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魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
303/312

4-18 水流に飲まれる二人

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「あっ!?」

 リアは声をあげた。一体のワー・モンに追いつかれ、接触して足が乱れた。次の瞬間には体が空中に踊り、水流に没していた。

 何も見えない中で、リアは勘だけを頼りに水の上に顔を出した。冷たい水の感触と流される体の抵抗が状況を伝えてきた。

 皮膚が空気を感じた刹那、光を手にして下を覗くアルの姿が目に映った。映ったと思った時にはアルの姿が跳んでいた。間近の水面に着水の音と感触があった。

「アルっ!?」

「しゃべらないでっ!」

 押し寄せる水に流される混乱の中で、リアはアルの手を感じた。二人は絡まり合って水流に飲まれた。

 アルはリアごと光球に包み込んだ。内部の水は排出され、光球が二人の身を守った。アルは、光球に包まれた状態で水に流されることを選択した。

 地下水脈は二人の意思を無視して、運んだ。水の中にいたのはそれほど長い時間ではなかった。そのうちに、二人は岸に辿り着いていた。水は緩やかになり、幅広い場所を流れていた。

 光球に包まれた状態で浅瀬に打ち上げられた二人は、そこで岸辺に上がった。水流に翻弄される混乱のために、どこをどう巡ったのかは分からなかった。

 水から上がったアルは、砂地に転がる岩の上に腰を下ろした。手にぶら下げた、光球の中に残っていた靴は投げ出すように近くに置いた。乱れたスカーフが襟からはみ出している。疲弊したのか、アルは膝の上に腕を乗せ、背を屈めた。浅瀬は外に繋がっており、岩の裂け目から陽が差し込んでいた。

 リアは傍らに立ち、座るアルの姿に目を落としていた。靴を無くした足元に水が滴って染みを作った。

 リアの相転儀をもってすれば水流から抜け出す程度のことはできた。自重のあるヴァン・キ・ラーゴは水中での活動には不向きだが、他にも対処の方法はあった。使う決断の前にアルが水に飛び込んでいた。

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