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第6話 転生の条件

予想以上に読者が増えない……ノクターンに掲載してたら、もうちょっと増えてたんだろうか?


エロの力は偉大だなー(棒読み)

(……どーしてこーなった?本来なら俺は今頃ハワイのビーチで水着の女の子たちとキャッキャウフフしていた筈だ!でも気付いたら飛行機事故で死んじまってて、その上地獄に堕とされ、でもそこで金髪の美女にえっちなことをして貰って、案外地獄も悪くないんじゃね!?とか思った矢先だったってのに、何だってステージ脇に裸のまま立たされてんだよ?)


マオが心の中で愚痴を零しながら客席に目を向けると、身長が3mくらいはありそうな鬼のような姿をした化物やら、巨大な二足歩行の豚やらが目に付いた。


もちろん中には人間らしき者もいることはいるんだが、下半身が蛇だったり鳥だったりと、フェリスのようにほぼ人間と変わらない容姿をした存在は圧倒的に少ない。


一方ステージの中央には、マオと同じ年頃の金髪の裸の少女が目を閉じて真っ赤になった顔を俯け、胸と股間を両手で必死に隠しつつ、羞恥に膝を震わせながら立っていた。


その少女は先ほどまで羞恥の余りにその場でしゃがみ込んでいたのだが、オークショニアと思しきの男に乗馬用の鞭のような物でペシペシと何度もお尻を叩かれ続け、今は泣く泣く立ち上がっているという状況である。


とはいえ、鞭で何度も叩かれた割にはお尻が微かに赤くなっているだけなので、オークショニアの男も大事な商品を傷付ける心算は最初から無いのだろう。


恐らくは殺傷力は殆んど存在しない音が派手に鳴るだけの見掛け倒しの鞭を使用していたのだと思われる。


それでも拷問を受けた経験などある筈のない少女には効果絶大だったようで、泣く泣く言うことを聞かされていた。


「1600万!」


「1700万!」


「1750万!」


何やら白熱する声に反応してマオが再び少女から客席に目を向けると、化物どもが手を上げながら数字を競うように声高に叫んでいた。


(どーやら間違いなさそうだな。フェリスさんが言ってたのは、これの事だったのか……)


マオが想像した通りここはオークション会場であった。


敢えて地球で行われていたオークションとの差異を挙げるなら、競りに掛けられているのが美術品の類ではなく、マオたち人間だということだろうか。


ちなみに、今競りに掛けられている少女が落札されたら、次はいよいよマオの番である。


「すんませーん、ちょっと聞いて良いすか?」


マオは自分の番が回って来る前に、近くに立っている全身を赤い鱗で覆われていた見張り役らしきリザードマンっぽい男(女かもしれないけど、区別が付かない)に声を掛けた。


「……何だ、小僧?逃げようたって、そうはいかねーぞ?」


マオの声に反応したリザードマンが、手に持った刃渡り60cmほどの抜き身の両刃剣を油断なく構えながら近付いて来る。


「いや、別に今更逃げる気はねぇっすよ。それよりもさっきから気になってたんだけど、地獄って日本語が標準語なんすか?」


(フェリスさんも普通に日本語喋ってたけど、ステージのあの子とか明らかにヨーロッパ辺りの外国人だよな?ってことは、言葉が通じないんじゃ……?)


「あぁ、そのことか。地獄にはお前ら人間を含めて多数の種族が暮らしているからな。言葉が通じないと不便だから、町を覆うように翻訳魔法が昼夜を問わず常時発動してるんだ。お前は今『日本語』とやらを話している心算なのかもしれんが、俺には普通に『蜥蜴語』に聞こえているんだぜ?」


「何それ便利すぎる……てゆーか、そもそも地獄って『魔法』とかあんの?ひょっとして、アンタも使えんのか?」


マオは興奮した様子でリザードマンに詰め寄る。


「ま、まぁ多少ならな?」


リザードマンはマオの剣幕に圧され、思わず後ずさっていた。


「そっか……ちなみに、俺にも使えたりすんのか?」


「いや、人間には魔法は使えない。ただ……」


「ただ?」


マオは言い淀むリザードマンに続きを促した。


「まぁ禁止されてる訳でもねーし、別にそれくらい教えてやっても良いか……いいか小僧、良く聞け?万が一『中級悪魔』以上の存在に眷属にして貰えるようなことがあったなら、お前ら人間にも魔法が使えるようになる。ただし、眷属の力は主となった者の格と譲渡された魔力の多寡で決まるから、最底辺の中級悪魔に眷族にされても大した力は得らないだろうよ。さらに言えば、眷族になったが最後、主には決して逆らえなくなる上に、転生して地獄(ここ)から抜け出すことも二度と出来なくなるぜ?」


「中級悪魔ねぇ……それって、どのくらいの数がいるんだ?てゆーか、アンタはその中級悪魔なのか?」


「グハハッ!この俺が中級悪魔と来たか!?こいつは傑作だ!!もしそうだったら、俺は今こんな所で見張りなんかしてないで、客席でオークションに参加してるだろうよ?だが残念ながら、俺は所詮そこらに掃いて捨てるほどいる下級悪魔の一人だよ」


マオの言葉が余程ツボだったらしく、リザードマンは爆笑した。


「小僧、笑わせて貰った礼に大サービスで良いことを教えてやろう。お前たちはこれから競売に掛けられて、輪廻転生に必要な費用を稼ぐ為にひたすら働くことになる訳だが、実は競売の落札価格の1割はお前らの取り分になる決まりになってるんだ。さらに言えば、落札価格の倍の額を稼いでそいつに貢げば、自由を手にすることも可能だぞ?もし一日でも早く転生したかったり、敢えて転生せずにこのまま地獄で暮らそうと思ってるのなら、1ヘルでも多く入札されるように精々ステージでアピールするんだな?」


「ふーん……ところで、金を稼げば自由になれるのは分かったけど、逆に転生費用とやらを貯める前に死んじまったらどーなるんだ?」


「転生は出来るが、費用が足りないとほぼ確実に貧困地とかの人気が無い地域に転生するって聞いたことがあるな。小僧は『日本人』だったか?確か転生先としては1、2を争う人気だから、転生先として指定するには最低1億ヘルは必要だった筈だ。前回、余程荒稼ぎしたようだな?」


(ふむ……今の情報を纏めると、人間は地獄の正式な住人である悪魔の奴隷となって(雇われて?)、必死こいて転生費用とやらを稼がなければならない。そして規定の金額を稼げばもう一度人間として好きな国に転生出来るけど、何らかの理由で金を稼げずに途中で死んだら、不人気な国に転生しなきゃいけなくなると。さらに、自分を買い取った悪魔に大金を貢ぐことで自由の身になって、転生せずにこのまま地獄で好き放題に生活し続けることも可能……ってところか?)


「ハイッ!では、そちらのオークのお客様!3150万ヘルで落札です!」


マオが三度会場に目を向けると、オークショニアがガンガンとハンマーと叩いてこれ以上の入札を締め切り、最高額を入札した客に落札を告げていた。


その瞬間、競り落とした者への祝福として、客席から割れるような拍手が響き渡る。


そしてそれに呼応するように二足歩行の巨大な豚が席を立ち上がってノシノシと歩いてステージへと昇って行き、係員に金を渡して競売品である人間の少女を受け取っていた。


「ブヒヒ!久し振りに若い女を仕入れられたブヒ!早速店に持って帰って味見するブヒよ!」


自分好みの少女を無理矢理犯す光景を想像して早くも股間のモノをおっ勃て始めたオークは、裸の少女を小脇に抱えてステージを降りてオークション会場を出て行こうとする。


「……い、いやぁー!誰か助けてぇー!!」


少女は目に飛び込んで来たオークの巨大な一物によってカラダを汚される姿を想像し、オークの腕の中で必死に暴れながら周囲に助けを求めるものの、オークション会場には人間の奴隷を仕入れに来た悪魔しかいないので、助けを求める少女をオークの魔の手から救い出そうなどという奇特な者がいる筈もなかった。


「こらっ!暴れるなブヒ!この場で犯されたいブヒか?」


「ひぃ……ご、ごめんなさい!それだけは許して……」


少女の無駄な抵抗に業を煮やしたオークはパシーン!とお尻を引っ叩いて黙らせる。


「ブヒヒ。そうそう、良い子だブヒ。店に着いたらたっぷり可愛がってやるから、このまま大人しくしてるブヒよ?」


「は、はい……」


少女はもはや逃げられないことを悟り、これ以上機嫌を損ねて公衆の面前で犯されるよりはマシだと、オークの言うことに従い抵抗することを止めてしまった。






「あーあ、ありゃきっと1時間もしたらガバガバになっちまうな?結構イイオンナなのに勿体ねぇ……」


リザードマンはオークの巨大な一物に貫かれて泣き叫ぶ少女の未来を想像して首を振った。


(……なるほど。確かにここは地獄だわ)


「さて、次は小僧の番だ。ステージの中央に行きな」


リザードマンは剣の腹でマオの尻を小突き、さっさと進めと催促して来る。


(はてさて、俺はどんな化物に落札されることやら?フェリスさんみたい美女ならむしろ大歓迎なんだが……)


マオは股間を隠しながら歩くなんてダサい真似はしたくなかったので、未だ未使用ながらもフェリスに褒められてちょっと自信が付いた自慢の息子をブラブラとさせつつ、堂々とした足取りでステージ中央に向かって歩き出した。


(どーかガチムチにだけは落札されませんよーに……)


とはいえ流石にケツを掘られるのだけは勘弁して欲しいので、その堂々とした足取りとは裏腹に、心の中では地獄(ここ)からでは届くかどうかも分からない神に祈りを捧げていた。

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