第122話:全国模試と疲労
日曜日。俺は学校に登校していた。特に理由はない。嘘です。バリバリあります。要するに全国模試があるのだ。今日まで勉強を頑張って来たので問題はないと思うが、一応の警戒はしている。今日まで色々あったから成績が落ちたらどうしようかとかな。ま、別にそれはいいのだが。
「では皆さん。はじめ」
そうしてテストは始まった。カリカリと問題を解いていく。結構サクサク解けた。うん。調子は良さそうだ。最後まで解くのに残り二十分が余っていた。再チェックだけをする。そうして五教科を解き終えて。
「ふぃ」
俺は脱力した。っていうかわかるだろ。テストなんて受けるだけで疲労するのだ。俺は幸いにも勉強ができるからいいんだが、そうじゃなかったら苦行も相応だろう。
「さて、帰るか」
「九王くん♪」
ルンと弾むようにカホルが俺を呼んだ。彼女も模試を受けていた。というか最近は筋トレ後の勉強で俺がカホルを指導していたともとれる。
「テストはどうだった?」
「ちょっと出来たよ。いつもより調子は良かったかな」
じゃあ問題は無いな。
「一緒に帰ろ♪」
「構いはせんが」
周りの視線が痛いなぁ。カホルは俺と腕を組んで、歩き出す。
「やっぱり花崎さんって」
「絶対そうだよ」
「やっぱイケメンだよねー。九王くん」
女子の視線が痛い。何でもかんでも女子にモテればいいというものじゃないが、流石にヘイトは集めるだろう。今更っちゃ今更だが。
「さて、じゃあ飯でも食いに行くか」
「そだねー。どこ行く?」
「肉が食いたい」
「唐揚げ定食?」
いや。もっといいところ。
「というわけで。ドン」
俺とカホルは鉄板焼きの店に来ていた。タクシーを拾って、そのまま。
「鉄板焼き?」
「美味いらしいから期待大」
そうして暖簾をくぐって中に入る。
「予約していた九王だが」
「予約してたの!?」
まぁ。さすがに高級店は予約が基本だ。
「オヤジ。フルコース。二人前」
「あいよ」
そうして目の前に鉄板が広がるカウンター席。俺とカホルが座る。最初は色とりどりの野菜が現れた。目の前の鉄板で熱を通し、そのまま目の前に置かれる。
「うーん。美味い」
「ですね」
カホルもニコニコ顔だ。次はカツオのブロックを鉄板で焼いて出される。魚の臭みがなく、とてもジューシーなカツオの味が口いっぱいに広がる。その次はフォアグラだ。火を通して出された。
「フォアグラって……」
「いいから食っとけ」
柔らかくて濃厚な味が口内を幸せにする。
「さすがだ。オヤジ」
「へい。お客さんの笑顔はプライスレスですから」
粋なことを言うおっさんだった。そして次に出されたのはガーリックライスと中華スープ。そして鉄板には大きめの牛肉のブロックがデンッと置かれる。それを鉄板でジュージュー焼いて、レアの状態でされる。
「タレもいいですが塩やワサビもお勧めですぜ」
俺は肉をワサビでいただくことにした。ガーリックライスも進む。ああ、美味い。この店に来てよかった。
「んぐ。んぐ。ぷは。ご馳走様でした」
ワサビ付きの肉をガーリックライスと一緒に頂いて、それから中華スープを飲み干して食事は終わり。
「オヤジ。いい仕事だった」
「へい。また来てください」
そうして二人分のフルコースの伝票を手に取って会計へ。しめて(※自重)万円。
「美味かったな」
「美味しかったけど……」
「何か不満でも?」
「不満じゃないけど、できればこっちの心臓も加味していただけると」
「マキノも寿司に連れて行ったとき同じこと言ってたな」
「誰だって同じこと思うと思う」
「でも美味かったろ?」
「否定はしません」
「じゃあいいじゃん」
というのは俺の傲慢だろうか。
「さて、帰るか」
「今日はいっぱいしようね♡」
「お前。ここまできて」
「アクヤ様の珍宝は何よりの宝だから」
「…………ボソボソ(ま、竿役だしな)」
俺の珍宝が大きいのはもうしょうがないというかなんというか。
「カホルって俺のこと好きか?」
「だーい好きぃ♡」
ギュッと俺を抱きしめる。おっぱいがだな。その。当たっているんだけども。
「当ててるんですよ?」
さいですかー。もうツッコむのも疲れた。
「それでテストの件だけど」
「それこそ何か問題あるか?」
「アクヤ様はどれくらいできましたか?」
「八割は解けていると思うぞ」
多分手応えだけで言えば九割五分くらい。只野ヒートのガリ勉がここで生きるとは。
「本当に頭いいんですね。アクヤ様」
「自慢するほどでもないな」
「嫌味~」
まぁ確かにここで謙遜は違うか。
「勉強した後はいいもの食って次のモチベーションにだな……」
「言っている意味は分かりますけどー。フォアグラなんて初めて食べましたよ」
「じゃあ貴重な体験だな」
「うー。アクヤ様は意地悪です」
「何かしたか?」
「私に贅沢をさせてくださいました」
「ま、別に考慮するモノでも無いんでな」
「次はもうちょっと安価なところで」
「絶対イヤ♪」
音符マークを付けながら、俺は断固拒否した。
「アクヤ様って本当にお金持ちなんですね」
まぁなぁ。否定しても生産性が無いので肯定しておく、別にだから俺が偉いわけじゃないのだが。日曜日だし。これからデートにでも行くか? そう聞くとカホルはキラキラした目を向けた。行きたいらしい。好きなモノでも買わせてやるか。俺の金じゃないけど。




