第39話「怪人達の幕引き」
パーフェクト・マニュアル・シング────もとい、恐山を倒した進は、
少し覚悟を決めた顔ながらも、何時もと変わらぬ雰囲気でヒーロー達の下へと戻った。
「皆様、この度はご心配をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません。
ですが、出酢泥井のボスである恐山氏は、微力なお力添えですが、
この通り私が倒しておきました。どうか、お許しはいただけますでしょうか?」
恐山の呆気ない死に、相変わらず固まっていた李夢達であったが、
進が来たことで我に返り、直ぐ様三者三様のツッコミを入れる。
先ずは禰音が、激しくツッコミを入れた。
「いや……許す許さないの話じゃなくて、アンタの力って本当にどうなってんのよ?
レーザーを放つような怪人の親玉に素手で立ち向ってワンパンとか、
カンパニーの歴史を見てもこれが初よ!?今でも信じられないわ!!」
続いて李夢が、姉に続いて呆れ半分のツッコミを行う。
「……あはは、進さん。君、大した事していないように言っているけど、
結構とんでもない事だからね?まあ、倒せたから別に良いんだけど。」
「──確かに、迷惑を掛けたと言えば、その通りですかね。改めてお詫び申し上げます。」
「いやいや、誰も怒って『は』いないけどさ……。」
しかし虎次だけは、進に対してキラキラとした視線を向けていた。
「進のアニキ……今、自分は猛烈に感動したっすよ!
あの凄い怪人達の親玉を一瞬でワンパンするなんて、大統領もびっくりな偉業っすよ!
やっぱりアニキは、自分達のヒーローっすね!
──ところでアニキは、どうしてそんなに強くなったんですか?」
進はそんな嬉しそうな虎次に向かって、こう返した。
「お褒め頂きありがとうございます。強いて言えば……
……私が強くなったのは、中学生時代から空手やランニングをしたり、
たまーにジムにも通いながら、怪人を毎日倒していたから……という所でしょうか。」
「いや……自分が兄貴みたいになれるビジョンが思い浮かばないっす。」
進の圧倒的な活躍に、話を弾ませていた一行であったが、
山賊バズーカはそんな彼らを呼び止めた。
彼は怯えていた倉次博士をしっかりと確保していた。
「おいおい、超大型新人の話で盛り上がるのは結構だが、
この迷惑博士の処遇も決めないか?事後処理も大切な仕事の内だろう?」
山賊バズーカの言葉で、鳴神姉弟や虎次は直ぐに空気を切り替える。
そして、李夢と禰音は二人して、悪い笑みを倉次に向ける。
「あはは……あんたは確かに『元凶』ではないけど、
恐山に加担して怪人を作っていた事には変わりは無いんだ。
街を壊してくれた分を含めて、どう償わせてやろうかね……。」
「うふふ……李夢、あんまりこの人を壊しちゃだめよ?
やって貰うべきことは一杯あるんだから……
……と言いたいところだけど、今回の功労者は佐藤さんね。
倉次博士の処遇は、貴方に決める権利があるわ。」
こうして、倉次博士の処遇は進へと委ねられた。
(……え、まさかの私ですか?先程の明らかに世界征服を企んでいたPMTは兎も角、
生身の人間相手にはどうすれば……そうだ、前に見た漫画の方式なら?)
進は内心困惑しつつも、考えを纏めた後に倉次博士へと向き合った。
「倉次貝蔵──貴方は『出酢泥井』の科学者として多くの実験に加担し、
街の建物や罪のない市民に対して、多くの被害を齎しました。
その事は決して許される事ではありません。しかしその一方で、
貴方の才能、そして怪人に掛ける情熱は本物であったと思います。
そこで──『司法取引』は如何でしょうか?
これからはヘラクレスカンパニーの管理下に置いて、
『機器のメンテナンスや注文に応じた研究・商品開発を行う』……
その条件で有れば、貴方の命はお助けしましょう。
ですが……それを破れば、貴方も恐山さんと同じ目に遭う事になるでしょう。
どうですか?その話を聞いて、どうするかは決まりましたか?」
「めめめ滅相も!喜んで貴方達の下でお仕事させて頂きますゥー!!」
その進と倉次の言葉を聞いた鳴神姉弟は、納得した表情を浮かべた。
「そうね、『使える物は使う』という精神……実に合理的で良いと思うわ。」
「あはは、まあ、逃げ出しても僕たちがいるから大丈夫、だよね。」
一方の進は、まだ内心少しビクビクしていた。
(ふぅ、『才能だけは認めて労役にする』……というよくある漫画の手法。
この方針は納得されるかが不安でしたが、上手くいって良かったです。)
こうして、出酢泥井はヘラクレスカンパニーの手により壊滅し、
生き残った倉次博士や配下の怪人達は、カンパニー併設の地下収容施設にて、
労役に服する事となったのであった。
因みに後日、倉次博士は出酢泥井にいた時よりも、少しだけ顔色が良くなったという。
「ああ……人様の為に働くという事が尊いことだったとは……
もっと早くに知りたかったなぁ……。ありがとう、『佐藤 進』。」
出酢泥井戦、堂々完結!次回からは新章となります!!
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