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戦闘重機、益荒男(ますらお)っ、改め撫子(なでしこ)っ  作者: トウフキヌゴシ
第二章、ガゼフ内乱

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さがすぜっ

  戦艦ティルピッツのメインモニターに、やまとんが惑星軌道上に残していった、救難信号を送るソノブイが映っている。

 救難信号を全周囲に出し続けていることだろう。 


「本当に撃つの……ですか?」

 戦艦ティルピッツの艦長である、シュナイザー中佐が聞いた。

 艦を危険にさらしたとして、艦長権限でアルフレッド王太子を更迭くびにした人だ。 


 宇宙で生活するものとして、救難信号器を壊すのは最大の禁忌タブーだ。

 後残りの空気が何時間という状況で宇宙を放浪する時、救難進号だけが頼りである。

 故に、国際宇宙法で救難信号器の破壊は重罪だ。

 逆に、受信したものは可能な限り救援をする義務を負う。


「撃てっ」

 アウディ《《侯爵》》が、通信画像越しにニヤニヤと笑いながら言った。 

 ちなみに王家や貴族の人間を護衛する必要から、少佐で男爵、中佐で伯爵と同じ位になる。

 アルフレッドが更迭された今、侯爵であるアウディが最高司令官だ。


「……法に触れますよ」


「ふんっ、王女たちを口封じしてしまえばどうとでもなるわ」


「くっ、どうなっても知りませんよ」

「一番砲塔旋回、照準、撃て」


 パッ


 ソノブイが、主砲弾の直撃で消滅した。


「ふんっ、最初から言うことを聞いていればいいものを」

 アウディが言いながら通信が切れる。


「ふう、映像は記録してあるな」

「はい」

「後で私が勝手にやったとか言いそうだからな」

 シュナイザーが艦長帽を直す。

「確実に言うでしょうね」

 艦橋のクルーが答えた。 



「撃ちやがった」

 格納庫のモニターを見ながらリヒテが言った。

 モニターの中で救難信号機が消滅する。


「出撃準備完了しました、ホーフェン隊長」


 リヒテの前には、子爵令息と男爵令息が二人。

 リヒテは二十代、令息たちは十六歳くらい。

 令息たちがあどけなく見える。

 ともに撃墜された機体を回収した者たちだ。

 彼らの機体、”BFー109”には、大気圏離脱用のブースターパックがすねと背中につけられている。 

 リヒテの愛機、紅い、”FWー109”にも同じものがつけられていた。

 さらに、機体の周り輪っかがついていた。

 多目的ウエポンラッチである。

 基本、やまとんと同じものだ。

 それには、巨大な丸い皿がついている。

 地上探査用のレドームだ。


「今回の任務は、地上に降り重機輸送船とその搭載機の発見である」 

「「「イエスマアムッ」」」

 各自機体に乗り込んだ。


「出撃っ」


 180度回転式のカタパルトがクルリと回り、射出アームが機体を艦の斜め前に放り投げる。

 四機の宇宙戦闘機が青い惑星に向かって飛んだ。

 リヒテは通信を開く。

 令息たちの顔が小さく空間表示、皆緊張しているようだ。


「ふむ、大気圏突入は初めてか?」

「は、はいっ」

「シ、シミュレーションなら」

「大丈夫だ、突入の角度だけ私にあわせろ、あとはAIがオートでやってくれる」

「はいっ」

 令息たちは少し落ち着いたようだ。


「突入っ」

 リヒテの赤い機体が冷却材を出しながら、お腹を下にして突入した。

 360度アラウンドビューモニターの下半分が摩擦熱で赤く染まる。

 シールドブースターを下に向けた、BFー109が三機斜め上に見えた。

 無事突入したようだ。


 しばらくガタガタと揺れた後、大気圏に到達した。

 今が無防備で最も危ない時間だが、撃っては来ないだろう。

 場所がばれたら軌道上からの艦砲射撃だ。

 違法ぎりぎりの行為である。

 有人惑星なら確実にアウトだ。


「まずはっと」

 三機の無事を確認した後、レドームを機体の下に回し地形を調べ始めた。

 ピピピ

 無線の着信音だ。

「んんっ?! 通常回線?」

 リヒテが怪訝な顔をしながら無線に出る。

『アウディー侯爵だっ、地上に降りたな』

「なっ、なあああ」

 通常回線の通信は、逆探知されてこちらの位置がばれる。

『すぐ敵を見つけ……』

「ざ、ざああああ、むむむ、無線の調子が良くありませんんん」

 ブチッ

 無線を叩ききった。

「全機、海面すれすれまで緊急降下、位置がばれたっ」

「はいっ」

 三機が機体をひるがえし急降下した。


「ふむ、良い判断だ」

 やまとんにいるサクラギがつぶやく。

 やまとんについている大和型主砲が少し斜め上を向いていた。

 その先には四機の宇宙戦闘機。

 彼は大砲のオーソリティーだ。

 降下した瞬間から四機に照準ををつけていたのである。

 撃たないが。


「くそっ、無線封鎖の意味がないっ」  

「トライアングル隊形っ」

「「「イエスマアムッ」」」

 リヒテ機を中心に令息たちの機体が三角形を作った。

 時々、海の上に白い線を残しながら海面すれすれを四機は飛ぶ。

 前方に陸地が見えて来た。

「一旦着陸する」

 改めて無線封鎖して行方をくらますのだ。

 着陸してから無線のスイッチを入れた。

 ピピピ

『なぜ返事をしないっ』

『聞こえてるのかっ』

『返事をしろっ』

 アウディー侯爵の声が無線から流れて来る。

 当然、通常回線だ。


 ああああああ


 リヒテは頭を抱えた。

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