8-2話 トラウマ
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「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……めっっっちゃムラムラする……」
一年くらい前、まだ愛しのふーちゃんと出会っていなかった頃の話だわ。
仕事で依頼されていた魔物退治を終えた帰り道、異常にムラムラしていた私は結構デカイ声で独り言をつぶやいていた。
なんかあるじゃん、すっごくエッチしたくなる時期って。
その時がまさにそうだったのよ。
「可愛い女の子なら誰でもいいからヤらせてくれないかなー。正直もうオ〇ニーじゃ満足できないのよねー……」
私は毎日のようにオ〇ニーやっているんだけどその頃からマンネリ化しちゃっていまいち良くなかったのよねー。
別にオ〇ニーでイけないわけじゃあないのよ?
そりゃあ弄れば声も汁も出るんだけどさー……なんだろう……私自身も何故かはわからないけど最近はどうも満足できないのよねー。
オ〇ニーで満足できないならS〇Xすればいいのでは?
そう思った奴いる?
だったら死ね。
相手がいないからこのムラムラの行き所がないのよ!
正直に言う。私はモテない。ビックリするほどモテないし、今まで彼女ができたこともない!
「だいたいさぁ、なんで勇者様であるこの私がモテないのよ! じじいから聞いた話だと勇者現役だった時はめちゃめちゃモテたって言ってたわよ!? クールな爆乳お姉さんにロリロリな美幼女、同い年のツンデレ、エトセトラエトセトラ。私もそんな女の子達にモテたいわねぇ」
欲望を声に出すが、自分の声だけが周りに反響して妙に空しい。
それに私がこうして不満を声にしている間にもS〇Xしている奴がいるかもしれないと思うと余計に腹が立つ。
ムラムラに加えてイライラも増してきたそんな時、
「きゃああああああああああああ!!!」
甲高い悲鳴が少し離れたところから聞こえてきたのだった
「女の子の声だ!」
悲鳴が聞こえてきたことの驚きより女の子が近くにいることの喜びが勝った。
身体が女の子の身体を求めているせいなのかいつもより女の子センサーが敏感に反応している。
(私の体内センサーによると声の元は方角東北東から約400mくらい。
待っててね! 40秒で向かうわ!)
そうして私は声の元まで全力疾走。
流石私、あっという間に声の元までついてしまったわ。
「ぐるるるるぅ……!」
「あ……あぁ……いや……! だ、誰か助けて……!」
そこには女の子一人とハウンドウルフという犬っぽい魔物が数匹。
私は少し離れた草むらからその様子を見ていた
女の子は魔物に囲まれているその子は足がすくんでしまって逃げられない様子。
絶望的な状況に涙を流しながら小柄な身体を震わせている。
まぁ、小柄といっても私が身長が高いからねー。それに比べたら小さいって程度で多分私と同じくらいの年なんじゃないかなーと予想できる。
(……おっと、観察している場合じゃあないわ。早く助けてあげなきゃね。
よこっらS〇X……と。)
ザッ
「!?」
草むらから私が乗り出したことにより小さな音が鳴り、女の子と魔物が同時にこちらを見てくる。
いいわよいいわよ。どんどん注目しなさい。
これからこの勇者様が魔物をバッタバッタと薙ぎ払っていくヒーローショーをお披露目しちゃうかんね。
「がうぅ!」
私に気づいた魔物の数匹がこちらに飛びかかってくる。どうやら私の力量を分かっていないみたいね。
鞘から剣を抜くと同時に数匹の魔物を同時に切れる軌道で一振り。
光の速度で振ったその剣をよけることは到底不可能。
まさに紫電一閃。
私の鋭い剣捌きにより数匹の魔物が『キャイン!』とダッサい鳴き声をあげると同時にバッタバッタと倒れる。
剣が当たらなかった残りの魔物達も私にビビったのかそそくさと逃げていった。
(ざっこ! もうちょい見せ場作りたかったんですけどぉ。
最近の魔物はどうも手ごたえがないわねぇ……)
「はぁ……」
(あまりの弱さに思わずため息がでてしまった。退屈ったらありゃしない。
強くなるっていうのも考え物ね。
……おっと、いけないいけない。
とりあえず襲われていた女の子に声をかけなくちゃね。)
「もう大丈夫よ、怪我はない?(イケボ)」
「あ、ありがとうございます! おかげで、助かりました……」
「お礼なんて良いわ。当然のことを……したまでよ!(キリッ)」
カッコいいセリフと共に持っていた剣を片手でクルクル回しながら鞘に収める。
(決まったわね……
どうよ? 今の私カッコよすぎない?
ふふっ……この一連の流れを動画に収めてネットに公開すれば全世界の女子が私に惚れるわね。)
「あの、助けて貰った身で申し訳ないのですが、私のお願いを聞いていただけないでしょうか」
今のカッコよさの余韻に浸っているとその子は私にお願いしてきた。
(何をお願いされるんだろう?
まぁ、女の子の頼みとあれば断るわけにはいかないわね。)
「いいわよいいいわよ。お願いって何かしら?」
「魔物から逃げている時に足をくじいてしまいまして……申し訳ないですが私を村まで送っていただけないでしょうか」
「あー、そんなこと? お安い御用よ。よっこらセック……じゃなかった、よっこらっせと」
思わず下品な言葉を言いかけたけど言い直してから足をくじいた彼女を背負う私。
だが、そこで重要な問題発生。
いや、その子が重かったわけじゃない。むしろ軽かったわ。
問題というのは彼女の胸が私の背中とピッタンコしたせいで私の理性が暴走しかけていたのだった。
(あー! 女の子のやわらかい身体が私の身体と密着している……!
これはもうS〇Xなのでは!?
さらに女の子特有の良い匂いが私の鼻孔をくすぐる!
あーヤバイ! 興奮しすぎて身体が熱くなってきた!)
「あのー、もしかして私重かったですか?」
私が彼女の身体と匂いを堪能していると背中越しに彼女が話しかけてきた。
「え……そ、そんなことはないわよ? どうして?」
「いや、あなたが『はぁはぁ』息が荒いのでそうなのかなー、と思いまして……」
(しまった。
興奮しすぎて吐息が荒くなってしまった。)
「大丈夫よ、気にしないで! ちょっと犬のモノマネしてただけだから!」
「そ、そうなんですか? だったらいいのですけど」
なんとか誤魔化せた私はそれから息が荒くならないように注意しながら私は彼女の身体(?)と匂いを満喫しながらも足を進め続け彼女の村まで向かっていった。
そうして、あっという間に彼女の村についてしまったわ。
楽しい時間はすぐ過ぎてしまうって本当ね。
「村まで送っていただき本当にありがとうございます。」
「気にしなくていいわよ。これが私の仕事みたいなものだからね。ところでなんであなたはあんなところに居たの?」
「私は普段からあの辺りで山菜やキノコを採りに来ているのですよ。いつもは魔物がいない場所のはずなのですが、何故か今日は魔物があの場所まで来ていたおかげで襲われてしまったのです」
「へー、それは災難だったわね」
「えぇ、ですがあなたのお陰で助かりました。本当にありがとうございました」
命の危機が去ったためか恐怖で怯えていた彼女の姿はもうなく、安心しきった彼女は私に向けてニコリと笑いかける。
その笑顔が非常に可愛くて私の心をキュンとさせた。
(近くで見て分かったけどこの子なかなか可愛いわねー。
ヤれるかヤれないかって言われたら断然アリ寄りのアリ。
というか正直ヤりたいわー。
…………そういえばだけどさぁ、この状況って私がこの子を助けた命の恩人になっているよね?
この恩を盾に告ったらOK貰えるんじゃね?
その流れでホテルにGOできるんじゃね?
ヤれるんじゃね?
よし! 告ろう!
そしてレズセ処女卒業しよう!!)
出会って少ししかたっていないけど私はこの女の子に告白することを決心した。
告白の勝機もあったし、なによりもS〇Xしたい欲が私を積極にさせた。
……今思えばこの時の私はどうかしてたわ。
ムラムラしすぎてとにかくS〇Xしたいという欲望だけが脳内を支配していたと言っても過言でなかったかもしれない。
「あ、あのさぁ……」
「はい! なんでしょうか?」
「私にもお願い……というか聞いて欲しいことがあるんだけどいいかな?」
「あなたは私の命の恩人です。私にできることであればなんでも聞きますよ!」
「えっとね、私とぉ……そのぉ、お突き合……じゃなかった……お付き合いしてくれませんか!?」
「え……………………えぇ!?」
一瞬何を言われたのかわからなかったのか少し間を開けてから驚く彼女。
いきなり告白したからビックリさせちゃったんだと思う。
でも、正直私はこの告白にOKを貰えると思っていたわ。
この子にとって私は命の恩人なわけだし?
自分で言っちゃなんだけど私って顔もスタイルも結構いいしね?
だけど……その子は私が予想しない言葉を言ってきたわ。
「ご、ごめんなさい! 私、彼氏がいるので……」
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「それからよ。私が男を嫌いになったのは」
彼女の男を嫌いなった過去の話が終了。
話を終えた彼女は『そんなこともあったわね……』と懐かしいような寂しいような表情をしている。
恐らくであるが、この過去話から自分のことを同情して欲しいのではないだろうか。
しかし、
「因縁深いとか言ってたけどめっちゃ内容浅いじゃん」
「男の人が嫌いになった話のはずなのに登場人物に男の人がいなかったのですが……」
「ただの逆恨みだよね。告白した子に彼氏いたからって男の子嫌いになる? というかこの話って最後の振られた所だけで良くない?」
話を聞いていた3人のそれぞれの反応から同情の気持ちは全く感じられない。
それもそうだ。深刻な顔をして話すからとんでもないトラウマを抱えているのかと思いきや、助けた女の子とヤりたい一心で告白したら振られた、というだけの話を聞かされた3人はユウキを呆れた表情で見ていた。
「うるさい! とにかく男を連れて行くのはダメ! もう私の女の子を取られるのは嫌なの!」
「別にその女の子もゆーちゃんのものではなかったでしょ……」
「むしろユッキーの方が彼氏持ちに手出そうとしてたよね」
どうやらユウキの認識としては自分の女の子を男の子に寝取られたような感覚らしい。
なんというか、思い込みが激しいというかただのアホというか……
ただ、そのおかげで説得が進まないというのは事実であった。





