ギルド登録は命がけ
三途の川の受付にて
カロン:「……おかえりなさい。死因は『ギルドのドアに激突』。……もう、これ労災下りませんよ?」
カイト:「いや、自分でもびっくりした。吸い込まれるように当たっちゃって」
カロン:「(ため息をつきながらスタンプを捺す)……はい、これで3つ目。ノアール様、相当お怒りでしょうね。あちらの門、真っ赤に燃えてますよ」
カイト:「(恐る恐る光の門を見る)……い、行ってきます」
バッ……カイトォォ!! 目を離した隙にギルドのドアで死ぬなーーーっ!!」
ギルドのロビーに、ノアールの絶叫が響き渡る。
カイトの襟首を掴んでガクガクと揺らすノアール。周囲の冒険者たちは、引いた目で二人を見ている。
受付嬢:「……えーっと、カイト様とノアール様ですね。ギルド登録ですね? まずは……その、生き返ったばかりのところ恐縮ですが、能力測定の水晶に手を触れてください」
カイト:「あ、はい。……えい」
カイトが水晶に触れた瞬間、水晶が不気味な黒い光を放ち、「ピコンピコン!とアラートを鳴らし始めた。
受付嬢:「えっ!? な、何これ……『蘇生待機回数:カンスト』!? それにスキル欄が……『三途の川のゴールド会員』って何ですか!?」
ノアール:「(白目)……私の蘇生術のせいね。変なバフが溜まってるわ……」
「とりあえず、実力が分からないとランクが決まらないので、裏庭の訓練用ゴブリンと戦ってください」
ギルドの裏庭。
そこには、一番弱い魔物のはずのゴブリンが1匹。
ノアール:「カイト! 汚名返上よ! 盾として一撃も受けずに完封してきなさい!」
カイト:「任せろ! ……はあああ!」
カイトが剣を構えて突進する。
その時、足元の石ころに躓いた。
カイト:「おわっ!?」
盛大にすっ転んだカイト。その拍子に、持っていた剣が手から離れ、空高く舞い上がる。
さらに、転んだ勢いでカイトの頭が「ゴツン!」とゴブリンの脛に激突。
ゴブリン:「ぎゃっ!?(悶絶)」
あまりの痛みにゴブリンがのけぞった瞬間、空から降ってきたカイトの剣が、ゴブリンの脳天を直撃した。
カイト:「……た、倒した?」
ノアール:「(頭を抱えて)……倒したけど、死に様よりひどい勝ち方だわこれ……」
受付嬢:「お、お見事です! 判定は……えーっと、『棚ぼたの勝利』ということでFランクです!」
カイト:「やったぜノアール! これで俺たちも冒険者だ!」
ノアール:「はぁ……先が思いやられるわ。さあ、宿屋に行くわよ」
意気揚々とギルドを出ようとするカイト。
しかし、自動ドアの反応が少し遅かった。
ゴンッ。
カイト:「ぶふぉっ!?」
鼻を強打し、そのまま後ろに倒れ込むカイト。後頭部がギルドの硬い石段にヒット。
カイト:「(白目)」
ノアール:「カイトーーーッ!! 自動ドアで死ぬやつがあるかぁぁぁ!!」
カロン:「あ、カイト様。今日4個目のスタンプですね。……あの、これ私の個人的な予感なんですけど」
カイト:「な、何?」
カロン:「あなた、近いうちに『同じようにドジで死にかける仲間』を引き寄せる気がします。私のスタンプ帳がもう1冊必要になりそうな予感です」




