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魔王になるには?  作者: 水原慎
エピローグ
310/312

エピローグ(2) 欠格と遅延

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

 二人のやり取りの横でアルは戸惑っているようだった。リアとガデスを交互に見やっている。

 察したリアが言った。

「そのまま立っていなさい、アル」

 厳しい声で言い、ガデスを見上げた。

「誇り高き魔族は誰の支配も受けない。魔王でさえも尊重することはあっても、無条件に服従することはない。ゆえに、対面の場で膝を屈する必要もない。それでよろしいですね? ガデス王」

「結構だ」

 ガデスは満足そうに笑った。

 リアの述懐は正しかった。魔界における魔王は、民を単純に支配しているわけではなかった。魔王は魔族の社会の最高位に就く者ではあっても、民を無条件に従わせられる存在ではない。誇り高き魔族の主人は個々の魔族自身であり、一つの世界を滞りなく動かすための便宜的な手立てとして魔王という地位はある、とするのが魔界のしきたりであり、建前だった。もちろんのこと、実際とは違う面も多々あった。

「重ねてお訊きします。あたしたちが選ばれたというのはどういう意味でしょう?」

「言葉通りだ。ガルカ・ガングラウとルルカ・ゲッセルは欠格した。彼ら、正確にはガルカ・ガングラウは洞窟の中でワー・モンの命を奪った。ゾグナ・カイシュカンは、君と同様に水流に落ちたフェニア・カラブを見捨てた。今も洞窟の中だ。つまり、最終試練を突破した者は君たち二人ということになる」

 ガデスの言葉にリアは合点していた。殺気立つワー・モンの様子は直前の仲間の死によるものだった。早期の到着は水に落ちたことが逆に幸いしていた。

「フェニア・カラブはどうなりました?」

「我々で救出したよ。彼らには最終試練に関する事項は忘れてもらうことになる。ガルカたちも同様だ。洞窟に入る瞬間、何か違和感があったはずだ。あれは、そういう仕組みだ」

 リアは首筋の違和感を思い出していた。相転儀を応用し、記憶に干渉する仕組みと理解した。


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