閑話 2
閑話とか書いてる方が、筆が進むなぞの法則がありますね。
ある日の魔王城の一角で、魔族たちが集まる会議、なぜか僕はそこにいた。
先日の戦いで吹き飛んだ部分も魔族の力か、魔王城はあっという間に修復がされており、中からみるとまるで何もなかったかのようだ。
「それでは、定例の魔族最高幹部会議を始める。先日の魔王様からの停戦通知の話に入る前に、四天王に欠員がでている。まずは、四天王の後任について魔王様からお話がある」
そう言って、会議の場を仕切っているのは、シルビアさんだった。
長方形のテーブルの奥に謁見の間(二人が戦った場所である)ほどではないが、豪華な椅子が置いてあり、そこにエリザベスが座っている。
エリザベスの横にシルビアさんが立っており、司会進行役ということだろう。
僕はといえば、エリザベスの反対側に案内されて座らされており、傍には、赤青黄の子が控えてくれている。
そこから、順に偉い順ということだろう、四つ割と豪華な椅子があり、手前にくるごとに少しずつ椅子のランクが落ちている。赤青黄が教えてくれたのだが、奥から四天王の席、六大将軍の席ということらしい。
六大将軍とやらが、あまり特徴のなさそうな、強そうなおじさんたち(それぞれ魔族として特色はあるが)であるのに対して、四天王、アルドバイとやらは僕が倒してしまったので、3人しかいないが、残りの3人はなんというか特徴的だった。
スリットの入った短い赤いスカートに同じく赤いビキニにびっちりと割れた腹筋が目を引く、ドラゴニュートの女性。
もう一人は、獣人の女性であることはわかるが、なんというか、変わった鎧に身を包んでいた。金属というよりは、植物のような素材を紐でそれぞれだんだんになるように結んでおり、まるで桶のような鎧をこれまた植物染めだろうか?渋めの青い色に染めている。腰からは身長はあろうかという大きな湾曲剣をぶら下げている。
もう一人は……なんというか、うん、岩だ。黄色っぽい人型の岩が座っている。
エリザベスが立ち上がり、その瞬間、みんなが彼女に注目をする。
「アルドバイのことは残念だった。だが、アルドバイは、ここにいる疾風のアルベルドによって倒された。四天王が交代するのは、年一度のこの会議で認められたときか、その相手に倒されたときだ。よって、ここにいる、幻影のアルベルドを新しい四天王として指名することとする」
エリザベスが、何か小さな紙のようなものを読んでいるのだが、その横で、シルビアさんがうんうんと頷いている。
その様子をみていると、エリザベスがちゃんと魔王としてやっていけているのか、少し心配になる。まあ、シルビアさんは変態だけど、優秀だから大丈夫か……
賢明な人ならわかると思うが、幻影のアルベルドとは、ぼくのことだった……幻影とかいったの僕じゃないからね……そんなことを思っていると。
「おいおい、ちょっとまってくれよ、エリザベス」
「エリザベス?」
赤いドラゴニュートが声をあげたと思ったら、シルビアさんにじろりとにらまれ、少しだまってしまった。四天王って偉いんだよね?そう思っているうちに、赤いドラゴニュートも気を取り直したようで、
「あ、すまねぇ、魔王様。でもよ、アルドバイのやろうは確かに最弱だが、こんな得体の知らないぽっとでのやつに負けるとは信じられないよ」
というと、
「そのものが最弱のアルドバイを倒したというのであれば、ルールに従うのが我らの務め」
岩が口を開いた。でも、この岩、声からすると女性のようです。
「せっしゃとしても信じられん、最弱とはいえ、やつはかれこれ100年は最弱の四天王の座を維持しておったのだぞ」
すると、鎧獣人も話に加わってきた。にしても、なんだか、最弱最弱っていわれているアルドバイさんが不憫でしかたない。
「あなたたちが信じられないというのであれば、確かめたらよいじゃないですか」
シルビアさんが、そんな余計なことを言ってくる。
「確かに、うちらは、悩んだらこぶしで解決だったよな」
そういうと、エリザベスをはじめ、シルビアさんから、四天王、六大将軍までみんなうんうんと頷いている。この組織って、ひょっとして脳筋しかいない?
「だいたい、そんな珍妙な恰好をしやがって、この灼熱のアイリーンさまが、化けの皮を剥いでやる」
あまりの急展開に、ぼくが仮面の下から非難めいた目で、シルビアさんをみると。目で、受けろと言っている。横にいるエリザベスは、僕が戦うことを期待しているのだろう、どこかキラキラした目でこちらを見ている。
この前の初めてのエリザベスの街への訪問の時に、次は魔王城でという約束をして、約束どおりにやってきたのだが、なんだか、よくわからない恰好にさせられたと思ったらこの展開である。いや、服はちょっといいかなとも思ったのは事実だけど、この仮面は僕のチョイスじゃないから、ほんとだよ。
まあ、流れに流されてしまったのは僕だけど、しかたがない。
「望むものではないが、そういうのであれば、受けてたとう。後悔をすることになるが」
「へっ、上等だ」
ケープついたロングコートとでもいうのか、軍服のような服に金色の装飾がなされた格好に、白い手袋、なによりも特徴的なのが、あまたに着けた白と黒に顔の真ん中で塗り分けられた仮面をかぶった身元不明の男。
これが、のちに人類の間だけでなく、魔族の中でも恐れられることとなる最強の四天王、幻影のアルベルドの誕生の話だった。
閑話の続きはもう少し先になるのかなと思います。(2話完結)
読んでくださってありがとうございます。
ブックマーク、評価など大変ありがとうございます。
おかげさまで、ジャンル別ですが、29位とかまできました。
このあたりが限界かな~とも思いますが、最近一番楽しくくらい読ませてもらっているまいんさんの「食い詰め傭兵の幻想奇譚」の隣とかにこれてすごいうれしいです。
毎日正午投稿しているのも、12時のお昼休みに読めるのは社会人としてはうれしいかなーという、まいんさんの真似だったりもします。
ランキングにのってるうちは、なるべく短くても毎日投稿できるようにがんばりたいと思います!!




