4-21 終着点
長文なので分割してアップしてあります。
枝番のあるものは一つの文章です。
サブタイトルは便宜上付与しました。
そういえば、ナヤカには大きなこと言っちゃったしな…。今回のことを報告したら、何て言うんだろ?
正直、想像もつかなかった。もしかしたら、ギーツよりも問題かもしれなかった。
ナヤカは、別れの時の大言を責めるだろうか。それともアルの行為を褒め称えるのだろうか。
何となく後者のような気がした。根拠はない。それでも、不安は少し残った。
「…怒ったら、一緒に謝ってよね」
気の重さが思いを呟きに変えた。
「え? 何?」
「何でもないわよ!」
リアはアルの背中を盛大に叩いた。アルが咳き込む。滑稽な様子が、リアの心に余裕を取り戻させた。
「思った通りだ! 外だよ!」
アルが言った。二人の視線の先に明るみが見えていた。水路の終着点だった。
出口まで流れ着いた二人は、光球を水べりに寄せると地面に降り立った。水路は川に変わっていた。
リアは短く歓声をあげた。光景が一変していた。
見渡す限りの野原だった。草花が生い茂り、足元を埋め尽くしている。流れ出た水は、せせらぎとなって野原を渡っていた。空が高い。雲ひとつなく晴れた空は開放感に満ちていた。柔らかな陽光が辺り一面に降り注いでいる。閉ざされた空間から出てきたために感動はひとしおだった。
「これが、最終試練でなければ最高なのに…」
高揚が去るとリアは呟くように言った。