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第一部 ローウェル子爵領 鑑定スキルと残念女神

「よっし、いい感じ」


 大漁だ。

 俺の足もとには山盛りのアイテムの瓶がズラリと並んでいる。


 ポーションに毒消しポーション。

 麻痺毒ポーション。

 石化ポーション。

 魔力ポーション。

 ハイポーションにランダムポーション。


 ちなみに、ランダムポーションは効果がランダムなポーションである。

 体力が回復するのか毒異常を回復するのか魔力を回復するのかその他の状態異常を回復するのか飲んでみないとわからない。

 効果もランダムだからちっこい切り傷しか治せない時もあれば手足の欠損を再生させる程の効果がある時もある。

 適当な薬草類を適当に合成してたらできた。


 他にも、


 魔物避けの香。

 体力増強材(中)

 魔力増強材(中)

 疲労回復薬(中)

 聖水


 材料が植物に水に土、それにさほど大きくない魔石で作れるものばかりなので効果はあまり高くないポーション類がほとんどだが、まあダンジョンの上層でなら充分に役に立つ。


「ちょっと作りすぎたかな?アイテムバッグ作るには材料が足りないからな……」


 アイテムバッグの作成にはダンジョン内で最低半年以上使用し続けた魔物の皮で作られた鞄と、中級クラス以上の魔石がいる。

 ここには魔石はあるが、鞄がない。


「いったん家に帰ってデカいリュックやら袋やら取ってくるか?」


 俺が大量のアイテムを見下ろしながら一人でぶつぶつ言っていると。


「取ってきちゃダメだし、何も持って帰れません!っていうかなに人んちの薬草やら魔石やらで勝手にアイテム作ってるんですか!?」


 バチン!と後頭部にハリセンが飛んできた。


 痛くはないけど衝撃はなかなかのものだ。


「あたっ!」


 痛くないけど反射的にそう声を出して両手で叩かれた後頭部を押さえる。


「もうっ!やっぱり通路なんて繋げなきゃよかった」


 ぷりぷりおかんむりでハリセンをまたも振り上げるのは見た目15、6才のツインテールの少女。

 つやつやの白い肌にどことなく愛嬌のある顔立ち、何故か本日はセーラー服にルーズソックスという出で立ちだ。

 コスプレ?

 そのルーズソックスはちょっと古くないか?

 それとも神センスってわけ?


「……ってかどっから出したんだよそのハリセン」

「今作りました。神ですから」


 はいはい、ところで頭大丈夫?

 ちょっとイッちゃってるのかなー?


 町中で言ったらきっとオジサンもオバサンもナンパ男もそう言って残念がるだろう。

 せっかく見た目はいいのに、と。

 だがここは町中じゃない。

 というか俺の住んでいる世界でもない。

 前世で住んでいた地球でもない。


 彼女が自分で造った彼女の世界。

 彼女の家だ。


 創造の女神レスティーア。


 それが彼女の名前。

 妄想でも頭がイッちゃってるんでもなく、正真正銘の神様である。




 〇〇〇〇〇〇〇〇




 カルギ村から戻った俺は帰るなり「ごめん。疲れたから寝るわ」と断って自分の部屋にこもった。


 俺が一人で抜け出したのはすぐにバレて、捜索隊は獣魔プラス俺捜索隊になろうとしていた。

 騒ぎになっていたところにひょっこり俺が出て来たわけである。


 当然怒られた。

 そりゃもうめちゃめちゃ怒られました。


 獣魔を見てみたかった。

 兎ならまあ大丈夫かなー?って。

 けどやっぱり途中で怖くなって丘の手前で引き返してきたと。


 俺が適当に考えたセリフに周りからは罵詈雑言の嵐。

 アホだのバカだの浅慮だのブタだの。

 ……誰だブタって言ったの!

 前の三つは認めるが俺はもうブタじゃないぞ!


 謝り倒し土下座までしてなんとか親には報告されないことに。

 代わりに何故か学校に入学してすぐに行われるという合同茶話会とやらでアンネローゼをエスコートすることに。

 アンネローゼいわく虫除けらしい。

 まあそれなりに美人だし身分もあるから、そりゃ色んな虫が寄ってくるよね。


 全力で阻止して見せよう!


 茶話会なんて名前からして超絶苦手分野な臭いがプンプンだけどな。



 部屋にこもった俺のさっそく部屋着に着替えてベットに直行。

 だが、寝ない。

 ベットに入るのは急に部屋のドアが開けられた時の対策だ。

 ぶっ倒れても最初から寝転んでたら見られても分かりにくいだろう?突入してくる母&アンネローゼ対策である。


 獣魔を喰らったことで増えた魔力を使ってしておきたいことがある。


 自身の『鑑定』だ。


 布団を頭から被って準備完了。


『鑑定』!


 相変わらずの頭痛と目眩とともに頭の中に文字が浮かび上がる。


『こんにちはー!元気にやってますか?』


 ……あれ?


『アイクさんのおかげで下僕から抜け出せた創造の女神レスティーアです。お礼に大神様にお願いしてアイクさん専属の神になっちゃいました!これからはアイクさんの幸せな人生を全力でサポートしちゃいますからよろしくお願いしますね♪

 あ、アイクさんのステータス鑑定もこれからは私が担当します。

 今はこんな感じです。


 名前 アイク・ローウェル 年齢 10 性別 男


 HP う~ん、その辺のお子さんよりはあるかな?

 MP わ、この年でスゴイです。下級の魔法師さんくらいはありますよ。


 筋力 小石なら罅くらい入るかな?

 体力 10キロマラソンならイケる?フルはたぶんきびしい。

 精神力 悟りが開けます、きっと。

 耐久 ミノタウロスの一撃でも一回なら大丈夫♪

 敏捷 微妙です。

 幸運 お任せください!

 技量 頑張りましょう。


 スキル 鑑定レベル2

 固有スキル 錬金術&合同? 合成錬金術? 錬金術合成?


 もとの固有スキル錬金術、合成を加護でリニューアル&レベルアップさせました!

 これまでの鉄を鉄のインゴットに錬金→鉄のインゴットと魔石と合成→鉄の魔武具に錬金、て順に行っていたのを別々に行わずに一気に出来ちゃいますよ!消費MPもこれまでより少なくなってます。


 名前どれがいいですか?

 この3つからお好きなのを選んで下さい。

 後で教えて下さいね。


 女神の加護(小)


 加護持ちなんてなかなかスゴイんですよ。

 経験値獲得率アップと幸運にプラス補整もついちゃいます。


 アイクさんのダンジョンのおかげでトトカルチョの賞金がいっぱい入ってきたんです。

 お金の神様に両替してもらってたくさんショッピングに行って来ました。地球にも行って来ましたよ♪

 あ、ごめんなさい。

 おみやげ忘れちゃって……、次はちゃんと買ってきます。

 あとあと、なんと新しいお家を買っちゃいました!

 小さいけど可愛い家なんですよ。

 直径一キロほどの世界付きなんですけどね。

 薬草園と花壇もあるんです。

 ふふふ、実はアイクさんの部屋のクローゼットと空間を繋げて通路を作っておきましたー!


 スキルの名前も聞かなきゃだし、ぜひぜひ遊びに来て下さい!

「開けまーゴマっ」

 が合言葉です。


 こちらの世界は時間の流れがほとんどないので戻る時は同じ時間に戻れるので安心して下さい。

 浦島太郎さんにはなりませんよ。


 でも来る時はちゃんとノックしてからにして下さいね♪ 』

 色々ツッコミどころはある。

 ステータス文章で書くな、とか。

 お金の神様とかいるんだー?両替してもらうんだー?とか。

 神様の不動産ってそんな感じなんだ、とか。

 加護なんで(小)なんだよ、せめて(中)にしてくれよ、とか。

 ツッコミどころだらけだけど。


 とりあえず、


「遊びに来いってコイツ新居自慢したいだけだろ……」


 わざわざ空間繋げてまで俺に来させるくらい友達いないのか?

 いないんだろうな。

 長らく下僕だったし。


 俺はベットから起き上がるとクローゼットに歩み寄る。


「開けゴマっ!」


 合言葉を言ってノックなしにドアを開けた。


「たのもーう!」


 そう声を張り上げてズカズカとクローゼットの奥に広がった庭らしき場所に足を踏み入れる、と。


「……ひゃうっ?」


 着替え中だったらしい女神さまが頭から服を半分被った状態で振り向いた。

 残念。

 下は履いている。

 上はブラジャーまる見えだ。


 さすが女神さま、サービス精神に溢れてるな。


 ーー白のレースか。





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