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たまおの不幸な卒業文集  作者: 花南
8/34

08/01

「三芳、思えば最初からこうすればよかったんだよ」

 篠宮さんがソファから立ち上がって、僕の仕事机に書類を置いてから言った。

「どうせこの学校で仕事をしているのは私と三芳だけなんだから、同じ部屋で仕事したほうが移動の手間はぶけて仕事の能率アップだ」

「たしかに」

「おまけにここは涼しいしね。昨日までの暑さが嘘みたいだよ」

 にかっと篠宮さんは笑った。いつものにやっという笑い方じゃあなくてちょっと素敵だと思う笑い方。

「ねえ三芳、私アイス食べたくなったんだけどコンビニまで買いに行くから何食べたいか言ってよ。60円以内で」

「それガリガリくんかジャムンチョかバニラバーしか買えないんじゃあない?」

「カキ氷も買えるよ?メロンとイチゴとみぞれがあるんだ」

「じゃあガリガリくんをお願いするよ」

「じゃあ私みぞれにするから」

 篠宮さんがアイスを買いに出かけた。

 アイス……最近食べてなかったな。というかいつも食べてるのってハーゲンダッツかAyaなんだけど、60円のアイスって美味しいのかな? と考えていたら篠宮さんが戻ってきた。

「三芳、ガリガリくんとみぞれはとりやめにした。これがいい!」

 白い袋から出てきたのは雪見だいふく。

「100円だし、半分こすると50円でしょう? ちょうどふたつあるし」

「……うん」

「雪見だいふく食べられないほう?」

「いや、食べたことあるけど……」

 10円ケチるってどういう守銭奴なんだ? と思いながらひとつ受け取った。ぱくりと食べるとバニラと餅の香りが口に広がる。

「美味いね」

「もちゃっとしてる」

「嫌い?」

「苦手かも」

 アイスを食べたあとはまた仕事に戻った。

 そしてこのアイスを皮切りに、僕と彼女の長い長い中学最後の一年間が始まったんだった。

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