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2002年9月-1

2002/09/17(火)

 ずっと気分が悪かった。鬱だった。もう10日以上になる。

 それで、テレビを見てたら鬱に関するサイトのCMがあったので、ネットで調べた。

 テレビで言っていたヤツは見つからなくて、しょうがないからそれらしいのを見た。

 セルフチェックというのがあった。やってみた。

 どうやら自分は「パニック障害」の恐れがあるそうだ。それで、病院の紹介もしていたので行ってみようかと思った。

 電話した。上手く喋れなかった。自分の本来の喋り方じゃなくて、なんだか怯えた子供みたいな喋り方になった。

 結局、何もできないまま時間は過ぎて、病院には行けなかった。

 死にたいと思った。

 死にたいというより、生きていたくないと思った。

 遺書を書いた。

 書いているうちに涙が出てきた。

 死にたいけど、生きていたくないけど、手段も分からないし、勇気もなかった。

 だから、まだ生きている。生きていたくないのに。



2002/09/18(水)

 ネットで調べた病院に行こうと思った。

 駅まで行くのさえ辛かった。家から出たくなかった。何もする気がなくて、ちょっと体を動かすだけで全身から汗が吹き出た。

 でも、がんばって行こうと思った。準備にすごく時間がかかった。

 駅で電車を待った。乗った。座れなかった。ずっと立っていた。

 電車が走り出すと、体中が熱くなって、イヤな汗がいっぱい出た。頭がドクドクした。

 病院の最寄り駅に着いた。病院を探した。でも、見つからなかった。

 喉がとても渇いて、自販機でジュースを買って飲んだ。

 結局、診察時間が過ぎても病院が見つからなかったので帰った。

 帰りは座れた。でも、やっぱり気分が悪くて、なるべく力を抜いて座っていた。うなだれて座っていた。

 学校の近くの駅を通過した時、向かい側のホームに同じ研究室の留学生がいるのが見えた。

 なんだか、恥ずかしかった。向こうは気付いてない風だった。だからちょっと良かった。



2002/09/19(木)

 今日こそ病院に行こうと思った。

 しばらくお風呂に入ってなかったので、シャワーを浴びた。

 でも、その後で、汗がいっぱい出て、シャツが濡れて透けるくらいいっぱい出て、とっても辛かった。

 電車に乗ると、今日は座れた。昨日よりはましだけど、やっぱり気分が悪かった。

 病院はどっかのビルの7階だった。

 待合室から駅が見えて、多摩川の景色が見えた。

 駅には人がいっぱいいて、みんなちゃんと生きていて、なんで自分はそういうことができないんだろうと思った。

 診察室でカウンセリングを受けた。女のお医者さんだった。

 いろいろ聞かれたけど、目をみて話すことができなかった。ずっと机の上を見ていた。カレンダーやメモがあった。

 家族構成や今の症状なんかを話した。学校の事や就職の事や死にたいと思っていることは話さなかった。聞かれなかったから、話さなかった。

 診察されて、鬱病によるパニック障害だと言われた。自分でもそうだろうと思っていたから、別に驚かなかった。

 誰にでもありうることなんだと言っていた。でも、ならない人もいるんだし、そうなってる自分がイヤだった。

 薬を貰う為に待ってる間、じっと座っていた。そしたらまた気分が悪くなった。体が自分の輪郭を残して縮んでいく感じだ。じっとガマンした。どうにもならないし、お医者さんは他の人を診察中だったから、呼んで迷惑かけたくなかった。

 それで、帰って、薬を飲んだ。ちょっと楽になった。

 ついでに睡眠薬も貰った。

 これで、とりあえず手段はできたってわけだ。そう思って、ちょっと笑った。



2002/09/20(金)

 寝ていた。

 昨日貰った薬は眠気を誘う成分があるらしくて、それで、ずっと寝ていた。

 起きてると、悲しくなって、寂しくなって、大声で叫びたいような、そこらへんの物を叩き壊したいような気分になる。

 自分を思いっきり殴って、自分をボコボコにしたかった。自分が地べたにうつぶせて血が流れている光景を見たかった。

 でも、そんな気分になってもできやしない。やる気力も体力もないのだ。

 だから、また薬を飲んで寝た。寝る事しかできなかった。




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