第三話 -1
「ふぁ~~」
大きなあくびをする巧。
「なんじゃ巧。寝不足か?」
「ん~……まさか朝六時前に起こされるとは思ってなかったから……」
「あぁ、父上か。朝早くから神社の境内の掃除、ごくろうじゃった」
なずなが笑いながら、巧に労いの言葉をかける。
ここはかなめの病室。
朝早くに掃除の手伝いをし、朝ご飯を食べ、学校に行くふりをしてここにきたのだ。
「学校は大丈夫なの?」
「気にせんともよい。天変地異から十年経ってるとはいえ、いろいろとわけありな生徒も多いんじゃ。多少サボったところで怒られたりはせん」
そんなものなのだろうか。
「ならいいけど」
こちらの世界を詳しく知らない巧は、とりあえず納得しておく。
「今日は何するの……?」
かなめの一言で、話は本題に入った。
「うむ。今日から仲間探しをするぞ」
「仲間?」
「そうじゃ。五行の力、『木』『火』『土』『金』『水』それぞれの能力者の協力が必要じゃ。『スサノオ』みたいに称号があっての。それぞれ『青龍』『朱雀』『麒麟』『白虎』『玄武』と、聖獣の名前がついておる」
「それもなずなが見つけられるの?」
「いや、これはスサノオとの相性もあるからのぅ。巧、おぬしが町をうろついて知り合っていくしかない」
「うわ、無理っぽそう……」
街中で突然見知らぬ人に声をかけるなど、巧はしたことがない。
「大丈夫じゃ。何か引かれあうものでもあるのか、自然と集まってくるはずじゃ。実際、すでに麒麟は見つけたしのぅ」
「え?」
「ほれ」
と、なずながかなめを指差す。
「かなめ?」
「……ボク?」
「そうじゃ。かなめの力は十分じゃし、かなめの剣『界斬刀 囲』をあれだけ使いこなせれば、相性は問題なかろう。あとは、巧とかなめの気持ち次第じゃ」
「気持ち次第って……」
なんかこれから恋人にでもなるかのような言い回しだ。
「……ボクは、巧の力になりたい」
そんな巧に、かなめは自分の気持ちをぶつける。
「かなめ……」
巧の目をまっすぐに見つめるかなめ。
巧は、
「……よろしく……お願いします」
かなめに手を差しだし、
「うん」
かなめは、その手を握った。
「うむ!残り四人!まずは柳市の南側、富士取区へ向かおうぞ!」




