19.ゾーラの武器②
『やあ、仮の体だが、コレで体を見せた事になるかな?まあ、実態が無いので本物の体を出せと言われても困るよ?』
「⋯⋯ッ!殺すッ!」
『え、ちょ、ちょっとまて⋯⋯』
仮の体で出てきたダークマター刀はゾーラによって殴られる。
『痛っ!なぜ?や、⋯⋯やめ⋯⋯⋯⋯て』
バシ、ボリ、バシ
ひたすら殴り、頭を掴んで膝蹴りを顔に叩き付けるゾーラ。
ダークマター刀の静止を無視してひたすら殴る。
それは親の仇の如く、因縁の相手の如く、怒りに任せてひたすら殴る。
殴っているのは冷静では無いからではなく、冷静だからこそ、ダークマター刀をひたすら殴る。
謝罪も、懇願も、慈悲も、全てを無視してひたすら殴る。
「き、き、貴様ぁああああ!」
『な、⋯⋯ぜ?』
未だに殴られるダークマター刀はなぜ殴られているのか分からない様子である。
ゾーラの目は完全に怒りに満ちていた。
顔、腹、足、色んな所を殴り、蹴り、関節を曲げる。
『ほ、本当に辞めて⋯⋯』
仮の体で涙目の⋯⋯泣いているダークマター刀の静止も、ゾーラには届かない。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないッ!」
『も、もうめっちゃ力証明されたから!お願いだから!辞めてええええええ!』
「許さない」
ダークマター刀はこの場をどう切抜けるか考える。
「創られた分際でモレク様の姿をするなぁああああ!」
『それかああああ』
さっさと言って欲しかったダークマター刀だが、今までのゾーラとの会話でだいたい察しが付くものだと思われる。
「む?姿を変えれるのですね。良かったです」
『よ、良かったぁぁぁぁああ』
本気で泣いているダークマター刀の姿はゾーラと瓜二つだった。
ゾーラの姿に成った事によってタコ殴りは収まった。
『てか、なぜ我を攻撃出来た?』
「貴方が言ったのではありませんか、ここは精神世界だと、私の精神世界なら私の精神が強ければ精神体の貴方に干渉出来ると思ったのです。それが成功しただけです」
『そ、そんなに簡単に行ける物なのか?』
「どうでも良いです。次は貴方の番ですよ?私に似合う性能があるのか、私に証明してください。基、モレク様の役に立てる武器だと証明してください」
『ぐ、ぐぬぬ』
ダークマター刀は自分の力を示せと言うゾーラに戸惑う。
ダークマター刀は自分との戦闘で力を示そうと一瞬思ったが、辞める。
あの殴りでは自分には勝ち目が無いと分かっているからだ。
では、どうするべきか。
『⋯⋯ッ!』
ダークマター刀は名案と馬鹿りにある物を思いついた。
『わ、我と契約出来ればお主の魂その物が強くなる。そして、我はお主が強くなれば我も比例して強くなる。つまり!共に成長出来るのだ!いずれ我の文体的な物で鎧とか盾とか出せたり出来たり出来なかったりするぞ!それこそモレクのやく⋯⋯ふべぇ』
「『様』を付けなさい」
『あい』
ゾーラは自分と瓜二つの顔のダークマター刀の顔面を躊躇いなく蹴る。
『それだけではなく、我は壊れたとしてもお主の魂の中で再生出来る。要は壊れない武器を手に入れる事が出来る。無駄に武器を消費すること無く使えるのはいい事では無いか?モレク⋯⋯様の創作ポイントも節約出来たりするかもだろ?それに、創作ポイント10万消費してお主の為に創っているのだぞ?我と契約出来なかったらモレク様が用意した武器がゾーラに気に入って貰えなかったと悲しむだろう?お主はそれで良いのか?モレク様がお主の為に『だけ』我を創ったのだ。それをお主は拒絶するのか?モレク様がお主の事を思って創った我をだ!』
「ぬッ?」
ゾーラは図星のようだ。
ダークマター刀はキタコレと思っている。
ダークマター刀の名案とは、まずは自分の有能面を演説、さらにゾーラのモレクへの思いを利用した『モレクがゾーラの為だけ』を強調する言い方をして契約に持ち込む。
ゾーラには効果抜群だった。
『どうですか?』
「ふむ、確かに壊れない武器は魅力的ですね」
『だろ?だろ?さらに、魂に収納出来るので鞘に入れて持ち運ぶ必要ナシ!』
「ふむふむ、それにモレク様が沢山のSPを使って創ってくれた武器を使用できないと⋯⋯モレク様に嫌われる?」
全く有り得ない想像をゾーラはして膝を着いて項垂れる。
その姿にダークマター刀は若干引き気味だ。
「分かりました。貴方を完璧に扱って見せましょう。モレク様の為に」
『お、おう。モレク様の為に⋯⋯それと、我に名前をくれぬか?その方が便利だろう?』
「確かにそうですね」
顎に手を当てながら可愛らしく小首を傾げ、どのような名前にするか考える。
特に名前等には興味を示さないゾーラには名付けは難しい物だった。
「モレク様に付けて貰いたいんですがね」
もしも、モレクの名前を付けて貰った剣を扱うと考えたゾーラ。
『⋯⋯まだか?』
「どうしましょう?」
頭を抱えて、辺りを歩きながら名前を何にするか考える。
「なら、コレで。『グラム』それが貴方の名前です。私の魔剣にして愛刀となる事を祈ります」
『ほほう、モレク様が創ってくれた我は愛刀に相応しくないと?そなたはモレク様が創ってくれた刀を愛刀とする事が出来ないと?』
「そ、それは⋯⋯⋯⋯そうですね。今からグラムは私の愛刀です!」
『⋯⋯(チョロ)』
ダークマター刀改めてグラムはゾーラとゆう人物の扱い方がかなり上手くなった。
今後、グラムはきっとモレクを堕しにしてゾーラと共に歩もうと決めた。
グラムは既にゾーラに逆らう意思はなかった。
もしも逆らったら文字道理、木端微塵にされそうだからだ。
ここに、ゾーラとゆう『剣神』メイドが魔剣グラムとゆう壊れない愛する人が創ってくれた武器を手に入れた瞬間だった。
「貴方の1番の価値は『モレク様が私の為だけに創った』と言う部分ですね」
『あ、はい』
笑顔で言われてグラムは反論意見すら出す気が失せた。
「そろそろ出してくれませんか?モレク様の元に返りたいです」
『そうかそうか。と、そろそろ主の姿では無く魔剣になるぞ。少し、我を振って見てくれないか?』
「良いですよ?」
グラムは黒い刀となってゾーラの右手に収まり、それを確認したゾーラは数回刀を振るう。
「良い具合です」
『まあ、魂と連結している訳だからな』
「そろそろ返りたいです」
『ああ!そろそろ返すぞ。おっと、いい事教えてやろう』
「なんですか?」
『ごにょごにょ』
「まじですか?」
『まじ』
「最高な情報ありがとうございます!」
ゾーラの中でグラムは最高の相棒となった。
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