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第一章 ヒミコの役割
水色の体をした大きな体の一角獣は青いチェックのネルシャツを着ている。
ヒミコは「どこだー?」なんて言いながら、一角獣が鬼ごっこの相手をしてくれる。
この一角獣は友達でもあり家族なのだ。
「お前はそろそろ、帰りなさい」中年太りでお腹周りはでっぷりとしていていつもメガネを掛けているこのおばさんが言う。
「まだ遊んでいたいから帰らない」ヒミコは舌をペロンと出しながら答えた。
「そうかい、帰りたくないのなら、ここの門を閉めるまでさ。今、帰らなければ困るのはお前さ」
このおばさんは、らその国の番人だ、その口調は優しいのだが、今やらなければ後がないような言い方をされると、帰らなければならいとそう思ってしまうのだ。
子供を5人も育てている母親なだけあって、あしらい方が上手い。
まだ遊びたいという気持ちを抑えながらも地上の両親の元へと帰るのも、やはりそれはそれで、嬉しいのだ。
地上の両親は、毎日可愛い可愛いと言って何不自由なくヒミコを育ててくれる。
母親は、現代では珍しい専業主婦であり、毎朝きちんと化粧をして身なりを整え、家族の為に毎日10種類以上のおかずを用意し、子供達が喜ぶからと毎日一時間以上かけて、おやつまで用意をするほど料理が好きなのだ。
父親もすごく優しい。
仕事熱心なうえ、背が高くすらりとしていて俳優並みにイケメン。
夫婦仲も、大変よく、私は喧嘩をしているところを、見たことがない。
子供のヒミコからみて、両親はまさしく理想の夫婦なのだ。