死の物販!冥界出張所カロン・ギフト
ゼニゲバ・シティの裏通り
レストランでの騒動後、一行は装備を整えるために路地裏を歩いていた。
アイリス:「む、あそこに見える禍々しい……いや、やけにアットホームな看板は何だ? 『三途の川・ゼニゲバ店』と書いてあるが」
ノアール:「(嫌な予感)……ちょっと、アイリスさん。あんな怪しい店に関わっちゃダメよ。早く聖水買いに行くわよ」
ルナ:「あ、あの……カイト様がもう、吸い込まれるように中に入っていきました……」
店内は、薄暗いのにどこか清潔感があり、棚には「天国の綿あめ」や「地獄の針山(ツボ押し用)」が並んでいた。そしてカウンターには、お馴染みの制服を着た少女。
カロン:「いらっしゃいませ、カイト様。出張販売へようこそ」
カイト:「カロンさん!? なんでこんなところに!」
カロン:「あなたの死ぬペースが速すぎて、冥界の事務処理が追いつかないんです。なので、現世に窓口を作って『事前受付』をすることにしました。……あ、今なら【早期死亡キャンペーン】中ですよ」
ノアール:「(杖を構えて乱入)キャンペーンとかやってんじゃないわよ!! 営業停止にするわよ、この死神!!」
カロンはノアールの怒号をスルーし、一枚のチラシをカイトに見せる。
カロン:「20回達成特典の先行公開です。……見てください。この『三途の川・ファストパス』。これがあれば、次回の蘇生待機時間がゼロになります」
カイト:「(ゴクリ)……それがあれば、ノアールの待ち時間が減るってことか!?」
アイリス:「なんと! カイト殿、仲間の負担を減らすために自ら死を選ぶというのか。……騎士道、ここに極まれり!」
ノアール:「違うわよ!! 死なないのが一番の負担軽減なのよ!!」
カイトは「20回目を目指す」という謎の使命感に燃え、店内を見渡す。
カイト:「カロンさん、ここで一番安全に……いや、効率よく死ねる方法は?」
カロン:「そうですね。あちらの『魂が抜けるほど美味しいお茶』はいかがでしょう。一口で臨死体験、二口で完全停止です」
カイト:「よし、それを……」
カイトがお茶の湯呑みに手を伸ばした瞬間、いつものように足元の「冥界特製ワックス」に滑った。
倒れた拍子に、棚にあった『高級・三途の石積みキット(20kg)』がカイトの鳩尾を直撃。
カイト:「(グシャッ)……あ、お茶を飲むまでもなかった……」
三途の川 現地受付
カロン:「(カウンターの下からひょいと顔を出して)……おかえりなさい。死因、『物販コーナーでの下敷き死』。……現地受付、大成功ですね」
カイト:「……石、重かったなぁ。あ、スタンプお願いします。あと1個だ!」
カロン:(楽しそうにドン!)
「はい、19回目。……あ、現世でノアール様がショップの棚を片っ端から破壊しながら、地獄の業火のような呪文を練ってますよ」
ノアール:(カロンの店を半壊させながら、遺体のカイトを指差す)
『――冥界の甘い言葉に誘われて、自分からデッドラインを越えに行くショッピング依存症。パスポートを手に入れる前に、私のブラックリストに永久登録されなさい。……【いい加減にしろよこのお買い得バカイトォォォ・レザレクション】!!!』
ドゴォォォォン!!(蘇生衝撃波でギフトショップの在庫が全部吹き飛ぶ)
カイト:「(ガバッ!)……ただいま! ……あ、カロンさんの店が……」
ノアール:「(笑顔で杖を振り上げる)……さあ、次は誰の番かしら? 私の胃を壊した罪、万死に値するわよ?」




