2◆ペットショップにて
「トイプードルはダメ、かわいいと思えないから」
小春がペットショップに着くなりそう言った。
小春がそう言ったのには訳がある。
俺の実家には、二匹のトイプードルがいる。
俺の両親が可愛がりすぎて躾を怠ったために、何にでも誰にでも噛み付き、すぐに吠え、トイレは覚えない最悪な「お犬様状態」になっている。そして小春とは相性が悪い。
「そうだな」
俺も、飼うならトイプードル以外が良い。
それは単に、違う犬種に興味があったからだが。
「出来れば、柴犬とか秋田犬みたいな、日本犬がいいなー」
小春の実家では以前、日本犬の雑種を飼っていたらしい。鈴が生まれる少し前に亡くなったらしいが。
「でも日本犬は毛が抜けるから掃除大変じゃないのか?」
「そっか、じゃあやめよ。」
(おお…、切り替え早いな…。)
「あーこの子は?ポメラニアン!!もふもふー」
ペットショップのガラスケースを覗きこんで嬉しそうに見つめる小春。
「そいつも毛が…」
「あ、じゃあやめよ」
俺が言う前に、さっさと次に行く小春。
「なんなんだよ、お前!飼う気ねーだろ」
「あるよ!」
「パパ、ママ、はんぶんこっ!」
まだ二歳の沙羅が俺と小春の間に入って、真剣な顔で俺達を交互に見る。
(“はんぶんこ”?)
意味がわからず小春の顔を見ると、クスッと笑ってしゃがみ込み目線を合わせて沙羅に言った。
「大丈夫だよ沙羅。パパとママは喧嘩してないから。」
その言葉に沙羅が少しホッとした顔をした。その顔を見てから、立ち上がると小春が俺に言った。
「私がいつも、鈴と沙羅が喧嘩になると“はんぶんこしなさい”って言ってたから…」
「なんだそれ・・:っ」
(沙羅、可愛すぎるぞ!)
「沙羅、おいで。抱っこ」
思わず沙羅を抱き上げて、ふと目の前のガラスケースに目をやった時。
俺は・・・―――こちらを見つめる子犬に運命を感じた。




