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セクハラ勇者ちゃんと行く愉快な世界〜異世界転移した私と変態達の旅〜  作者: もみまん
6話 NOT変態? 謎多き黒魔道士
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6-1話 美少女黒魔導師クロエル

「もういやああああああああ!!!」

 

 先ほど、魔物によって恥辱を受けさせられた文であったが、それからしばらくした後に再び魔物に襲われていた。

 今度はカエルのような魔物の舌に絡まれており、身動きが取れなくなっている。

 そして、ユウキとシスティアの二人はどうしていたか、というと、『またか……』といった表情でその光景を見つめていた。

 

「なんでかよくわからないけど、ふーちゃん、よく魔物に襲われるわねぇ」

「こんなにも魔物から襲われるなんて、魔物を惹きつける何かがあるんじゃないですかね? 私はうらやましいですけど」

「雑談はいいから助け……ぴゃあああ!」

 

 ふとももを舌で舐められ、ぬるっとした感覚が走り、文はすっとんきょうな声をあげる。

 それを聞き『あー、はいはい』と言ってユウキが剣を抜こうとした、その時、

 

 ズギャン!

 

 と、どこからか稲妻のようなものが走り魔物に命中した。

 

「ぎゃん!」

 

 それに驚いた魔物は、絡めていた文を解放し、解放された彼女は地面に尻餅をつく。

 

「いたた……」

「フミさん大丈夫ですか? 回復しておきますね」

「うん、ありがとうシス」

「さっき飛んできたのは魔法かしら? あっちから飛んできたように見えたけど……」

 

 3人は稲妻が飛んできた方向に目を向けると、そこには、とんがり帽子を被り、帽子からは派手なピンク色のツインテール。

 そんな特徴的なツインテールを揺らしながらこちらに駆け寄ってきた。

 

「ねぇ! あなた達、魔物に襲われてたようだけど大丈夫だった?」

 

 ツインテールの少女は倒れていた文に駆け寄り身を案じているようである。

 一行はこの人物が先程稲妻を飛ばして文を助けてくれた事を理解した。

 

「もしかして助けてくれた人? あ、ありがとうございます!」

「いいよいいよ! そんなことより立てる?」

 

 少女は尻餅をついている文に手を伸ばし、それに応じるように文も差し出された手を掴もうとする。

 

「あ! ちょっと待って!!」

 

 ユウキは文と手を伸ばした人物に対して声をあげた。

 文に宿っている謎の力は『女の子にだけ力が強くなる』というものだと予想されており、前に尻餅をついた文を起こそうとしたユウキが地面に突っ伏したことがある。

 声をあげたのは、自分と同じ状況に立ってしまった彼女に危害を加えてはならないと思ったからだ。

 しかし、その声が間に合わなかったのか文はその差し出された手を引いてしまった。

 

「よいしょっ……と」

「大丈夫? 怪我はない?」

「うん、大丈夫だよ」

 

 しかし、ユウキの予想と反して何も起こらず、普通に文は立ち上がり、ツンテールの少女も吹き飛ばされることはなかった。

 至って普通の光景のはず。

 しかし、ユウキとシスティアの二人は違和感を感じていた。

 

「あ……あれ? 私達みたいにならない……?」

「おかしいですね、フミさんのあの力が発動しませんね」

「えぇ……本当にふーちゃんの言ってたように変態にしか効かない力なの?」

「へ、変態にしか効かない力? なんですか、それ?」

「いや、シスがいない時にふーちゃんが『この力は変態にしか効かない力なんじゃないか』って言っていたから」

「へー……って、私、フミさんに変態だと思われていたんですね……影で見下されるなんてそれそれで興奮します……!」

「なんでもありね、あなた」

 

 相変わらずなシスティアにユウキは呆れる。

 

「あ、あのー……どうかしたの?」

 

 2人がそんな話をしていると、ツインテールの少女が心配そうに話しかけてきた。

 

「あ! ごめんごめん! なんでもない! ふ―ちゃんを助けてくれてありがとね! あなた、名前は?」

「わたしはクロエル! クロ、くー、クロエ、エル、好きな呼び方をして頂戴。黒魔導士(クロマ)……じゃなかった! 超絶美少女黒魔導士(クロマ)ダゾ!」

 

 助けてくれた少女による、かなり高めなテンションでの自己紹介。

 なんというか、かなりアレな自己紹介であった。

 

「美少女って自分で言うものなんでしょうか?」

「うーん……なんというか、かなり痛い子なだけだと思うよ」

 

 自分で美少女と自称する彼女に対してユウキとシスティアの二人は微妙な反応をしていた。

 しかし、そんな反応を見ても尚、クロエルの自信満々の態度は変わらない。

 

「ふふーん! 美少女すぎる私の美貌に釘付けかな?」

 

 彼女は自分の顎に手を当てて自信満々の表情をしている。

 どうやらかなりのナルシストのようだ。

 

「はーん? 美少女レベルならふーちゃんも負けてない……っていうか負けるはずがないんだけど!」

 

 自身の容姿に自身満々のクロエルに対して対抗意識を燃やしたのか、ユウキは文のメガネを取り、文の素顔を晒させる。

 

「ちょっ……! メガネかえし――」

「ぐっはあああ!! こ、これは……かなりの美少女力……!」

 

 文の素顔を見てショックを受けたクロエルは何故か漫画のように吹き飛び、後ろにあった木に『ビターン!』と叩きつけられた。

 

「えっ!? 何!? 何が起きてるの!? 私、見えないから分かんない!」

「大丈夫大丈夫、クロが吹き飛んで口から血を垂らしている程度だから」

「なんで!? 私の目からビームでも出てるの!?」

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

「ところで、3人の名前は? 教えてー」

 

 クロエルの自己紹介からドタバタした後、3人の名前を聞いていないことを思い出した彼女が名前を尋ねてきた。

 

「私は文! さっきは助けてくれてありがとう!」

「ユウキ、気軽にゆーちゃんって呼んで」

「システィアと申します」

 

 3人もツインテールの彼女に自己紹介した。

 

「オッケー! ふーみん、ユッキー、シスチーね!」

 

 彼女はいきなり3人のあだ名をそれぞれつける。

 どうやらかなりフレンドリーな性格のようだ。

 

「ふ、ふーみん? 超有名な女優さんみたいなあだ名……」

「シスチー……そんな呼び方されたことがないので斬新です」

「私に至っては無視されてるんだけど? ゆーちゃんって呼んでって言ったよね?」

 

 3人がそんな話をしている一方でクロエルは辺りをキョロキョロ見まわし、何かを気にしているようであった。

 

「ねぇねぇ、ところであなた達は3人で旅してるの? 他に仲間はいないの?」

「ん? 別にいないわよ、この3人だけ」

「ふーん……そうなんだー……」

 

 クロエルは他に誰もいないことを聞くと目を逸らして、残念そうにしていた。

 何故かは分からないが、先ほどまでのテンションが少し落ちたかのように見える。

 

「ちっ……男の子はいないのか……」

 

 クロエルはすこし顔をしかめると小さな声で何かをつぶやく。

 

「ん? 何か言った?」

「ううん! 女の子3人だけで旅ってすごいなーと思って!」

 

 ユウキは呟き声について追及したが、クロエルは再び笑顔を取り戻して何かを誤魔化した。

 

「ところでさ、3人にお願いがあるんだけど聞いてもらってもいいかな? 次の町まで私と一緒に行動してほしいの」

「別にいいけど……何かあったの?」

「いや、さっきので魔力使い果たしちゃって……これから魔物と遭遇しちゃうとどうにもならなくって……」

「ご、ごめんね! 私を助けたばかりに……」

「いいのいいの! むしろ、残り少ない魔力でどうしようと思ってた所であなた達に恩を売ることができたと思ってるから!」

 

 クロエルは文があまり気にしないように自身の悪い考えをわざわざ口に出す。

 ただ明るいだけでなく、相手のことも気にかけているようで、コミュニケーション能力の高さが伺える。

 

「ところでさ、なんでクロはこんな所に一人でいたのよ?」

 

 再び、ユウキが質問する。

 

「えーっと…………私、他の冒険者3人とパーティ組んでいたんだけどはぐれちゃってねー。そこで運良くあなた達を見つけたの!」

 

 クロエルが一人でいた理由について説明する。

 しかし、ユウキはその説明について納得できない点があった。

 

「……じゃあ、なんで――」

「ねぇねぇ、くーちゃんはいくつなの!?」

 

 しかし、ユウキが再びとある質問を投げかけようとした時、文が横から割り込んできた。

 彼女はとても嬉しそうな表情をしており、ユウキもその雰囲気に気圧されて黙ってしまう。

 助けてくれた、というのもあるのだろうが、どうやら身体の大きさも年齢も近そうなためなのか、クロエルに親近感が湧いたらしく、テンション高めで語り掛けているようだ。

 

「私? 14歳だよ」

「本当!? 私も14歳!」

「あーマジ? ふーみんとタメなんだー」

「ゆーちゃんもシスも年上だから嬉しいなー」

 

 今まで変態2人と共にしていたことで精神的に疲れていたがここで正常者なクロエルと出会いは癒しになっていた。

 そしてもう一つ。

 口には出さなかったけれどクロエルの体つきは文と似てかなり小柄であり、言ってはなんだが、胸は貧相である。

 今までデカ乳2人に囲まれてコンプレックスを抱えていた文にとって同じ体型のクロエルに親近感を覚えていた。

 

「ねぇねぇ、もっとくーちゃんのこと教えてよ!」

 

 それからも、文はクロのことについていくつか質問を重ねていく。

 その光景は転校してきた生徒に質問攻めする同級生のような微笑ましいものであった。

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