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好きな子を落とすために拾った黒ギャルに恋愛コンサルしてもらったら、なぜか俺にだけ激重で困っている件  作者: ちくわ食べます


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第37話 ほんのり赤い顔

「騒ぐな。もうひとつあるだろ。ひとり1個だ。なにか問題あるか?」


「大問題だよっ! これアタシが持って帰ってきたケーキなんだけど!!」


「だが『半分こしよ』っていったのはお前だろ。ならば俺がイチゴを食べるのは正当な権利だ。もっと論理的に考えろ」


「ぐぬぬぬ……ガッチのサイテー男! 鬼! 変態! 痴漢! 血も涙もない童貞!」


「童貞は関係ないだろ!!」


 それに変態や痴漢でもない……。


 ……だいたいお前、怒ってないだろ。さっきから口元が笑ってるじゃないか。


「ったく、イチゴひとつで大げさな奴だな」


「アタシはイチゴが大好きなのっ!」


 そうか。それは初耳だ。


 黒豹がそんなにイチゴが好きとは知らなかったな。


「わかった、明日ケーキを買ってきてやる……」


「ほんとぉ!? わ~い、約束だからね! 絶対だからね!」


 エロサンタがパァ~っと明るい顔になった……ほんと、嬉しそうにしおって。


「まあ、クリスマスだしな……ウチでもケーキくらい買ってもいいだろう。だからもうプンスカするな」


「明日もケーキ! 家でクリパだー!! やったー!!」


 黒豹が元気にはしゃいでいる。ただそれだけのことなのに。


 なぜだ?


 さっきまで感じていた妙なモヤモヤが綺麗さっぱり無くなっている。


 まさか……俺は……


 いや……そんなわけない……よな?



 ◆


 朝起きると、早起きのはずの黒豹がリビングにいなかった。


 珍しいこともあるものだ。いつもなら俺が起きる前にいるはずなのに。


「……あれから夜ふかしでもしたのか?」 


 簡単にトーストでも焼くかと思ったが、そのまえに黒豹に声をかけておくか。


 手に取った食パンを戻して廊下を進み、黒豹の部屋のドアを「トントン」とノックした。


「おーい黒豹、トースト食べるか?」


「……………」


 やっぱりおかしい。返事がない。

 

 いつもなら、うるさいぐらいの声が返ってくるのに。


「寝てるのか、黒豹?」


「……んー……」


 返事はあったが、なんか変な声だ。

 

「入るぞ」


「ちょ……ちょっと待っ……」


 なんで待たなきゃならんのだ。


 当然、俺は待たずにドアを開けた。


 黒豹は布団の中にすっぽり入っていた。ちょこんと出ている顔が、すこし赤い気がする。


「なんだ……お前、顔が赤いんじゃないか?」


「全然……ヘーキだし。ちょっと……眠いだけだもん……」


 言葉に力がないというか、いつもの調子じゃないな。それと、やっぱり声がおかしい。


「眠いやつの声とは違う気がするが……ちょっといいか?」


 黒豹の額に手を乗せてみると。黒豹が少しぴくっとした。


「お前、デコ熱くないか?」


「触んないでよ……まだメイクしてないんだから……」


「デコ触るのとメイクは関係ないだろ。ちょっと待ってろ」


 俺はリビングに戻ると、救急箱から体温計を持ってきた。


「ほら、測ってみろ」


 体温を差し出したが、黒豹の手が布団から出てこない。


「……大げさだって」


「いいから、ためしに測ってみろ」


 俺が食い下がると黒豹はしぶしぶ体温計を受け取ったが、なんでそんなに嫌そうなんだ?


 しばらくすると体温計が"ピピ"ッと知らせてきた。


「どうだ?」


「……38度6分」


「どこが『ヘーキ』なんだ? 立派な病人だろうが」


「…………うん」


「ったく、あんな寒そうな格好ではしゃいでるからだぞ」


「だって……………あれは……ガッチーに……」


「ん、俺?」


「なんでもない……」


 俺がどうかしたのか?


 よく分からんが、体を冷やしすぎたから風邪ひいたのだろう。


「黒豹、今日はゆっくり休んでいろよ」


「ねえ……ガッチー、その……ケーキは?」


「はぁ!? ケーキなんて、その調子じゃ無理だろ」


「やっぱり。だから測りたく……なかったんだよ………」


 それで体温計を受取りたがらなかったのか……


 だがな、風邪を引いている時にケーキなんぞ食べても、味は分からんぞ?


「落ち込むな。元気になったら買ってきてやる。だからまずは治せ。それからだ……」


「うん……」


 よほどイチゴが食べたいのだろうか?


 黒豹は、ほんのり赤い顔で嬉しそうに微笑んだ。



 ◆



「どれ、はじめるか」

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