安息の眠り(物理)!30個目へのカウントダウン
宿屋の一室
前回の「ファストパス・無限デスループ」で、カイトの通算死亡回数は25回に到達。あと5回で、未知の特典『三途の川・年間パス』が手に入る。
カイト:「あと5回……。年間パスがあれば、もう三途の川の受付で並ばなくていいんだよな!」
ノアール:「(青筋を立てて杖を握りしめる)……並ばなくていいのは私のMP消費量よ! いい? 今日は一歩も動かさないわ。究極の安全策……あんたを『睡眠魔法』で眠らせて、私が背負って移動する! これならドジを踏む隙もないわ!」
アイリス:「おお! 聖女様自ら勇者を担ぐとは。まさに究極の献身……む、しかしカイト殿の寝顔、なんだか魂が抜けかかっていないか?」
ノアールが、カイトを絶対に起こさないために最大出力の睡眠魔法を放つ。
ノアール:「【ディープ・スリープ・エタニティ】!!」
カイト:「(ガクッ……スヤァ……)」
あまりの魔力の強さに、カイトは眠りに落ちるどころか、脳が「永眠」と勘違いして心臓を止めてしまった。
カロン(冥界):「(ピッ!)はい、26回目。死因『過剰な安眠』。……ノアール様、寝かしつけがプロ級ですね」
ノアール:「(絶叫)レザレクション!! 起きなさいよ、この寝坊助バカイトォォ!!」
蘇生されたカイトは、寝ぼけてフラフラと立ち上がる。
カイト:「……ふわぁ、よく寝た。……おわっ、窓が開いてる!」
カイトが窓の縁に足を滑らせ、2階から落下。
アイリス:「危ないカイト殿! 私がキャッチ……わわっ、手が滑った!」
アイリスが受け止め損ね、カイトは地面に激突。
カロン:「(ピッ!)27回目。落下死。……あ、お帰りなさい」
ノアール:「戻ってこぉぉぉい!! 【レザレクション】!!」
蘇生したカイト、驚いて飛び起き、背後にいたルナの杖に後頭部をぶつける。
ルナ:「ひゃんっ!? 杖の先が……爆発モードに! ……【ボフッ!】」
カロン:「(ピッ!)28回目。爆死。……もうスタンプ捺す作業、自動化していいですか?」
ノアール:「いい加減にしろぉぉぉ!! 【レザレクション】!!」
逃げようとしたカイト、宿屋の廊下で「掃除中のバケツ」に躓き、顔面からバケツの水に突っ込む。
カロン:「(ピッ!)29回目。バケツでの溺死。……リーチですよ、カイト様!」
ノアールは、もはや涙目で杖を振り回していた。
ノアール:「あと1回……あと1回で30個……。もうどうにでもなれ……! 最後にふさわしい、一番マシな死に方をしなさいよ!!」
カイト:「(ずぶ濡れで)……ご、ごめんノアール。……ハ、ハ……ハックシュン!!」
くしゃみの反動で、カイトの口から「先ほど飲み込んだバケツの生ぬるい水」が逆流。それがノアールの顔に直撃した。
ノアール:「(プッツン)……死ね。……【神罰・バースト】!!」
聖女が放つ、慈悲なき極大攻撃魔法。カイトは光の塵となって消滅した。
三途の川
カロン:「(ファンファーレ鳴動)おめでとうございます! 通算30回目達成!! 景品の『三途の川・年間パス(顔パス&VIPラウンジ利用権)』を贈呈します!」
カイト:「……最後はノアールに殺された気がするけど、パスポートもらえたからいっか……」
カロン:「(ニッコリ)はい、30個満了。……あ、現世でノアール様が『30回も殺させやがってぇぇ!』って号泣しながら、街一つ吹き飛ばしそうな蘇生呪文を練り上げてますよ」
ノアール:(魔王をも凌駕するプレッシャーで杖を振り上げる)
『――聖女に手を上げさせ、30回もの冥界旅行を完遂した前代未聞の粗大ゴミ。年間パスを持って、永遠に私の目の前で働き続けなさい。……【いい加減にしろよこの皆勤賞バカイトォォォ・ウルトラ・ギガ・レザレクション】!!!』
ドゴォォォォン!!(地平線まで届く蘇生光線)
カイト:「(ガバッ!)ただいま! ……あ、なんか体が金ピカに光ってる!」
ルナ:「……おめでとうございます、カイト様。……でも、ノアール様の目が、もう人間に戻らなそうな色をしてます……」
アイリス:「素晴らしい! ついにカイト殿は、死を完全に克服(?)したのだな!」




