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ママ(フェンリル)の期待は重すぎる!【Web版】  作者: 人紀
第二十六章

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ドライフルーツが好評?

 なら、町に入るのも問題ないかな?

 いや、流石にそう考えるのは早計(そうけい)か。

 そんなことを考えつつ、おじさん達に赤鷲のアナさんを呼んで欲しいとお願いする。

 理由として、家族からしばらく町には入らないようにと言われていると説明した。

 冒険者のおじさん達は大きく頷いた。

「サリーちゃんの家の人がそのように心配する気持ちはよく分かる。

 まして、サリーちゃんは白の魔力持ちだからな。

 分かった!

 今から、アナちゃんを呼んできてやる」

と請け合ってくれた。


 ありがとう!


 お礼にと、葡萄のドライフルーツの入った袋を渡すと、嬉しそうにした。

 なんでも、わたしのドライフルーツは冒険者の中で、好評なのだとか。

「この前、小白鳥の奴らが自慢してきて、悔しいが羨ましかったぜ!」

とか、冒険者のおじさんは言っているけど、女性陣はともかく、厳つい男性にも求められるのは、凄く意外だ。

「今度、売ってよ」

とか言われたけど、う~ん……。

 まあ一応、「考えておくよ」と答えたけど、そういう金儲けはちょっと考えてないんだけどなぁ~



 以前、基地を作った場所で地面に座り、白雪ちゃんとイチゴのドライフルーツを食べていると、近づいてくる気配を感じる。

 白雪ちゃんには見えなくなって貰い、様子を窺うと、赤鷲の皆が歩いてくるのが見えた。

「お~い!」

と手を振ると、赤鷲の皆が笑顔で振り返してくれた。

 少し、話が長くなるって赤鷲の団団長のライアンさんが言うので、アナさんが地面に敷いた布に皆で座る。

 そして、ドライフルーツを抓みながら話をすることにした。

「正直、俺もよく分からないんだ」

というライアンさんが言うには、一昨日の朝、突然、領主様が宝探しの中止を宣言したとの事だった。

 しかも、それ以上探ることを禁ずるというお触れも出たらしい。

 ライアンさんは苦笑しながら言う。

「そこからは、完全に憶測なんだが……。

 どこかで宝が見つかったのではないかって、冒険者組合は騒然となってな。

 有るわけがないって、皆やる気が無かったんだが……。

 それが本当にあったんだ。

 正直、俺も興奮した!

 もっとも……。

 それが何なのかは、未だに分からないんだけどな」

「そうなんだぁ~」

 確かに、お宝がなんなのかは気になる!

 羊飼いのエメラルドさんは知ってるって言ってたけど……。

 何なんだろう!?

 あ、いや、それよりもお願いしなくては。

「あのね、アナさんにちょっとお願いしたいことがあったんだけど……」

と言いつつ、我が()の皆に町に入ることを禁止されていることと、代わりに手芸を売ってきて欲しいことをお願いした。

 アナさんはニッコリ微笑みながら「構わないわよ」と引き受けてくれた。


 助かります!


「あ、でも、もう騒動が終わったのなら、町に入っても問題ないかな?」

と言うも、ライアンさんは難しそうな顔で首を横に振る。

「いや、念のためにお前は町に入らない方が良いと思う。

 ひょっとすると、また再開する可能性だってあるしな。

 それに、お前の家族だってその方が安心するだろう?」


 まあ、確かにそうか。


 そんなことを考えつつ、籠からイチゴジャムが入った壺を取り出す。

「売りに行ってくるお礼と言ったらあれだけど、これを上げる」

「それ、蜂蜜!?」

「え!?」

 突然、食い気味に寄られて驚いてしまう。

「い、いや、イチゴの煮詰めだけど……。

 え?

 蜂蜜の方が良かったの?」

 アナさんは恥ずかしそうに顔を赤める。

「いやあの……。

 イチゴの煮詰めも凄く嬉しいのよ。

 ただ、前に貰った蜂蜜、日焼けをした肌に塗ると凄く良かったから……」

 あ、日焼け対策で欲しいのね。

 町では貴重な蜂蜜だけど、我が()では比較的、簡単に手に入る。

「じゃあ、今度また少し、持ってきて上げるよ」

というと、満面笑みのアナさんに「ありがとう、サリーちゃん!」と抱きしめられてしまった。


 だから、わたしに抱きついても胸部装甲の無駄遣いなんだってば!


 あ、日焼けをしないわたしはともかく、イメルダちゃんの為に確認しておこう。

「ねえねえ、日焼け箇所に直接塗るの?」

「そうよ。

 適量は――」

 などと、アナさんに説明を聞いていると、こちらに近づいてくる気配を感じた。

 視線を向けると、マッチョ系組合長のアーロンさんがのしのしとこちらにやってくるのが見えた。

 わたしが気づいたのを見ると、手を振ってくる。

 ライアンさんが「あ、組合長が心配していたから、一応、お前が来ていることを話してた」と思い出したように言う。

 まあ、アーロンさんなら別段問題ない。

 わたしは手を振り返した。



 赤鷲の皆には刺繍を売ってきて貰い、その間、アーロンさんと地面に座りながら話をすることになった。

「サリー、どれぐらい話を聞いている?」

「ん?

 ライアンさん達から、お宝探しが終わったって話なら、訊いているよ」

 わたしがいうと、アーロンさんはいかめしい顔を頷かせた。

「話によると一昨日の昼前、突然、指示があったらしい。

 そして、その後、領主様は側近らを連れて町を出て行ったらしい。

 どこに向かうかも告げず、しかも、騎士団長を初めとする領の騎士に待機を命じてだ。

 本来であれば、領から出る場合はそれなりの護衛が必要なんだが……」

「???

 何でなんだろう?」

 訳が分かっていないわたしに対して、アーロンさんは苦笑する。

「まあ、要するに、だ。

 大勢で行けば、例のお宝の分け前が減る――そういうことだ」

「うわぁ~」

 驚くほど、けちくさい。

 ドン引きするわたしを見ながら、アーロンさんは続ける。

「まあ、その中に騎士も混じっていたからな、騎士団長としても、渋々ながら受け入れていた。

 とはいえだ。

 行き先が……。

 例えば街道沿いを帝都に向かったのであれば……。

 よほどのことが無い限り、問題ない。

 ただ、ここから北上し、林、そして、草原まで行ったとなると……。

 なあ、サリー、一応訊くが、ここまで来るまでに、それらしき痕跡とか落ちてなかったか?

 余り言いたくないが、遺体とかもだが……」

「いや、無いよ。

 流石にあったら、報告してるし」

 一昨日、一昨日かぁ~

「というより、一昨日なら、わたし、狩りをするため林を抜けた草原辺りにいたけど、それらしいものは見てないよ。

 そもそも、魔獣自体、少なかった気がする」

 あ、でも、あれは悪役妖精の魔法? のせいかな?

 よく分からないなぁ。

「見たのは飛び猿君、といってもここからはそこそこ距離があるか。

 あ、あと、岩バッファローさんか」

「なんだ、その飛び猿? あと、岩ばふぁ?」

 困惑するアーロンさんに説明をすると、マッチョ系組合長の顔が蒼白になる。


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