六話
それからも、お二人は常に一緒に行動をしておりました。
普段は巫女がディー王子に色々と女性としてのアレコレを進言しているのですが、極々稀にご褒美的な感じで男神から神託を授けてもらうのでした。
「巫女様が王子のお傍にいらっしゃるようになってから、王子も楽しそうでいらっしゃいますわね」
「お二人が並んでいらっしゃるのを遠目で見ているだけでご飯三杯はいけますわぁ」
「あらあらそれに加えて私などお茶漬けもいけますわよぉ」
「うふふふふふふふふふ」
王宮内では、そんな会話が以前に比べて格段に増えたのですが、それを耳にする度に巫女は嬉しくて仕方がないのか、満面の笑みを見せます。それを訝しげに見ながらディー王子は巫女に問いかけます。
「巫女……何をニヤニヤしているんだ?」
「いえいえ、私の良い評判を耳にする度に今後の人生設計に多大なる貢献をしているのだと思いまして」
「は?」
「以前言いましたでしょう? 将来は恋愛をして結婚をして子供を産みたい……と」
「ああ」
そこまで言うと、巫女はドヤ顔でディー王子を見つめます。
「格を付けておけば素敵な殿方から求婚される可能性が増えるではありませんか!!!」
それを聞いたディー王子は「え? お前何言ってんの」的な顔をされています。
何だか哀れな表情で巫女を見ていらっしゃるようです。
「巫女はどんな奴が好みなんだ?」
「好み……ですか?」
「ああ。あまりにも楽しそうな顔をしていたからな。一応聞いておいてやろうかと思ってな」
ポカンとしてディー王子を見つめる巫女ですが、「よくぞ聞いて下さいました!!!」と前振りするや否や、勢いよく話し始めます。
「お金持ちで、私自ら馬車馬のように働かなくてもよくて、でも適度に外で働かせて下さって、料理をしなくても勝手に料理が出てきて、お風呂もできていて、たまに旅行に連れて行って下さって--それかそれから」
まだ続きそうな巫女の言葉にディー王子は唖然としております。
「巫女と言っても割りと俗物的なんだな」
巫女に神聖なイメージを持っていらっしゃたのでしょう、ディー王子はガッカリしていらっしゃいます。
無理もありません、普段から年齢に見合わない丁寧な物腰に話し方、そして神の神託を授けてくださる立場の巫女がこのような、いかにもな理想を語りだしたのですから。
「あらディー様、私の前世はただの一般ピーポーだったのですわよ。こんな至って普通の夢しか持ち合わせてなどおりませんわ」
「ピーポー?」
「庶民と言う意味ですわ」
にっこりと王子に補足の言葉を足して巫女は一息吐きます。
「あぁ!! ディー様、私の将来の夢について語っておりましたらいつの間にかかなりの時間が経っておりましたわ。家庭教師の先生の所に急がないと拳骨が待っていましてよ」
一気に言い切ると、ディー王子の手を握って巫女は授業に間に合うように王子を急かして歩きだすのでした。
お茶漬けは巫女が王宮勤めの侍女さん達に流行らせました。直に食べられると評判は上々のようです。




