大都会の洗礼!噴水は死の香り
ゼニゲバ・シティ 正門前
目の前に広がる白亜の建物と、行き交う大勢の人々。
ノアール:「着いたわ……。ここなら高ランクの装備も揃うし、私の胃薬も特大サイズで買えるはずよ。カイト、いい? 人混みで他人の足を踏んで、逆ギレされて刺される……なんてベタな死に方は許さないからね!」
カイト:「大丈夫だって。ほら、都会に馴染むために、ギルドの景品でもらった『反射板付きマント』を着てきたんだ。これで馬車にも轢かれない!」
アイリス:「おお、目立つなカイト殿! 騎士の誇りを感じるぞ。よし、私が先導しよう。……む、あの角を曲がれば武器屋か?(正反対の方向へ全力疾走)」
アイリス、曲がり角で盛大にドリフトし、通行人の持っていた「大量の風船」に突っ込む。
アイリスの暴走に巻き込まれ、一行は街の中央広場へ。そこには巨大な「女神の噴水」がそびえ立っていた。
ルナ:「わぁ……綺麗。……あ、カイト様、マントの紐が噴水の彫像の指に引っかかってます」
カイト:「え? うわっ、本当だ。……とととっ」
紐を外そうとしたカイト。しかし、風にあおられた『反射板付きマント』がパラシュートのように開き、強風を受けたカイトは噴水のド真ん中へシュートされた。
カイト:「(ボチャーン!!)」
ノアール:「ちょっと! 膝下までしかない噴水で何を派手に落ちてるのよ! さっさと立ち上がりなさい!」
しかし、不運は止まらない。カイトが立ち上がろうとした瞬間、噴水の底に溜まっていた「子供が投げ入れた願い事の硬貨(100枚以上)」に足を滑らせ、仰向けに転倒。
運悪く、女神像の口から吹き出す「聖水」が、倒れたカイトの口にピンポイントで直撃。
カイト:「(ゴボゴボッ、プハッ……あ、聖水が肺に……徳が高すぎて息が……)」
三途の川
カロン:「……おかえりなさい。死因、『膝下5センチの噴水での聖水溺死』。……逆に奇跡ですよ、それ。女神様の加護、強すぎたんじゃないですか?」
カイト:「……肺が清められた気がするよ。あ、スタンプお願いします」
カロン:(無言でドン!)
「はい、17個目。……あ、ノアール様が今、噴水の水を杖で凍らせながら『もういっそ氷像にして保存してやろうか』って呪文を練ってますよ」
ノアール:(観光客に囲まれながら、凍りついた噴水の前で杖を振り上げる)
『――都会の華やかさに当てられて、水溜まり同然の場所で昇天する田舎者。聖水で洗われた綺麗な魂のまま、一生冷凍保存されなさい。……【いい加減にしろよこの水死体バカイトォォォ・アイス・レザレクション】!!!』
パリィィィィン!!(氷が砕け散り、カイトが飛び出す)
カイト:「(ガバッ!)……ただいま! ……あ、なんか体がシャキッとしてる!」
アイリス:「おお! カイト殿、水魔法への耐性をつけるための荒行だったか! まさに都会流の鍛錬だな!」
ノアール:「違うわよ! 早く武器屋に行くわよ! アイリス、そっちは公衆トイレよ、戻ってきなさい!!」
なんとか宿に辿り着いた一行。しかし、部屋の鍵を開けようとしたカイトの指に、静電気(最大出力)が走り――。
カイト:「(バチィィィッ!!)」
ノアール:「(絶叫)」




