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付き合って、と言われて久しぶりに週明けの月曜、友理恵とお茶をした。
とにかく話だけしたい時に彼女はコメダ珈琲を選ぶ。目の前にはチョコシロップのたっぷり掛かった季節限定のシロノワールが置かれると、
「友達の話なんだけど」
そう言って大きめに切り分けたそれを、次々と口に詰め込んでいく。
私はコーヒーだけで良かったが、それでも付き合いにとムースのプリンケーキを頼んだ。どれも量が多いから苦手なのだけれど、これなら口当たりもよく、午前中に食べても夕方までもたれない。周りの席を覗き込むとみんな結構モーニングを注文していた。
「二十歳も下の子と付き合ってたんだって」
「浮気してたってこと?」
その年齢差に、私は祐二君のことをすぐ思い浮かべた。
「そんな甘いのじゃなくて、不倫よ不倫。ちょっと前には旦那に内緒で名古屋の方まで不倫旅行してきたってはしゃいでたのに、昨日なのよ」
「何が?」
「その相手に気になる人がいるから、もうこういう関係は精算したいって言い出されて」
苛立っている理由はそれか、と勘ぐりながら私は相槌を打つ。
「で、その彼の気になる相手っていうのがまた若い子だったら良かったんだけど」
「違ったの?」
「私たちと同じ年代の、旦那と死に別れた未亡人なんですって。じゃあ別に友達とずっと付き合ったって変わらないと思うじゃない?」
変わるとは思うけれど、反論はしない。友理恵も私の言葉なんて待っていない。
「でも彼が言うんですって。あの人には自分が必要で、彼女にはもう旦那も子供もいるから、こんな汚れた関係は忘れた方が良いって。不倫しておいて何様のつもりなのよって!」
シロノワールの半分が消えても、彼女の憤りは収まらないようだった。
「それで友理恵はその友達に何て言ってあげたの?」
「私? 私は当然怒ったわよ、その彼女を。どんなに綺麗な言葉で取り繕ったって不倫は不倫なんだから、いつかは切れる関係なの。それを自分たちだけは違うとか言ってて、いざそんな風に正論ぶたれたら逆ギレするとか、おかしいって」
いつも半分程度は友理恵自身の話なんだろうと思って聞いているのだけれど、今日の話は少しだけ、私自身にも染み込んでしまう。
「じゃあ、もしもなんだけど、友理恵が二十も下の彼氏がいたとして、そんな風に言って別れを切り出されたとしたら、どうするの?」
「私? そんなの決まってるじゃない」
私はコーヒーカップで口元を隠しながら、次の言葉を待った。
「……何よ」
「その相手の女共々、不幸に陥れてやるわよ」
そう言えばそうだった。
友理恵は学生時代、自分の付き合っていた相手が別の女性に取られてしまったら、その女の家に男と何回寝てどこに遊びに行ってどんな言葉で悦ばせてくれたかを克明に書いたレポートを送りつけて別れさせるような、そういう執拗さも隠し持っていたことを思い出す。
「良い女を捨てる男と、その女から男を奪う女は、滅びればいいの」
彼女はそう笑って、残りのシロノワールにフォークを突き刺した。




