表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になるには?  作者: 水原慎
第四章 決着
302/312

4-17 アル、あたしね…

長文なので分割してアップしてあります。

枝番のあるものは一つの文章です。

サブタイトルは便宜上付与しました。

「…ごめんなさい。馬鹿みたいだけど、他に言える言葉がないわ」

「何を謝るのさ。今のはしょうがないよ」

 リアは顔を上げた。光に浮かんだアルの顔は小さく笑っていた。

 リアは無言でアルの顔を見つめた。

 アルの言葉がしおれきった心に染みていた。たとえ魔王になれなくても、この男と共に生きていきたいと心の底から思った。思った時にはアルを抱き締めていた。

「リア?」

「アル、あたしね…」

「しっ!」

 続けようとしたリアの言葉はアルに遮られた。 

「? どうしたの?」

「何か聞こえる」

 体を離したリアは耳を澄ませた。大きな水音は途切れることなく続いている。

「…別に、何も…」

 否定しようとしたリアの耳に、水音に混じって聞こえるものがあった。

 獣の鳴き声だった。複数の鳴き声が、しかも近づいてくる。

「これって…」

「まただ!」

 アルはリアの手を取って立ち上がらせた。

「走って!」

 声が届く逆の方向へとアルは駆け出した。空のザックを背負ったリアも追随する。怒りが気力に変換されていた。走りながらリアは叫んだ。

「この試練を考えたやつって、間違いなく人をいたぶるのが好きな性格異常者よっ! とびっきりの変態だわっ!」

「同感っ!」

 二人は水音と平行して走り続けた。鳴き声は暗闇の奥から追ってきていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ