02『装備新調』
暫くは準備期間です
メルトさんに連れられ工房の裏にある店に来た、名前は【ガンガン武具店】工房と同じ名前だ、同じ人が付けたのかな?
「さて、ここが親方達の店だ。今回は裏から入ったが、次からは正面から頼む」
「分かりました」
その正面の扉は右側に見える透明な扉の様だ。ガラスで出来てるのかな?
「それで、あっちが新人の作品だ」
メルトさんが左の奥を指差し、説明を始めた。
「とりあえず、商品として出せる物を店の【経営師】が値を付けて置いてある。まずは売れる事を優先する、名を売らなきゃ始まらない商売だからな。一般に売り出されてる物より安く設定されてる筈だ、掘り出し物もあるだろうよ。ちなみに」
今度は右奥を指差し、
「そっちが初心者向けの装備だ、好きに見ていってくれ。それじゃ、俺も仕事に戻るぜ」
「ありがとうございました」
「良い出会いがあることを祈ってるぜ」
メルトさんが来た道を引き返すのを見送る。
さて、まずは初心者向けを見てみるかな。店の入り口から右手前に向かい、装備品を見ていく。だけどこれは、
「値段はいけるけど、性能は今のと然程変わらないな。とりあえず値段だけ把握しておくかな? 」
置いてある装備品は、どれも一式装備で4000zl程、一つ700zl位と仮定して良いだろう。性能も今着けてるのと変わらない、いや、むしろ劣化してしまっている。何故ならどれも耐久値が存在してしまっているからだ。これなら今の装備の方が絶対良い。
「よし! 次は新人の作品とやらだ。良いものは有るかな? 」
そのまま奥に向かい、新人の作品とやらを見ていく。しかし、これは、
「確かに安いけど、性能のバランスが悪いなぁ」
一番安い物で500zl、高くても3000zlと、どれも手に届くが、性能がまちまちだ。例えば、
【アイアンプレート】 製作者【ガイル】
防御:12 耐久値:70/70
鉄で出来た胸あて
1100zl
これを、見た目と名前が同じ物と性能を比べてみる。
【アイアンプレート】 製作者【ジラン】
防御:10 耐久値:100/100
鉄で出来た胸あて
1100zl
と、まぁこんな感じで、製作者の腕によるものか少しずつ性能が違う。もしかしたら狙ってやったのかもしれないが、まぁ、とりあえず、良さそうな組み合わせを探すかな。
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まさか、装備を選ぶのに一時間以上かかるとは思わなかった。普段の買い物だってこんなにかからないのに。だけど、おかげで良いものを見つけることが出来た、と自負している。
【森のスカーフ】 製作者【カンナ】
防御:6 精神:6 耐久値:60/60
緑を基調としたスカーフ
800zl
【レザーの胸当て】 製作者【アヤメ】
防御:14 耐久値:120/120
牛革を張り付けた胸当て
1600zl
【アイアンガントレット】 製作者【ネリネ】
防御:9 器用:4 耐久値:80/80
鉄で作られた籠手
1200zl
【アイアンバングル】 製作者【ネリネ】
防御:7 器用:3 耐久値:85/85
鉄で作られた腕輪
1000zl
【レザーベルト】 製作者【アヤメ】
防御:8 持久:4 耐久値:70/70
牛革で編まれたベルト
1100zl
【レザーブーツ】 製作者【アヤメ】
防御:8 素早さ:7 耐久値:100/100
牛革を張り付けた靴
1400zl
合計7100zl、なかなかいい感じではないだろうか。実際に戦って見ないと分からんが、とりあえず防具はこれで良いだろう。製作者の名前からきっと異人だろう、さすがに、シノブと同じ出身地のノルンが沢山いるとは思えないし。
ちなみに選んだ基準は、防御と耐久値のバランスだ。さて、次は武器に行ってみよう。
【牛革の鞭】 製作者【アヤメ】
攻撃:18 器用:8 耐久値:150/150
牛革で作られた鞭
3000zl
予算内で性能が良かったのはこれ位だった、戦う時にはこれに魔力を纏うから、もう少し性能も上がるだろう。さて、購入してグレイス達を迎えに行こう。そして、目指すべきは東門だ。ギルドカードを返して貰った時に、東門である人と合流するように言われているのだ。誰か聞いたけど『行けば分かる』、と誰かは教えてくれなかった。さて、誰が待っているのかな?
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グレイス達を引き連れてやって来ました東門、ここから街道を進めば王都にたどり着く。準備が整ったらこの門から出発することになる筈だ。
さて、ここで人が待ってるそうなんだが、と言うか見知った顔が正面にいるけど、あれかな?
「やあ、来たね。思っていたより早かったじゃないか」
「待っている人、って言うのはセネルさんでしたか」
待っていたのはセネルさんだった。知ってる人だと分かって少し安心した、いきなり知らない人と話すのは緊張するしね。
「ギルドマスターが急用で出かけちゃってね、急遽、話を聞いていた僕が、今回の足を用意させて貰うことになったんだ」
「そうでしたか、それで足と言うのは」
「用意は出来てるよ。ちょっと準備が要るけどね」
「準備、それはどれくらいかかりますか? 」
「それはジン君次第だよ。それじゃ付いてきて、案内するから」
「えっと、一体何処に? 」
「来たらわかるよ。さぁ、行こう」
そう言うと、セネルさんがずんずん進んでいくので、慌てて後を追いかける。一体何処に連れて行かれるのだろうか?
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「着いたよ、ここが目的地だよ」
東門から壁に沿って歩くこと10分程、壁が途切れ、外の様子が見える場所にたどり着いた。よくみると奥の方に壁の続きが存在している、どうやらここだけ壁が外されているようだ。
そして、壁と壁を繋ぐように木造のアーチがかけられ、文字が書いてある。え~と、
「【アイン牧場】? 」
アーチの向こうには、牧草地帯が広がり、それを囲むように柵が打ち込まれている。街のよりも低いが壁も存在している。右奥に小屋のような物が見え、奥側に大きな建物が隣接している。確かに牧場の様だが、
「ここで何をするんですか? 」
「ジン君にはここでスキルを習得してもらう。スキルの名前は【操馬】、馬車を操る術を覚えて貰うよ。明日までに」
「明日まで!? それはさすがに難しいのでは? 」
「異人のジン君なら大丈夫だよ。僕の予想では三時間もあれば十分じゃないかな」
「いや、それは無理ですよ!? それに馬と馬車はどうするんですか? いくらかは知りませんけど、今の手持ちで買えると思えないんですが」
「いやいや、そんな事は言わないよ、今回はレンタルだよ。あと、お金の心配要らないよ、ギルドが払うからね」
「そう、なんですか」
ギルドが持つなら別に問題はない、か? いやでも話が旨すぎやしないか、こんなに待遇が良くて良いのか?
「まぁ、心配なのもわかるけどね。とりあえず説明をしようか。まず、【操馬】を覚えてほしい理由について。ジン君は基本一人で動くみたいだから、最悪、誰かの馬車に乗れば良いと考えているかも知れないけど、従魔は魔物だから乗車拒否をされる事もある。魔物にトラウマを持ってる人もいるからね。ならば、馬に直接乗れば良いと思うだろうけど、動物だろうと魔物だろうと、個体差は早々埋められない。ジン君の従魔はどちらも瞬発力は抜群だけど、持続力と言う点では馬の方が断然高い。もちろん限界はあるけどね。つまり、一番簡単な方法がジン君自身が馬車を操り、同乗者を決める事なんだよ」
「理屈は分かりますけど」
「ギルドが負担する理由は簡単、指名依頼はできる限りのバックアップをすることが決められているからだよ。それじゃそろそろ行こうか。馬車で三日と言っても、それは半日以上馬車で移動した場合の話なんだ。異人である君が長くこっちに居られない以上、時間はギリギリだ。ここでこれ以上問答をしている場合じゃないよ」
「・・・分かりました、頑張ります。でも、その前に一度帰って良いですか? ちょっと用事がありまして」
「僕の役目はここに案内するまでだから、次は一緒に来れないけど、大丈夫? 」
「そうですね。話は通してあるんですよね?」
「そこは大丈夫、ジン君の冒険者プレートを出せば問題なく話は進むよ」
「なら、大丈夫です」
「それじゃあここまでだね、またねジン君」
「はい、ありがとうございました」
セネルさんを見送りゲートへ向かう。一旦帰って夕飯を取ろう、訓練するならそれからだな。
ストック貯まったので定期更新出来そうです
とりあえず週一で更新します
7月入ったときのストック量で更新する期間を
短くするか長くするか決めます
それでは