外伝:あり得るかも知れなかったヒロイン
「はぁ? 女子とデート?」
俺がスマホを耳に当て、そうしてマキノからの電話の言葉を解釈すると、そういう結論に至ることになった。
「そそ。ちょっとアクヤの事気にしている女の子がいてさ。デートしてくれないかなーとか」
自分がどれくらい無茶苦茶言っているかわかっているのか。
「ちなみにお前はいいの? 俺がラリルトリオ以外の奴とデートしても」
「まぁ思うところはあるんだけどさー。とりあえず信頼している相手だから心境的にも安心できるというか?」
「ちなみにスケジュールは?」
「明日!」
「あのさぁ。いや、明日は暇だけど……」
明日予定があったらどうするつもりだったんだ。ないけどさ。
「なわけでお願いね! 一日でいいからデートしてあげてください!」
「大丈夫なんだろうな?」
一応マキノが信頼できると言ってあるし、下手な相手ではないんだろうが。
「ちなみに相手の好みってわかるか?」
「二の腕の筋肉が好きだからノースリーブでお願い」
筋肉フェチか。まぁそりゃ俺も鍛えてはいるんだけども。
「ちなみにデート代は全部持つって言ってるから、そこは安心して」
いや、どっちかってーと俺が奢る側……。
「じゃあ、明日。庵宿駅の前衛芸術の立像の前で!」
よろしくねー、と勝手に言って通話を切る。
「えーと……」
カホルとコヲリとホムラとマキノとよろしくしている俺だが、これからさらに一人ハーレムを追加しろって言うのか?
「まぁいいけどさ」
そんなわけで、どんな服装でデートに臨むか。それを考えながら眠りについた。ちなみに今日はコヲリとホムラが相手をしてくれた。二人とも互いの体つきに思うところがあるのか。互いの身体を使って奉仕してくれた。暮に四回。一人二回でノックアウト。そのまま二人を抱きしめたまま寝て、朝起きると二人とも全ラで俺に寄り添っていた。
「……あ♡ ……起きましたね♡ ……アクヤ様♡」
「こっちも元気ですね♡」
朝三暮四だからな。
「……今日は何するんですか?」
コヲリが聞いてくる。
「デート」
「え?」
「しょうがない事情があるんだよ」
マキノのおススメの女の子って……誰だ? グラドルの先輩とか?
「世の中は不思議だなぁ」
朝飯の準備をしていたカホルが四人分の飯を作っていて、ご飯を食べてご馳走様。
「ア・ク・ヤ・さ・ま♡」
色っぽい表情で俺を呼んで、そのままペロリと唇をなめるカホル。その瞳はギラギラと性欲を燃えさせていて。
「じゃあ一人一回で」
朝は三回だから、カホル、コヲリ、ホムラで一回ずつ。
「ん、ん、ん♡ 美味し♡」
「……いつ見てもたくましいです。……アクヤ様のアレ♡」
「口ならだれにも負けないから♡」
そうして俺の中の獣を鎮めて、デート用に服に着替える。マキノのリクエストにより二の腕の筋肉を見せつけるためにノースリーブ。ジャケットは肘まで通し、ネックレスを首にかける。
「誰とデートするんですか?」
「実は俺も知らん」
頑なにマキノは「お楽しみに♡」とだけ言っていた。
「マキノのおススメでしたよね?」
「だな」
「あー……」
何やらカホルには心当たりがあるらしい。
「誰だよ?」
「私の予想があっているなら、安心できる人物です」
どこまでもサプライズを貫くつもりらしい。まぁいいけど。そうして電車に乗って庵宿区の駅へ。前衛芸術の立像の前。会えばわかるから、と言われたので顔見知りなんだろうけど、俺があの四人以外で顔を知っている女の子って……。
「こ、こんにちは。今日はよろしくお願いします」
…………。女の子……ね。
「え、と、マキノに頼んだんですけど、なんで意外そうなお顔を?」
マキノの母親。小比類巻ミキノさんだった。一応デート用の服装で、胸を強調する薄着のスタイルに、けれど大人特有の色気が乗算されていた。
「サプライズとか言われてデート相手を想定していなかったんですよ。そうですか。ミキノさんですか……」
「こんなおばさんじゃダメかしら?」
「ミキノさんはまだお若いですよ」
「お世辞でも嬉しいです。今日は楽しみましょう? 全部奢ってあげますから」
まぁたしかに社内コンビニ業務で稼いでいるんだろうけど。
「どういうデートをすればいいんですか?」
経産婦ってどういう対応をすれば正解なんだ?
「その、腕に抱き着いていいかしら?」
「構いませんが」
言われてミキノさんが俺の腕に抱き着く。
「筋肉すごいわね……」
「鍛えていますので」
「この筋肉で娘を組み敷いているの?」
「合意の上ですから」
「私もそうしてくれるかしら?」
「お望みならいくらでも」
そうして庵宿区を歩いて、ウィンドウショッピングを楽しむ。ミキノさんに似合う服を選別しながら、着せ替えをする。特におっぱいを強調する服は、俺の股間に特攻攻撃。っていうかカホルやマキノより大きな胸って。
「何カップ……とか聞いたらセクハラですか?」
「最後に測ったときはKだったかしら?」
もはや異次元だ。これはもうミキノさんはグラドルデビューすべきでは? 経産婦ではあるけど、どう考えても市場に通用するだろ。
「じゃあ、お昼ご飯にしましょうか。良いところ知ってるの」
軽やかにウィンクして、ミキノさんは俺をそこに連れて行った。
「あの。ここって……」
コンプラ的に大丈夫か?
「ジャズバー。ここのから揚げ定食がおすすめなの。アルコールさえとらなければ問題ないわ。別に年齢が限定されているわけではないんだから」
理屈としてはその通りだが、なんか学校にバレると色々と面倒そうだ。
「じゃあから揚げ定食とハイボールを」
白昼堂々飲む気か。
「今、日本のウィスキーがトレンドなの♡」
「あんまり酒は詳しくないんで」
ウィスキーとブランデーの違いも分からん。ワインと日本酒くらいは何となくわかるけど。
「まぁ樽次第で値段が変わるのよ。有名なシングルモルトは同じ醸造所だけで完結したウィスキーね。純粋性が高くなると希少とされるけど、ブレンドウィスキーもそれはそれで美味しいから、やっぱり好みを知ることね」
「……はぁ」
俺はオレンジジュース(濃縮還元ではない)を飲みながらから揚げ定食を食べていた。
「アクヤ様♡」
から揚げ定食をそのままに、パカパカとハイボールを空けて、すっかりへべれけになったミキノさんがカウンター席のすぐ隣の俺の肩に頭部を乗っけた。
「この後いい事しませんか?♡」
「社内コンビニで働いてるなら九王グループのエリートサラリーマンに言い寄られたりしないんですか?」
「してるけど~♡ マキノにアクヤ様のアレがたくましくて幸せって自慢されてぇ♡」
「試してみますか?」
「こんなおばさんでも欲情してくれるのかしら?」
「ミキノさんは素敵な女性ですよ」
女の子ではないがな! マキノ、そこは誤情報だぞ。
「愛してくださいアクヤ様♡ 私にお情けを♡」
「酔ってますね?」
「そりゃもう♡ たくましいオスを見たらメスなんてイチコロですよ♡」
まぁやるのはいいんだけど。
「マキノには何て言うんだ?」
「とっても素敵でしたって♡」
竿役のアレが大きいのはもうしょうがないことなんだが。そうしてガンダーラ・ブホテルに移動。俺はもう慣れたもので、マキノの面影が残っているミキノさんのラを見る。
「そんなマジマジ見られると照れるわ……」
「Kもある自分を恨んでください」
「その……揉みたい?」
「むしろ挟まれたいです」
「アクヤ様♡ そのたくましいソレにメスブタの身体をお使いください♡」
「ミキノ……」
ラになった二人。そうして俺はミキノさんとキスをして、シルエットを重ねた。
「あ、元夫のよりすごい♡」
「言っとくが、一回や二回じゃすまないからな?」
「アクヤ様♡ 私を躾けてください♡ アクヤ様の女にしてください♡」
「そのつもりだ。お前の全てを奪ってやるッッ」
「ああ♡ アクヤ様♡ 私はあなた様のメスブタですぅ♡」
そうして夕方まで俺とミキノさんは愛を確かめ合う。互いが互いを求めて、そのやりとりは日が暮れるまで続いた。今日はカホルたちとは出来ないな。
てへっ♪




