4-3
途中で視点変わります!
エルフはやれやれと言った顔で立ち上がり
「参った参った。参ったからこの針抜いてくれません?痛いんだけど…」
俺は思いっきり指で弾いた。
当然エルフの右足を貫通する。
「がっ!?」
「誰がいつお前にそんな声を出して良いと言った?」
「痛ったいっすね~そんな強引にやらなくてもいいのに…」
「まだ余裕がある様だな。幸いエルフは生命力が高いようだから大丈夫だな。」
現にエルフは両腕が無いが、飄々としていた。
むしろ余裕さえあるように思える。
そして右足を切り落とそうとしたら瞬間、
「ウィンドカッター!」
四方八方から風の刃が飛んできた。
しかも、それなりに強い物だ。絶対殺す気で来ているな。
「ウィンド。」
風の刃を風圧で押し切る。ウィンド自体風魔法の初級だ。
中級の魔法を初級で押し切られると言う魔法使いにとっては屈辱と言う事は、エルフにも同じだった。
「人間風情が…ヴェルグ様には適当に言っておけば良かろう。ズタズタになって後悔しながら…死ね!」
「何言ってんだ?お前」
その瞬間、エルフの上半身と下半身は別々になっていた。エルフは何が起こったのかわからず、?マークを浮かべたまま重力のままに落ちていった。
気付いた時には「あれは相手にしてはいけない」と今更ながら気付き、エルフは這いずりながら逃げていた。
自慢の身体は砂利で傷だらけになり、下半身は消え、10分前には悠々と歩いていたのに今ではこんな有様だ。
「おうおう、こんな時にエルフ様がどうしたんだい?」
この時のエルフにはまさに神のように思えた。
彼と同じ位の強さに見える剣士が歩いていたからだ。
「たっ、助けてくれ!さっきある男に襲われた!」
「それはいけねぇな…さて、どこに?」
その時、ラグナが歩きながら出てきた。
「ひっ!あっあそこだ!」
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ヴェルグ様から伝えられた任務はラグナと言う青年を生け捕りにする事だった。
その為ならある程度の犠牲は仕方が無いと言われたため、今回は簡単だと感じ、褒美の事を考えるとニヤニヤが止まらなかった。
そして、ラグナと同じ気配を帯びた2人組が馬車に乗ってるのを見つけた。
そして、馬車を風魔法で倒し、その2人を持っていた剣で切りつけ、時に魔法で傷つけ、ただのおもちゃの様に扱った後、次は街で暴れようかと思っていたら、声をかけられた。
「おい。お前と話がしたい。」
本当にゾッとする声だった。ヴェルグ様に精神保護の魔法をかけて貰わなかったら失禁していただろう。
この声の主はラグナと言う青年だろう。だが、この状態だとどうにも話せる感じじゃないし、タイミングを待つため、黙る事にした。
彼にとってはこれは一番の愚策だったのだ。
「なるほど、話せないのか。」
この青年はやはり馬鹿だと思ったら自分の右腕が消えていた。
「話せないじゃない。話せないなら死ね。」
それと同時に左腕も切り落とされた。
その時、エルフはものすごく焦った。(こいつは殺す事を躊躇わない)と本能的に察知したのだ。
次の瞬間、ものすごい激痛が右足に走った。
そして、被っていたフードも取られた。
その時はなんとか交渉してみるしかないと悟り、軽く「参った参った。参ったからこの針抜いてくれません?痛いんだけど…」と言ったら、さらなる激痛が走った。針が貫通したのだ。
ここからは完全に彼から逃げる事を目標にすると誓ったエルフであった。
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