第7話 恋愛コンサル開始
昨日の朝に黒豹が大量に作った残りを朝食として食べた.
だが、学校に行くまではまだ時間に余裕がある。
俺たちは余った時間を利用して、そのまま初回の恋愛コンサルをすることになった。
リビングのテーブルを挟んで、俺と黒豹が向かい合って座っている……朝食の続きで始めたからポジションは変わらない。
俺は持ってきた新しいノートを広げて、黒豹に尋ねた。
「まず何から始めればいい? 星城院さんの趣味嗜好の調査か。それとも行動パターンの分析か? やはり、接触するための最適なタイミングの算出から始めるか?」
「…………キモっ!」
「なんだと?」
「いやさ~真面目くん、その喋り方やめようって……」
「喋り方? なにか問題か?」
「話す時に、そんな悪の科学者みたいな言い方されたらさぁ。女の子全員ドン引きだから……」
「論理的に話して何が悪い。理路整然としてスッキリしているだろ?」
「論理的とか(笑)」
黒豹……お前いま最後に(笑)つけただろ。
その顔でバレバレだからな。
「だいたいさー、恋愛に論理なんかないだって~」
「は? 真っ当なロジックなしにどうやって行動を最適化するんだ?」
「ん~……直感とフィーリング。あと空気かな!」
「空気だと? そんなの全然計画性がないだろ!?」
「そんなこと言ってるから永遠に童貞なんだよw 来世も童貞で決まりだね! お疲れ様です……」
「おい! 童貞は関係ないだろ!」
こいつ……なんかあったらすぐ童貞って言うの何とかならないのか?
ハートがピュアなだけだと説明したのに、理解できんのか?
こら黒豹……お前、溜息ついてるけど、俺だって同じ気持ちだからな?
「いい? 真面目くん。恋愛ってのはね、ロジックとか最適化とか、そういうロボットみたいな話じゃないんだよ」
「じゃあどういう話なんだよ?」
「やっぱり大事なのはお互いの気持ちじゃん? 好きって気持ちを、素直に相手に伝えるんだよ。それだけ」
「だからその『伝え方』ってのを最適化したいんだが」
「最適化って……。真面目くん、もうロボットと付き合ったほうがいいんじゃない? 頑張って勉強して『女子高生型ロボット』でも作りなよ」
「俺はロボットには興味ない」
それに、ロボットを作れる頃にはきっとオッサンだ。
どうせ作るなら「女子高生型」よりダイナマイトボディのお姉さんロボの方がいい。
まあ……作らんがな。
「じゃあ、その考え方直そうね~」
「分かった。善処する……」
俺はノートに「話し方と非論理的思考法」と書いた。
「後は……やっぱり見た目かな?」
「見た目?」
「そっ……星城院ちゃんと会うのは主に学校だから、服に関しては制服だから別にいいとしてもさぁ。真面目くんって……見るからに陰キャじゃん?」
「…………」
お? なんだ……朝から致命傷を食らったぞ?
口から血とか出てないよな?
「まあ……俺は陰キャだからな。見た目なんぞこんなもんじゃないのか?」
「そういうんじゃなくてさ、なんだろう。髪型?」
「……なにか問題か?」
これでも寝癖は毎日直しているし、定期的に散髪しているのだが。
「前髪長すぎ問題だよね。目が隠れててもいいけど、さすがに重すぎじゃない? 真面目くん、素材は悪くないんだからさ。髪型にも気を配ろうよ」
「髪型を変えると何が変わるんだ? 所詮見た目じゃないか。中身は変わらんだろ?」
「全然変わるよ。見た目って大事なんだよ? 少女漫画がブサイクだらけだったら誰も読まないよ?」
「そうなると、ギャグ漫画になってしまうかもしれんな」
「詐欺師だって見た目から入るってニュースで言ってたよ?」
「あーつまり『メラビアンの法則』だな?」
「メラ? なに言ってるかわからないけど……まあ、そういうこと!」
たしかに、人間が他者から受け取る情報の大半は視覚情報だ。
メラビアンの法則によれば視覚情報の比率は55%だったか?
ハロー効果の例もあるし、見た目が重要だという黒豹の意見は、理屈が通っている。
実際に企業の面接でも、清潔感のある見た目の方が高く評価されるらしいからな。
「わかった。前向きに検討しよう」
「検討じゃなくてすぐやるの~。明日美容院予約してね」
「明日ぁ!?」
「そう。こういうのは早いほうがいいって。髪型はアタシがチョイスしてあげるから」
コイツに任せて本当に大丈夫なのか??




