勇者じゃなくて魔王の間違いだろ!
「じゃあ、とりあえず行きましょうか!」
「は? 行くってどこにだよ?」
「決まってるじゃないですか、ゴブリン退治ですよ」
「う……そういやそれがあったな。つーかなんでオレがやらなきゃなんねーんだよ。勇者はお前だろうが」
「あの雲ドーナッツみたいですねえ」
「それはもういいっての!」
「まあまあ、とにかく早く行きましょうよ。日が暮れると帰れなくなっちゃいますよ?」
「誰のせいでこんなことになってると思ってんだよ。つーか、よく考えたらこんなとこまで素直にやってきたオレがバカだった。やっぱり村に帰る」
「えー! それじゃ私が困るじゃないですか!」
「知るか! 勇者はお前だろうが! いいからさっさとオレを元の姿と世界に戻せ! モンスター退治なんて一般人のオレがやることじゃねー!」
「そんなこと言っても、もう遅いかもしれませんよ?」
「へ?」
『ゴブウウウウウウ……!』
「うわっ! ゴブリンだ!」
いつの間にかゴブリンどもに囲まれていた。
「巣の近くであんなに大声で話すからですよ。気をつけてくださいね」
「誰のせいだ! それより、どーすんだよこれ!」
「もちろん、戦ってなぎ倒しますよ。あなたが」
「……やっぱりかよ」
分かっちゃいたけど、改めて言われるとやっぱりすっげー理不尽だ。
「ああ、なんでオレがこんな目に……」
「ファイト! 勇者さま!」
「勇者はお前だ!」
「じゃあ新勇者さま!」
「そーいうことじゃねえ! つーかお前も戦えよ!」
「この姿は幻なので、無理でーす」
「お・ま・え・はぁ~……!」
むしろこいつの方が魔王なんじゃねえのか?
ああ、誰か助けてくれ……




