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ママ(フェンリル)の期待は重すぎる!【Web版】  作者: 人紀
第二十六章

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建築系で有名なあれ?

 中央の部屋(食堂)に戻ると、部屋の天井付近で何かが飛んでいる気配を感じる。

 視線を向けると、龍のジン君――そして、その背に跨がる鎧姿の姉姫ちゃんだった。

 わたしに気づいた姉姫ちゃんが嬉しそうに槍で指さし、ジン君がそれに従い、楽しそうに飛んできた。

 そして、わたしの前まで来ると、姉姫ちゃんがニコニコしながら、身振り手振りをする。


 え?

 ジン君と一緒に戦えば最強?

 空中から一方的に攻撃できる?


 いや、龍に乗る姫騎士って確かに格好いいけど……。

 姉姫ちゃんは普通に飛べるから、乗る意味なくない?


 だけど、やたらと楽しげな姉姫ちゃん達を見ていると、そんな突っ込みも野暮かと思い直し「確かに最強だね!」と言っておいた。


 まあ、仲が良さそうで良かった。


 イメルダちゃんにも見せるためか、寝室の方に飛んでいく後ろ姿を見ながら、そう思った。



 食料庫に入り、シルク婦人さんから頼まれた食材を集めていく。

 牛さん達に林檎とかを食べさせるとなると、もう少し、作っておいた方が良いかな?

 イメルダちゃんと要相談だね。

 あ、あと、刺繍の件での赤鷲の団のアナさんへのお礼は何を持っていった方が良いかな?

 果物そのままだと季節うんぬくんぬが有るから避けた方が良いかなぁ~

 ジャム、そういえばイチゴジャムはあげたことがない。

 それを持っていこうかな。

 イチゴを一粒持ち上げると、肩にいるルルリンがポヨンポヨンと動く。

 え?

 あ、今日はイチゴが食べたいのね。

 ルルリンにイチゴを五つほど食べさせた後、中央の部屋(食堂)に戻る。

 中に入ると、イメルダちゃんが何やら困った顔をしながら、龍のジン君を撫でていた。

 よく見ると、ジン君も、その上に乗る姉姫ちゃんもプリプリ怒っている。

「え、どうしたの?」

 わたしが訊ねると、イメルダちゃんが眉を困らせながら言う。

「姉姫ちゃんがジンに乗って戦うみたいな事を身振りで言ってたから……。

 姉姫ちゃんは飛べるからジンに乗る必要は無いわよって言ったら、怒り出しちゃって……」

「あぁ~言っちゃったかぁ~」


 ロマンに野暮な突っ込みをしたらこうなる図だね。


「キュ~! キュ~!」とジン君は怒り、姉姫ちゃんは〝冷めた! 凄く冷めた!〟とでも言うように顔を赤くしながら身振り手振りで怒りを表明している。

 それに対して、イメルダちゃんは「ごめんごめん、そんなに怒らないで!」と宥めている。

 仕方がなく、食料庫に一旦戻ると、姉姫ちゃんにイチゴを一粒、ジン君にはサツマイモの干したのを一枚上げた。

 途端、機嫌が良くなる。


 まあ、現金なものだ。


 そんな二名を、イメルダちゃんはなんとも言えない顔で眺めていた。



 パンを作り、朝ご飯を食べて、洗濯をする。

 籠にヴェロニカお母さんが作った刺繍と、お礼用のイチゴジャムが入った壺を入れる。

 刺繍はいつもの倍、入っているとのことで、大きめの袋に入っている

 後はひょっとしてこちらを求められるかとドライフルーツの入った小袋を種類ごとに入れる。

 籠を背負い、フェンリル帽子を被る。

 近衛兵士妖精の白雪ちゃんを胸に入れて、町に行く準備は完了だ。

 ヴェロニカお母さんに「くれぐれも気をつけてね」と注意され「うん、分かった」と頷きつつ外に出る。

 玄関前の階段を降りていると、結界に近づく気配を感じる。

 そちらに視線を向けると、黒いボディーの彼らが近づいてくるのが見えた。


 蟻さんだった。


 色んな石を抱えた蟻さんが五匹ほど、何やら、ビクビクしながら近づいてくる。

 あ、蟻さんの近くに魔木(まぼく)君(大)が警戒するように立っていた。

 彼が怖いのね。

 まあ、魔木(まぼく)君(大)はダークな雰囲気があるから、蟻さんの気持ちも分かる。

 わたしは近づくと「蟻さんは大丈夫だよ! ありがとう!」と声をかけた。

 魔木(まぼく)君はわたしにギギギと音を立てながら笑み(?)を向けると、「ほ~ほ~」言いながら奥に戻っていった。


 いや君、完全にお化け屋敷の住人だよ?


 そんなことを遠い目で考えつつ見送っていると、蟻さんが顎をカチカチ鳴らし、石を主張するように前足を揺らした。


 え?

 この石なんなの?

 え?

 色んな石をもってこいと頼まれた?

 誰に?


 そんなやり取りをしていると、家の方から誰かが近づいてくる気配を感じた。

 視線を向けると、物作り妖精のおじいちゃん達が慌てた感じに近づいてきた。

 あ、おじいちゃん達に頼まれたんだ。

 わたしは蟻さんから石を受け取ると、結界の中の地面に置く。

 おじいちゃん達はそこに到着すると、吟味するようにそれを見始めた。

 ん?

 再度、誰かが近づいてくる気配を感じそちらを見ると、麦わら帽子を被ったイメルダちゃんが早足でこちらに向かってきているのが見えた。

 その側にはケルちゃんと近衛兵士妖精の黒風(こくふう)君がいる。

 イメルダちゃんの場合は種だよね。

 わたしは林檎の木を前脚で指しながら〝あれが欲しい〟と主張している蟻さんに訊く。

「ねえねえ、蟻さん。

 種は有る?」

 すると、蟻さんは身振り手振りで言う。


 え?

 有るの?

 だけど、石の分の林檎を貰ってから?

 はいはい、分かりました。


 側にやってきたイメルダちゃんに、「種は有るけど、まずはおじいちゃんの石と林檎を交換してからだって」と伝えつつ、林檎の木に近づく。

 そして、「育てぇ~!」をしつつ、林檎を収穫する。

 蟻さん一人が抱えられそうなぐらい分を白いモクモクで持つと、蟻さんの元に戻る。

 物作り妖精のおじいちゃんとイメルダちゃんが石の一つを持って、何やら話をしていた。

「何か良いものがあった?」

 わたしが蟻さんに林檎を渡しつつ訊ねると、イメルダちゃんは白い石をわたしに見せながら言う。

「物作りのおじいちゃんが言うには、この石がガラスの材料なんだって」

「ガラスの材料?

 あ、ひょっとしてケイ石かな?」

「けいせき?」

「あ、異世界(こっち)ではどう言うのか知らないけど……」

 もし仮に、ケイ石だとしたら……。

 建築系異世界転移で定番のあれが作れるのではないだろうか?

 それに、蟻さんが持ってきた石の一つ――灰色のあれ、こちらも材料になるのではないだろうか!

 わたしはイメルダちゃんからケイ石を受け取ると、灰色の石も拾い、蟻さんに見せる。

「ねえねえ、蟻さん。

 これとこれ、見つけたらいくらか持ってきて欲しいんだけど」

 すると、蟻さんは自信ありげに胸(?)を張りつつ頷く。

 頼もしい!

「あと、岩塩があると嬉しいんだけど……」

と言うも、岩塩の意味が分からないのか、蟻さんは小首をかしげる。

 すると、物作り妖精のおじいちゃんが石を持った片手を振り始める。

 あ、これこれ!

 わたしは物作り妖精のおじいちゃんから岩塩を受け取ると、それを蟻さんに見せる。

「ねえ、これもお願いできる?」

 すると、これでもかってぐらいに胸を反って見せた。

 自信満々だ!

 いや、反りすぎて倒れないでね?


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