番外編 白虎 -4
………――
……暗い――
……息ができない……ここは……――
「……ぶはっ!げほっ……ごほっ……!」
どうやら土に埋もれてたようだ。
さっきのはオロチからの攻撃か?ケガは……多少の出血程度。骨は折れてない。
近くには、じいさんが立っていた。まさか、さっきの爆発を耐えたというのか……?
「ほう、あの一瞬で地面に潜るとは」
「ちげぇよ!巻き込まれて埋もれたんだ!」
皮肉かこの野郎……!
そんなことを思いながら、周囲を見渡す。
「くそっ、何だよこれっ!」
周囲にあったもの全部が、きれいさっぱり吹き飛んでいた。
これが、オロチの力か……!想像以上だ………だがっ!
「だが、まだ終わりじゃねぇ!」
足に力を込め、立ち上がる。
オロチがこちらに歩いてくる。余裕こいてんのも今のうちだっ!!
「かかれぇーー!!」
どこからか声が聞こえ、周りのやつらが一斉にオロチへ飛びかかる。
オロチを倒すのは、俺の役目だっ!
そう意気込む俺の目に飛び込んできた光景は、飛び散る血と、積み上がっていく死体だった。
「……おぬしは行かんのか?」
じいさんが話しかけてくる。
「あぁ!?行くに決まってんだろ!最強は俺だってことを証明してやるんだよ!だから……行かなきゃ……なんねぇ……のに……」
行かなきゃなんねぇのに、足が震えて前に進めない……!
何だよこれ………そうか、これはさっきの攻撃のダメージが――
「……それでいいんじゃ」
「……何がだよ……これは武者震いだ!びびってなんか……」
「仮子よ、おぬしは強い。だからわかっておろう……あやつには勝てないと」
「……っ!」
強大な力を奮い、常に勝ち続けていた俺に、じいさんの言葉はひとつの感情を思い出させた。
それは……恐怖――
「退け」
じいさんが静かにつぶやく。
「俺に……逃げろと……?」
「違う。生きろと言っているんじゃ。生きてもっと強くなれ。いつかオロチを倒すチャンスがくる。その時を待つんじゃ」
「……じいさんはどうするんだよ……?」
「わしはオロチに話すことがある。おぬしは元藤道場へ行け。わしの孫に会え。彼女は、オロチを止めるための切り札となろう」
「………」
なんだよ……じいさん、まさか……
じいさんの目はオロチを見据え、ただ静かに立っていた。
「時が来るまで、守ってやってくれ」
何て覚悟だ……!
最強を証明する――そんな理由でここにきた自分が恥ずかしい。
何が最強だ……俺にそれを語る資格は……ない……
「う……あ……うわああああっ!!」
走る。オロチに背を向けて。
なんて無様なんだ……!
なんて情けねぇんだ……!!
でも、今の俺にはこれが精一杯だった。
ひたすら逃げる。生きるために。
そのとき、もう一度大爆発が起きた――




