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3

 その夜、私は祐二君の呼び出しで久しぶりにドロシーズに足を運んだ。

 シャッターが降りた店の前まで行くと、祐二君がダウンコート姿で寒そうに私のことを待っていてくれた。


「どうしたの、急に」

「いや。ちょっと一緒に見てもらいたくて」


 そう言って彼は裏口に案内する。

 鍵を開けて中に入ると、店舗奥の個室だった。いつもキャンドル教室を開いていた場所だ。見上げると出口の上の非常灯がひび割れていた。


「これなんですけど」


 そのテーブルの上に乱暴に置かれた金庫が開いている。中には何も入っていない。


「どうしたの?」

「うん」


 彼は返事だけして、店舗の方の明かりを点ける。特に店の方は何も変わっていないように、私には見えた。


「何?」

「泥棒じゃないと思うんですよ」

「え?」


 それはお金が盗まれたと言いたいのだろうか。


「ここの合鍵持ってるのって、俺と、その……」


 ――金森烈(かなもりれつ)


 その名前がすぐに浮かんだ。


「どういうこと?」

「分かりません。ただ、ここにはお金だけじゃなく、権利証とか保証書とか、そういう大事な書類も全部入ってたはずなんです。俺、金森さんが店を閉めてからも時々様子を見に来てて……けど、こんなこと今までなかった。ねえ、海月さん。俺、どうするべきですか?」


 いつになく祐二君の顔に焦りが見えた。

 けれど、


「どうしたらいいんだ……」


 何度もそう呟く彼に掛ける言葉を、私は持ち合わせていなかった。


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