鉄壁のバリア!……あれ、空気がなくない?
ゼニゲバ・シティの大通り
カイトのスタンプが19個になったことで、ノアールの精神状態は極限に達していた。
ノアール:「いい? カイト。20回目なんて絶対に見たくないの。今日一日、あんたを一歩も外に出さないし、何なら分子レベルで守ってあげるわ!……【聖域・全方位完全隔離バリア(ホーリー・カプセル)】!!」
ノアールの杖から放たれた光が、カイトを直径2メートルの透明な球体の中に閉じ込めた。
カイト:「うわっ、すごい! 浮いてる! これなら転んでも痛くないし、アイリスにタックルされても大丈夫だな!」
アイリス:「おお、見事な盾だ! これこそ騎士が目指すべき究極の装甲……む、しかしカイト殿、心なしか顔が青白くなっていないか?」
バリアは「外からのあらゆる干渉」を遮断する。……そう、『新鮮な空気』さえも。
カイト:「(バリアの内側を叩きながら)……あ、あ、空気が……。ノアール、このバリア、通気口がないみたいなんだけど……」
ノアール:「(必死にバリアの強度を維持しながら)我慢しなさい! 外に出るよりはマシよ! さあ、安全な宿屋までこのまま運ぶわよ!」
そこへ、運悪く(お約束)、街を暴走する「大型の輸送馬車」が突っ込んできた。
ノアール:「危ない!……【バリア強化】!!」
ノアールが魔力を込めた瞬間、カイトのバリアはダイヤモンド並みの硬度へ。馬車と衝突した衝撃で、カイトの入ったバリア球体はピンボールのように街中の建物を跳ね返りながら加速し始めた。
カイト:「(バリアの中でシェイクされながら)……ゴボッ……目が回る……あ、空気が……(白目)」
バリアの中で酸欠になり、さらに超高速回転による「G(重力)」で意識を失ったカイト。最後は広場の「女神の像」の頭に激突し、バリアがパリンと割れた瞬間、中からカイトの魂がふわりと抜け出した。
三途の川 通算20回目達成!
カロン:「(くす玉を割りながら)パカッ! おめでとうございます! 通算20回目の死亡達成です!」
カイト:「……バリアの中って、あんなに孤独なんだな……(遠い目)」
カロン:「死因、『超過保護による酸欠および回転酔い』。……ノアール様、守りすぎて殺しちゃうなんて、愛が深すぎますよ」
カロンが金色の巨大な『VIPスタンプ』をカイトのカードに全力で捺す。
カロン:「はい、20個満了! 景品の『三途の川・ファストパス(現世へ即帰宅チケット)』です。……あ、ノアール様が今、地面に頭を打ち付けて『守ったのに死んだぁぁぁ!』って叫びながら、蘇生呪文に『怒り』と『悲しみ』を混ぜて練り上げてます」
ノアール:(膝をつき、絶望の淵で杖を振り上げる)
『――世界で一番安全な場所で、酸素を忘れて天に召される虚弱な盾。私の愛を仇で返すなら、もう二度と呼吸の仕方を忘れないように体に刻み込んであげましょう。……【いい加減にしろよこの超過保護バカイトォォォ・ハイパー・レザレクション】!!!』
ドゴォォォォン!!(20回記念の特大蘇生。街中の窓ガラスが全部割れる)
カイト:「(ガバッ!)……ただいま! ……あ、肺が……肺がめちゃくちゃ新鮮な空気を吸ってる!」
ルナ:「……よかった。20回目、無事に(?)超えられましたね……」
アイリス:「素晴らしい! 死を乗り越えるたびに、街が壊れていく。これぞ英雄の歩む道だな!」
ノアール:「(抜け殻のように真っ白になりながら)……次は……次は真空パックにでもしてやろうかしら……」
カイトは「ファストパス」を手に入れたことで、次回から蘇生までの待ち時間が「0秒」になる特権を得た。……それは、ノアールの苦労がノンストップになることを意味していた。




