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倒してくれる勇者募集中  作者: ミッキー・ハウス
第一章 幼少期(隔離編)
12/39

バレた!


ボヤ騒ぎで警備が強化されてから数ヶ月経った。

強化された当初、実際こんなに長くなると思わなかったよ。

だって俺、周りにとってそんなに大切な王子じゃないからさー。


昼間、部屋の中で本を読んでいるのも飽きたし、ベッドでゴロゴロしてるのも飽きた。

限られた室内でマロと追いかけっこするのも無理になってきたんだ。

なんたって狼。成長が早い。

今は拾った時より三倍の大きさで、大型犬に片足突っ込みかけてる。

ベッドの下に隠れるのもそろそろ限界だろう。


もうひとつ限界なものがある。

変わり映えしない日常に、俺が気分転換が出来なくてストレスが溜まってきた。

イライラしながら外を見回る兵士達を窓から見つめて「あっち行けーあっち行けー」と念を飛ばすほどだ。


じゃぁ、扉から外に出れないなら窓から出ればいいじゃない……ってことで今俺は暗い寒空の下、館の屋根にいます。


実は夜中に館の二階を探検していて、運よく見つけた屋根に続く出窓があった。

台を使って出窓から出てみると屋根はちょっと斜面になっていて、足を滑らせないように注意が必要だ。

こっそり夜中に出窓から屋根に登っていたらマロまでついて来て、足を滑らせたマロを慌てて抱きとめ一緒に屋根から落ちかけた時は肝を冷やした。

あと、『お願いだから危ないことしないでよ!』ってエルに怒られた。

そんなこと言われたって館の中だけじゃストレスが溜まるんだよ、と言い訳をして屋根に登っているけどな。


昼間はまだ館の回りを頻繁に警備している人達に見つかる可能性があるから夜に出ているんだけど、夜は寒いからあんまり出ていられない。

まぁ、冬の時期だからそろそろ外に出るのもつらくなってくるだろうな。

その内、ちらほら雪が降るかもしれない。


エルに聞いてみたらアデレストは国全体が南に位置しているらしく、王都であるここメーデュ(初めて名前知ったぞ)には滅多に雪は降らない。

北に近い地域なら雪が降るみたいだけど。

神属の国であるメヒュースンは北に位置しているから降雪量は半端なく多いらしい。

雪だるまやかまくらを作りに行きたいと思ったのは、俺が子供だからだろうか……。

ちなみにメヒュースンの王都はヘイレスと呼ばれているんだってさ。



さて、俺が館の屋根に出るようになってから最近、城から呼び出しが何度もされているミッキー。

朝から晩まで帰ってこない時もあって、昼も使用人さんが用意してくれた昼をひとりで食うことが多い。

ミッキーが帰ってこないお陰でマナーレッスンみたいな食事の心配はなくなったし、これまで何度か使用人さんが用事で館をちょっと空ける隙を見て厨房に入ったりしてるんだよね。


キツネ目をした新人騎士の茶髪兄ちゃんから教えてもらった火打ち石の扱いもコツを掴んだのでつけやすくなって、今じゃ(かまど)に火を入れたり消したりしている。

時々同じようにつけても火力が尋常じゃないくらい大きくなる時があるから、入れる薪は一本だけ。

これなら消火もしやすい。

ふふん、同じ轍は踏まない努力はしてるんだぜ。


野菜炒めくらいなら余裕でできるようになった。切るのも上手くなった。

しかし、何で挑戦するのが野菜炒めだけかっていうと……肉は丸ごとそのままなので俺にはどうしようもない。

主に兎や鴨っぽい鳥が羽や毛皮つきのまま、つぶらな瞳をカッと見開いて足を縛られたままドンと厨房の作業台の上に置かれている。

うん。生きたまま厨房に置くわけないよね。わかってた。


唐揚げとかハンバーグとか作る以前、肉を食う前にあの毛皮コートを剥さないと。

いや、毛皮もそうだけど中身とかも処理しないと食えない。

俺グロ苦手なのに目標まで道のりが長い。長すぎる。

前途多難だぜ。ちくせう。



『そろそろ部屋に戻ろう、ユリシーズ。風邪引いちゃうよ』


「大丈夫だ問題ない。俺にはマロというホッカイロがある」


『明日、熱が出ても知らないよ』



屋根に座っている俺の膝の上にあがって器用に丸まっている自家発電(生きた)ホッカイロのマロがいて温かい。デカいから重いんだけどね。

風邪を引く可能性はあるかもしれないが、まだ三十分くらいしか経ってないはずだ。それに、夜中にお湯を沸かして飲むから大丈夫だろ。


外を見たいなら部屋にいても窓から見えるけど、開放感がないんだよ。

外に出た!という感じがあるから、こっちの方がいい。

ここからどこにも行けないけど。

眼下にある庭の方を見れば、警邏中の兵士が持つ松明の明かりが行ったり来たりしている。

まだ警備が厳しいみたいだ。



「外に行ってみたいな」



マロの背中を撫でながらひとりごちる。

俺のエネルギーの量は異常に多いから、人のいる所に行けないんだけど。

屋根から見える景色は、夜空の星の他に城の窓と塀の外から漏れてくる市井の明かりだけ。

こうして真っ暗な中でボーっとしていると、取り残された感満載なんだよなぁ。

本当に何も知らないし。

はぁ、と溜息をつく。



『ユリシーズ、外に行ってみたい?』


「……は?」



エルが悪戯っぽい笑みを向けながら聞いてくる。

一瞬何を言われたのか理解できなくてポカンとしていたけど、じわじわと浸透するように脳みそに届いた。

なんでそんなこと聞くんだ?

前にエルは市井はダメだって言ってなかったか?



「俺のエネルギーは量が多いから出ていけないんじゃないんじゃなかったのか?」


『うーん。魔属が生活している市井の中はダメだけど、城の近くの森なら問題ないよ』


「森なら問題ないってどういうことだ?」


『城近くの森には魔王の(エネルギー)が常に行き渡ってるし、君がちょっと遊びに行ってくるくらいなら大丈夫だと思うよ』


「でも、これだけ警備厳重なのにどうやって外に出るんだ?」


『厳重に見えるだけで結構隙間はあるんだ。まぁ、僕が道案内すれば抜けていけるよ』


「はぁっ!?」



夜だと言うことを忘れて驚きの声をあげてから自分で口を塞ぐ。

近くに見えていた松明の明かりが立ち止ったけど、すぐに歩き出す。

エルに視線を戻すと俺と目が合うように片膝をついて視線を合わせてきた。



『明日、お昼を食べたら行ってみる?』



こくこく頷く。

厨房に行ったり屋根に登るくらいしか楽しみがなくなってきたんだ。

館から出ていけるなら行きたい。



『じゃ、今すぐベッドに直行しようか?』



エルの言葉に俺はマロを抱えて出窓から館内に入ると、窓を閉め台の片づけを(出た痕跡を抹消)してダッシュで部屋に戻った。

さっさとベッドに入りマロと一緒に毛布に潜り込む。

そんな俺を見ながら『現金だねー』と呆れたエルの声が聞こえた。

上手く誘導されたと思うけど、約束通り明日外に出れるならへっちゃらだ。



「エル、約束だからな!」


『はいはい、明日起きて熱が出なかったらね』




そして、翌日。

当然早起きしたとも!


約束は昼飯食ってからだけど、外に出るための靴とか動きやすい服とか用意を済ませる。

引き続きエルに呆れた顔をされたけど、久しぶりの外だぜ?わくわくしないわけないだろ!


今日のミッキーは城へ向かうため、昼前に館を出て行った。

てことは、今日も夕方まで帰ってこないから、使用人さんが昼飯を運んでくるはずだ。

使用人さんはベッドがある部屋にまで入って来れないから、隣室を入ったところに食事が乗せられたワゴンが置かれる。

それを食ったら食器はそのままワゴンに置いておけばいい。

俺が部屋にいるかなんて確認なんてされないからな。


飯が終わって「早く早く!」と急かせばエルは『ちょっと待ってね』と言って外の様子を見に行った。

その間の俺と言えばソワソワしながら扉の前で待つ。

俺のソワソワする気持ちが伝わったのか、マロも落ち着かない様子で俺の回りをうろついては顔や口を舐めてくる。

ちゃんとお前も連れて行くから心配するな、マロ!


マロを撫でながら待っているとエルが戻ってきた。

口元に人差し指を立てて手招きされる。

静かに来いってことだな!


まだ回収されていないワゴンを横目に隣室を出ると、ゆっくり一階へ続く階段をマロと一緒に降りていく。

外へ出る扉の前でエルが状況を確認して、OKサインが出てからノブを回して開ける。

芝の地面に足を踏み出し、久々の外だー!と喜んでいる暇はない。

今度はエルに急かされてこそこそ壁際まで走り、低木樹の陰に隠れながらある場所を目指した。

以前発見した城壁に開けられていた森に続く穴だ。


そこまでくればもう遠慮はいらない。

穴をくぐると一目散に森へ走る。



「うおおおっ外だ、外!久々のそとぉおおおっ!」


『叫ぶのは構わないけど、ちょっと静かにしようねー』



森の中に入ってから我慢できずに叫びながら隣りで尻尾を振っているマロに抱きつくとエルが呆れながら注意してきた。

すまんな、マロとこの喜びを分かち合いたくてね。



「よし、探検だ!」


『あんまり奥に行かないでね、ユリシーズ』


「おっけーおっけー♪」



返事をしながらマロと共に森の奥へ駆けこむ。

エルの溜息が聞こえた気がしたけど無視だ、無視!


木の根に足を取られそうになりながらマロと追いかけっこを始める。

緑の匂いが新鮮!

外で体動かすのって最高!

俺ってやっぱりアウトドア派なんだな。


マロに追い抜かれつつ走り回っていると、でっかい木が見えてきた。

周りの木々もデカいんだが、側まで行くと他の木より二倍は大きいのがわかる。

「でっけぇー」と上を見あげながら一周してみると、ぽっかり口を開けた(うろ)が現れた。

ちょうど人ひとり余裕で通れる大きさの洞の入り口から中をのぞくと、六畳くらいの空間が広がっている。


こういう場所を見つけたら、ドキドキわくわくするのは俺だけじゃないはずだ!



「エル、エルッ!この洞って何?なんかの動物の巣!?」


『いや、これって中が腐り落ちただけだろうね。樹齢もかなりの老木みたいだし、魔王からの濃いエネルギーを近場で受け続けたから柔い中心部が耐えられなかったんじゃないかな?』



エルの説明を受けて上を見ると、なるほど、確かにまだ天井があるとはいえ内部の木は腐りかけている。

しかし、今すぐ倒木になる危険はないとエルが教えてくれた。

俺の知識にある木と一緒で表皮だけでも巨体を支え、生きているらしい。

まぁ、そのうち内部が全部ダメになったら自然と倒れるだろうけど、中には魔王の濃いエネルギーで朽ちかけたものの内部を再生させ持ち直す木もあるんだとか。

これは若い木限定らしいので、この老木は近い将来中身が全部腐り落ちて倒木になることは決定したも同然。



「んじゃ、俺が中にいたら腐り落ちるの早くなりそうだな」


『今すぐ腐り落ちはしないけど……入る気満々だね、ユリシーズ』



子供の頃に一度はやってみたい夢ってあるだろ?

森の中に自分で手作りをして住処を作って生活するような、サバイバル体験というか。

そう、なんていったっけ……秘密基地!



「こういう場所に秘密基地作りたい!」



入り口には木製か動物の皮の扉をつけて、中には食糧庫や木の板で部屋の間仕切りを作ったりして、こっそり集めた宝物をしまっておく……誰も知らない俺だけの場所。

うおおお、燃えるーっ!



「そうと決まればエル、材料探しだ!」


『何も決まってないよ……って言うか、頻繁に来れないのに秘密基地なんか作ってどうするのさ?』


「これだから大人はっ!そんなんじゃ夢も希望もないつまらない人生になるぞ、エル!」



腰に手をやり、もう片手でズビシィッ!と指さして言ったら、『はいはい、人を指さしちゃいけないよー』と子供に宥め言い聞かせる口調で言われた。

そういうことじゃない、と文句を言いたかったけど内容に反論が出来なかったので、グッと堪えて指さすのをやめた。

人を指さしちゃいけないって俺だってわかってるさ。

……ついだよ、つい!


けど、秘密基地作りはどうしてもやりたいんだよ。

だってこんな風に外に出れるのがまた一ヶ月先とかでも、それまでにここをどう作るか構想が練れて絶対飽きないって!


エルに楽しみを取っておく重要性を言い聞かせれば、すっごーく呆れた表情してたけど秘密基地作りを了承してくれた。

とりあえず、時間制限として夕方になる前まで。



『タイミングを間違うと戻る時に見つかるから、僕が言ったらちゃんと戻るって約束してね?』


「ヤーイエッサーOK了解(ラジャー)!」



敬礼のポーズをとって色んな了承をミックスして言ってみる。

なぜかエルに溜息をつかれた。

脇でマロが尻尾を振って待ってるんだが、バシバシ尻尾が足に当たるので早くしろと催促されている感じだ。


さて、エルの許可はもらったと、洞の中に早速入って間取りを決めていく。

奥には食料の置き場、雨風が当たらないように寝床、入り口に近い方にはリビングっぽい空間を作って、玄関ってところか。

間取りの次は、使えそうな材料と保存できる食料を探すことにする。

何があるかわからないけど森の中を歩いてみるのもいいだろう。



「マロ、材料と食えそうな物を探しに行くぞ!」


『ちょっとユリシーズ、あんまり遠くに行っちゃダメだからね!ちゃんと戻ってきてよ!』


「わーってるって!」



エルに声を返しながらマロを連れて洞を飛び出すと奥を目指す。

木の実か何かないかと上を見あげてみるが、食えそうな物は見当たらない。落ちている物を見ても松ぼっくりに似たものしかなかった。

秘密基地の材料として太い木の枝などを探してみるものの、こっちもさっぱり見つからない。

洞にマロと一緒に寝るスペースだけあればいいかもしれないと思ったけど、それじゃエルに語った秘密基地の構想を練る時間が、ただの暇つぶしになってしまう気がする。

考えなくてもよくなるのは時間の問題だろう。

俺がいきなりの壁にぶち当たっていた時、マロが何かの枝を引きずりながらやってきた。



「どうしたマロ?……おおっ、胡桃じゃん!」



マロが引きずってきた枝についていたのは胡桃の実だった。

ついている実は小振り。姫胡桃くらいだ。

たぶんこれなら手でも割れる。



「あれ?胡桃って分布は北半球だった気が……」



生産が盛んなのはアメリカと中国だったよな、と前世の知識が告げるも、ドコそれ。地域、国?

ぼんやりと思い出しかけた前世の知識に首を傾げる。

アデレストは南に位置すると聞いただけで、どうやら俺自身は無意識に南半球に国があるものと当てはめ思い込んでいたらしい。

国の位置に関してもだけどこっちの世界じゃ分布が違うだけだろうと、あっさり疑問を頭から追いやる。


枝を引きずるのが大変なので一個一個実を取っていく。

収穫はこれだけだが満足し、ほくほくしながら洞のある場所に戻る。

なんで方向がわかるかって?

だって城壁が木々の間から見えるんだからそっちに行けば、洞のある木の近くに行けるだろう。

もし洞のある木に辿りつけなくても、城壁が目印だから迷子になることだけは回避できる。



『ユリシーズ、遅かったじゃないか!早く戻るよ!』



洞のある木の近くまで来たら俺達を見つけたエルが慌てて駆けよってきた。

空はまだ赤くないけど、戻ってくるまで意外に時間を食ったらしい。

胡桃を洞の中に置いていると、なぜか『急いで急いでっ!』とエルに急かされる。

「何慌ててんだ?」と聞けば、『見つかりたくないでしょ?館に帰ったら部屋にダッシュしてね!』と言われて、それ以上何も教えてくれずひたすら城壁を目指し、来たルートと同じ場所を通って館に帰った。

部屋の前のワゴンは片されていたから出かけたことを知られたわけじゃないみたいだし、部屋着にすぐに着替えたけどこれといって誰か来る気配もない。

エルはエルで俺が部屋着に着替えた後に壁をすり抜けて外に行っちゃうし、ぽつんと部屋にマロと取り残された俺。


――しばらくしても変化なし。



「なんであんなに急かされたんだ、俺?」



様子見に誰も来ないし、緊急事態だったのはエルの方だったんじゃないか?

……そう考えたら、ちょっとムカッ。

俺の久々のお出掛けを邪魔したのかあいつ。

あいつも神としての仕事があったからかもしれないけど、だからって俺のお楽しみを中断すること無いだろう。


あーもー、急いで帰ってきたから喉が渇いたぞ。


落ち着いた頃になって喉が渇いているのに気づいた俺は、温かい物でも飲もうと厨房に下りることにした。

水差しの中身はまだあるんだけど、冬だから温かい物が欲しい。

まだ誰も来ないだろうと水を飲ませたマロを部屋に残し、隣室を通って廊下に続く扉をそっと開ける。

館内は静かだ。

なぜか使用人さんの気配もない。

まぁいいだろう。

「ひぃん」という鳴き声が扉越しに後ろから聞こえたけど、「すぐ戻ってくるからなー」とだけ言って一階へ下りる。


厨房に入れば何も置かれていない調理台。

野菜なんかの食材もまだ用意されていないみたいだ。

これはこれで好都合。何か使ったとしても食材の増減に気づかれにくい。


さて、何を飲もうか。

寒い時にココアとかいいよな♪……ここには無いんだけどさ。

紅茶の茶葉が置いてあったはずだから、砂糖を入れてそれを飲もう。


しまってある棚からちゃちゃっと必要な道具を出してスタンバイOK!

次に竈に火を入れる。

今日はちょっとお湯を沸かすだけだから、細い薪だけ入れて燃やす。

なのに、今日は燃え方が激しい。

いつもより燃えあがるのが早くて慌てて(かまど)の戸を閉めた。



「冬の季節だから乾燥して燃えるのが早いとか?」



疑問に思いながらも小さい鍋にカップ一杯分の水を入れて鉄板コンロの上に置く。

本当はポットとかに茶葉を入れて蒸らして……という手順を踏みたいが、如何せん時間がない。

洗い物も増えるのでカップと茶漉しみたいな道具で紅茶を入れる。


段々沸騰してきたところで鉄板コンロから下ろして、カップにスタンバイ状態になっている茶漉しに入れた茶葉にゆっくりかけていく。

あとはひたひたになるところでお湯を注ぐのをやめて、ちょっと待ってから茶漉しを引きあげ砂糖を入れれば即席紅茶の出来上がりだ。

壁際にあった休憩用の丸椅子を押してきて調理台の上を陣取る。



「我ながら匙加減が絶妙だな♪」



紅茶の渋みも少なく、砂糖の入れ加減も甘すぎない。

でもまぁ、本当なら緑茶とか欲しい。

もっと欲を言えば、炭酸系の飲み物が飲みたい。

ああ、グレープ味とかオレンジ味とか、でも黒に近い茶色の液体の方がいい。


そんなことを思いながら淹れたての紅茶をあちあち言いつつ飲んでいると、後ろで風のような音がした気がした。


振り返るも棚やら扉やら特に変わったことがないため、また紅茶に集中する。

フーフーと冷ましながらゆっくり飲んでいた時だ。


不意に、扉の開く音がした。



「何を、していらっしゃるのですか……ユリシーズ様」



低く聞こえた声にギクリとしてゆっくり振り返る。

厨房の扉が開いていて、そこには今日の夕方までは帰ってこないはずのミッキーが立っていた。

ようやく森に行く話。

しかも、エルから誘ったとかどうでもいい内容。

うーん、やっぱり描写の必要はいらな(ry



12/7追加

※加筆修正するなら国の位置の説明としてもっと別な話にすれば良かった、ということです。

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