだとしたらどう対応するか、相手は俺と同じ異人、だったら度肝を抜くのが一番効果的だろう。それなら、


「イアン」

「どうした?」

「俺にちょっとした策があるんだけど、聞いてもらえる?」

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