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「生きています。ですが、あなたを傷つけようとしたことは我々がしっかりと目にしている。フィルセインと繋がっていたことは、あなたのまわりにあった死体から明らかになりました。ほかにもあの隠れ家を少し調べただけで、収集家として多くの殺人、及び死体損壊に関わっていることも判明しました。彼女は極刑に処されます。むしろそう出来ないのなら、ハーシェルは王として軽んじられる」
一息に説明されたそれに、サクラはほっとすると同時に、へなへなと座り込んだ。
「よ……かった……」
崩れて大きく息をついたサクラの隣に、クレイセスも片膝をつく。イリューザーも近付いて来て、サクラの脇に鼻筋を突っ込んだ。
「無駄に死ぬより、あなたの糧になるならそのほうが有意義にも思いますけどね」
剣呑とした感想に、サクラはイリューザーに腕を遊ばれながら、呻くように言った。
「嫌です、食べたくない」
そんなことをしたら、自分は何か違うものに変質してしまいそうな……そんな気がして。
「まあ……メイベルなど食したら、物理的でなくとも腹痛のひとつくらいは起こしそうですが」
そう言ってふっと表情を緩めたクレイセスに手を差し出され、サクラはその手を借りて立ち上がる。
「じゃあ、彼女の裁定は、下ったんですか」
一晩で? と不思議な気持ちで聞けば、彼にしては歯切れの悪い答えが返ってくる。
「……今、少々問題が持ち上がっておりまして。彼女を我々が処断することは叶わなくなりました。ハーシェルの要望により、彼女の身柄は引き渡しました」
クレイセスの説明に、「問題……?」とサクラは首を傾げた。あまり説明したくないのか、めずらしくクレイセスのほうから目を逸らす。話すことへの迷いが見え、サクラは黙ってそれを待った。
やがて小さく溜息をつくと、クレイセスは微笑んで言った。
「今日一日、時間をください。現状を、正しく把握してから報告します」
サクラには「問題」についての見当がまったくつかない以上、急げとも急がなくていいとも言えないが。代わりに、もうひとつ芽生えた疑問を口にする。




