20話 中間試験後ミルフィちゃん満身創痍!【sideミルフィ】
し、し、死ぬかと思ったぁあああ!!
ダンジョンの中よりも遥かに死を感じたわ……主に成績の終わり的な意味でね!
私は 《ダンジョン攻略専攻チーム》の新人で、今色々とギリギリで中間試験を切り抜けたミルフィ・クリミア。
成績が順位付きで張り出されている中庭にいるけど、成績の詳細についてはお願いだから聞かないで欲しい。
テスト対策に困っていた私は、チームの先輩たちに勉強を教えてくれるようにお願いし、それは即座に快諾して貰えた。だがしかし、その先に大きな問題があると発覚したのは後になってからだった……。
なんと先輩たちは本人の成績は良いのだが、揃いも揃って超感覚型で勉強を教えるのには一切向いていなかったのだ!! こんな悲しいことがあっていいのだろうか。
本当に本当に酷かった……何故か勉強の説明に擬音を使いまくってくる有様で、私も聞いていて、正直全てが終わったと思ったわ……。
だって『シュバッと計算でバビュッって答えが出るぞ』とか意味が分からなすぎるのよ!! ただ絶望しているわけにはいかなかったから、努力である程度まではどうにかしたけども。
しかし、それにしても私の成績は本当にギリギリ過ぎた。
いや、たぶん普通のクラスならば問題ない範囲っぽいんだけど、少し前に先生から呼び出されて『特別クラス』でこれはちょっとみたいな反応されちゃったから……。
ねぇなんで私は本当にこのクラスに所属しているのかな!? 何か根本的に間違ってない? お陰で今からもう、次のテストが恐ろしいんだけども。
「あ、クリミアさん居た居た」
私が一人で頭を抱えていると聞き覚えのある声が耳に届く。
こ、この声は……。
「ごめんクリミアさん、個人的な用事で色々忙しくなっちゃって。でもこの後からは、またちゃんと一緒にダンジョン攻略の方にも行くからよろしくね」
か、かなり久々のジミーだ!!?
最近では地味すぎて、それが逆に特徴的な気がしてくる茶髪で眼鏡の制服姿。存在感が無いことが、むしろ唯一無二の特徴である同級生のジミーことチャーリー・クレイである。名前についてはジミーの方が馴染んでいるので、本名の方には自信がないがたぶん間違ってないはず。たぶん。
「ど、ど、どこ行っていたのよ~!!」
彼はある日のダンジョン攻略の休憩中、唐突に離席して以来、しばらくチーム自体に顔を出していなかった。なので普通の様子で登場したことに、私は大変驚いた。
「だからさ、個人的な用事だって。僕ってこれでも、それなりに忙しい身の上だから色々あってさ」
「うへぇ、なんか鼻につく言動は相変わらずね」
「ありがとう、君も変わらず淑女にあるまじき言動だね」
「うるさいわね……というか、そんなこと思っていたの!?」
「うん、あえて触れなかったのはただの優しさ……とそっちの方が面白いと思ったからだよ。だから変わらなくていいよ」
「すっごいヤダ、絶対後々直す、少なくともジミー以外には淑女って思われる程度には頑張るから」
「えぇ~」
会話が一旦途切れたところで、私はあることを思い出して、恐る恐る口に出す。
「それで、ジミー……あの時のアレなんだけど」
「ん、なに?」
「だから、アレが嫌だったんでしょ!? ほら、私が彼氏面みたいに言ったこと……ごめんなさい」
気まずくて最後の方はつい小声になってしまった。
だって彼が突然いなくなったのは、あの発言が原因としか思えなかった。きっと相当に嫌だったのだろうなって。
「ああ、アレか別に大丈夫だよ。むしろよかったとすら思ってるし」
「よ、よかった……?」
え、そうなると全然話が変わってくるんじゃ……。
私の考えに答えが出る前に「それよりもさ」とジミーが言葉を続けた。
「クリミアさんのこと、よければミルフィさんって呼んでもいいかな」
「え、なんで、どうして今の流れで」
「より親睦を深めたいと思ってね。それともやっぱり、彼氏面をされるような気がして不安?」
「やっぱりそのネタ引きずってるじゃない!! わかった、別にいいわよ」
そう言い切ってみてから、私はある疑問に首を傾げる。
「あれ、でもそれなら、私の方はどう呼べば」
「それは今まで通りジミーでいいよ。もし変えてほしくなったら自分から言うからさ」
うーん、イマイチ納得できないけども、そう言われたら仕方ない、特に代案もないしジミーと呼び続けよう。
それにしてもなんでコイツはずっと、ややムカつく言動を取るのだろうか。私が特別馬鹿にされているだけかな……。
「あ、そういえばジミーはテストの成績どうだったの?」
「そこの成績表の通りだけども」
「いや、だから書かれてる人も多いし、どの辺なのか教えて欲しいなぁって」
「とりあえず上から見て行ってみてよ」
「はぁ、上からって……さ、さ、三位!?」
「まぁ、悪くはないでしょ」
ジミーの本名チャーリー・クレイは、堂々と三位の位置に名が刻まれていた。
あと彼の反応からして、私の覚えている名前は間違っていなかったのだと、そこも密かにホッとした。
「いやいやいや、悪くないというかバリバリの上位じゃないの!!」
「そうだね~」
しかしジミーはこの好成績に平然としている。まさか、この成績が彼にとっては当然なのだろうか……う、うぅ。
「……も、もしよければなんだけど、勉強の方法とか教えてくれない?」
「ん、でも君、先輩たちに聞くって言ったなかったかな」
「一旦試してみたけどダメでした!! 詳しくは聞かないで欲しいんだけど……だからお願いします!!」
私は迷わず頭を下げる。ここまで来たら使えないプライドなんて必要ないので、力一杯遠くへと投げ捨てることにした。
「ふーん、なるほどね……まぁ、いいよ。僕もミルフィさんとは、もっともっと仲良くしたいと思っていたし、ついでに勉強も教えて上げる」
「ありがとうございます!!」
よかったぁ!! ジミーが謎に私と仲良くしたいと思っていてくれて!!
ふふ、これで次のテストはどうにかなるかも知れない……。
全てはジミーの教え方の上手さ次第だけども、今はそれに賭けるしかないわね。
お願いジミー、勉強を教えるのが天才的に上手くあって!!




